第17話 芋娘はインカを語る?
◇
「うちらは今日から芋娘や」
「歩き方からして芋臭いおぼこ娘がなんだって?」
「うっさいわ、あんたも変わらんやろ!」
「「HAHAHA!」」
「ああそうだな、そういうお前は芋のまんまで良いのか?」
「そらうちだってインカの目覚めがいつか待ち遠しいで?」
「ああ、おぼこ芋娘の甘い妄想はいつ目覚めるのやら。そう言えばインカと言ったらな…」
「そら大地の割れ目に棒を刺したとこがクスコやろ?」
「よくご存じで、医療機器と全く関係がない偶然の一致なのか?」
「偶然やろ、インカ帝国の皇帝様もそうなんやろな。その名は、マン…「はーい!皆まで言うな!」…カパックや」
「「HAHAHA!」」
「ウィラ、日本語だと別の意味と勘違いされてしまうからな、思春期の男子らが反応してしまうぜ?」
「ほんなら一文字伏せたらええんか?」
「余計に卑猥になるからやめなさい」
「「HAHAHA!」」
「皇帝のことはええねん。インカと言えばアンデスやろ?アンデスと言ったらじゃがいもやけどな、クラス委員の仕事って農作業もあるんかいな?うち知らんかったわ?」
「ああ、間違えて農業高校に入ったのかと思ったよ。ま、体の良い雑用係だからな、お前にしてはリサーチ足りてなかったんじゃないか?」
「そら前に学校案内を流し読みしてな、見落としたうちの落ち度や。せやけど写真だけ見るとただの農業体験にしかみえへんやろ?」
「確かに、一応生徒会に意見書出しとこうぜ?」
「この時期によくある質問かもわからんな」
「そうだな、ま、お裾分けいただけるらしいからあたしは助かるよ」
「ナギにしては面倒くさがらんし変やと思うたけど、いつものおかん発揮やったんやな」
「だろ?これでじゃがいもはしばらく買わなくて良いのさ。しばらく芋娘呼ばわりされるんだろうけど」
「芋娘やししゃーないしゃーない、そういやさっきのあれや、うちの割れ目な………」
「まだ夜になってねーよ?おーい、かえってこーい」
「………いやあれや、自分のアレ…気になるやろ?」
「ああ、個人差はある。あたしはお毛毛生えるのが早かったな、発育良すぎだぜ?」
「うちも…まぁあれや、昔の事やけど、笑われてもうた時はちょっぴりへこんだで?」
「ま、パイオニアの特権だろ?」
「せやな、あんたはパイオニア過ぎやけど。どんだけ食うたらそうなるんや?」
「それは天命だから気にしない。…で、お前は自分をかわいいってアピールしているけどよ、あっちはどうなんだよ?」
「そらアレや…教科書レベルで理想的やで?」
「ほーん、なるほどね。いつか来る最初の男は、アレを見ていったいどんなツラしているんだろうな?」
「そらわからへんけど…うちの男子らみてみぃ?こんなんじゃがいもみたいな顔ばっかやからな、今のところありえへんで?」
「美人でかわいくて頭は良いけど、すごく性格悪い奴で大丈夫か?ってとこだな」
「うちなかなかあれやな、ええふるいになっとるんとちゃうか?」
「ああ、ふるいが壊れていないことを祈るよ」
「壊れてる訳あらへんやろ?」
「ま、なんとなくだけど、なんで?って思うような奴と付き合って後悔して、それを繰り返して良い男がいないってやさぐれるけど、最後の男で救われる未来を想像しておくよ」
「なんかえらい具体的やな?…そら最初が肝心なんやけど、それでミスった扱いは酷やないか?」
「それには同意する。来世があるならそれを活かせるだろうけどな」
「あんたはなに言うとるんや? そんなんある訳ないやろ?」
「「HAHAHA!」」
「ま、そんな変な夢を見たんだ…全く、あたしもどうかしてるぜ…」
「そんなんええから、今うちらは芋掘る娘になるんやで」
「はいはい、じゃがいもと言えばニョッキでもどうだ?」
「おしゃれやな、作ってくれるんか?」
「いいぜ、ジャーマンポテトもいるか?」
「ええな、もう芋いらん奴はナギに提供しぃ?」
「「HAHAHA!」」
「いや、この量をどうやって持って帰るんだよ?」
「そらあれや…そこに軽トラがあるやろ?ナギなら運転出来そうやからな」
「ああ、出来るぞ…まだ免許取れる年齢じゃないし持ってないからあれだけど…」
「今のは聞かなかった事にしておくで…」
「そうしてくれ、幸いじゃがいもみたいな顔ばっかの労働力はある。うまく使えよ副委員長?」
「ナギも性格悪いんとちゃいますか?」
「「HAHAHA!」」
「さ、早く収穫終わらせようぜ」───。
◇
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