第17話 芋娘はインカを語る?







 「うちらは今日から芋娘や」


「歩き方からして芋臭いおぼこ娘がなんだって?」


「うっさいわ、あんたも変わらんやろ!」


「「HAHAHA!」」


「ああそうだな、そういうお前は芋のまんまで良いのか?」


「そらうちだってインカの目覚めがいつか待ち遠しいで?」


「ああ、おぼこ芋娘の甘い妄想はいつ目覚めるのやら。そう言えばインカと言ったらな…」


「そら大地の割れ目に棒を刺したとこがクスコやろ?」


「よくご存じで、医療機器と全く関係がない偶然の一致なのか?」


「偶然やろ、インカ帝国の皇帝様もそうなんやろな。その名は、マン…「はーい!皆まで言うな!」…カパックや」


「「HAHAHA!」」


「ウィラ、日本語だと別の意味と勘違いされてしまうからな、思春期の男子らが反応してしまうぜ?」


「ほんなら一文字伏せたらええんか?」


「余計に卑猥になるからやめなさい」


「「HAHAHA!」」


「皇帝のことはええねん。インカと言えばアンデスやろ?アンデスと言ったらじゃがいもやけどな、クラス委員の仕事って農作業もあるんかいな?うち知らんかったわ?」


「ああ、間違えて農業高校に入ったのかと思ったよ。ま、体の良い雑用係だからな、お前にしてはリサーチ足りてなかったんじゃないか?」


「そら前に学校案内を流し読みしてな、見落としたうちの落ち度や。せやけど写真だけ見るとただの農業体験にしかみえへんやろ?」


「確かに、一応生徒会に意見書出しとこうぜ?」


「この時期によくある質問かもわからんな」


「そうだな、ま、お裾分けいただけるらしいからあたしは助かるよ」


「ナギにしては面倒くさがらんし変やと思うたけど、いつものおかん発揮やったんやな」


「だろ?これでじゃがいもはしばらく買わなくて良いのさ。しばらく芋娘呼ばわりされるんだろうけど」


「芋娘やししゃーないしゃーない、そういやさっきのあれや、うちの割れ目な………」


「まだ夜になってねーよ?おーい、かえってこーい」


「………いやあれや、自分のアレ…気になるやろ?」


「ああ、個人差はある。あたしはお毛毛生えるのが早かったな、発育良すぎだぜ?」


「うちも…まぁあれや、昔の事やけど、笑われてもうた時はちょっぴりへこんだで?」


「ま、パイオニアの特権だろ?」


「せやな、あんたはパイオニア過ぎやけど。どんだけ食うたらそうなるんや?」


「それは天命だから気にしない。…で、お前は自分をかわいいってアピールしているけどよ、あっちはどうなんだよ?」


「そらアレや…教科書レベルで理想的やで?」


「ほーん、なるほどね。いつか来る最初の男は、アレを見ていったいどんなツラしているんだろうな?」


「そらわからへんけど…うちの男子らみてみぃ?こんなんじゃがいもみたいな顔ばっかやからな、今のところありえへんで?」


「美人でかわいくて頭は良いけど、すごく性格悪い奴で大丈夫か?ってとこだな」


「うちなかなかあれやな、ええふるいになっとるんとちゃうか?」


「ああ、ふるいが壊れていないことを祈るよ」


「壊れてる訳あらへんやろ?」


「ま、なんとなくだけど、なんで?って思うような奴と付き合って後悔して、それを繰り返して良い男がいないってやさぐれるけど、最後の男で救われる未来を想像しておくよ」


「なんかえらい具体的やな?…そら最初が肝心なんやけど、それでミスった扱いは酷やないか?」


「それには同意する。来世があるならそれを活かせるだろうけどな」


「あんたはなに言うとるんや? そんなんある訳ないやろ?」


「「HAHAHA!」」


「ま、そんな変な夢を見たんだ…全く、あたしもどうかしてるぜ…」


「そんなんええから、今うちらは芋掘る娘になるんやで」


「はいはい、じゃがいもと言えばニョッキでもどうだ?」


「おしゃれやな、作ってくれるんか?」


「いいぜ、ジャーマンポテトもいるか?」


「ええな、もう芋いらん奴はナギに提供しぃ?」


「「HAHAHA!」」


「いや、この量をどうやって持って帰るんだよ?」


「そらあれや…そこに軽トラがあるやろ?ナギなら運転出来そうやからな」


「ああ、出来るぞ…まだ免許取れる年齢じゃないし持ってないからあれだけど…」


「今のは聞かなかった事にしておくで…」


「そうしてくれ、幸いじゃがいもみたいな顔ばっかの労働力はある。うまく使えよ副委員長?」


「ナギも性格悪いんとちゃいますか?」


「「HAHAHA!」」


「さ、早く収穫終わらせようぜ」───。




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