第18話 防災訓練と七不思議メーカー







 「落ち着けウィラ!そっちは火事じゃない!熱々のカップルだ!」


「あかん、これちゃうねん!間違ってもうた訳やあらへんで!…せやけど冷める様子もありまへんな!?」


「ああ、消火ホースは暴れるからな…、呑気な事言ってないでちゃんと抑えろよ。一先ずあたしが謝ってくる。後でお前も一緒に謝りに行くぞ!」


「ナギ、ごめんなさい…」


「おいっ! 気を抜くなウィラ!あたしは火事じゃねーよ!」


「あかん!堪忍してや!なんでうち一人でホース押さえなあかんのや!助けてー!」


「とんだ間抜けだな!おいっ!誰か早く押さえろ!二次被害の訓練はプログラムに無いぞ!アドリブかましてんじゃねーぞこら!!」


「ナギー!助けてー!…」



───。



「さっきはほんまにごめんなさい…」


「良いって、事故だからしょうがないだろ?仲良くお前とあたしはずぶ濡れだ」


「…熱々のカップルもやろ?」


「ああ、きっと今夜は燃え上がるぜ?HAHAHA!…って、本当に落ち込んでやがるな?」


「…そらな、あそこと心臓にお毛毛生えとる傍若無人なうちやってへこむんやで?」


「おう、ようやく自覚したか?」


「…ごめんなさい、今は笑えへん」


「あー、全く調子狂うぜ?一緒に謝りにも行ったし、熱々のカップルも笑って許してくれただろ?」


「そうなんやけどな、これうちが悪いやんか…」


「はいストップ。ま、明日もあたしと一緒に熱々のカップルをケアしようか。一先ずそれでこの話は終わりだ、いいな?」


「…わかった、ナギ…、あんたの替えの下着、どないしよ?」


「あー、それはお前もだろ?…仲良くノーパン、ノーブラ。直に体操着とジャージなんて恥ずかしくて歩けないな」


「…ごめんなさい」


「いいって、ちょっとチクチクするのと収まりが悪いだけだ」


「うん…うちもや」


「そうだな、夕方までに乾いてくれる事を祈ろう…あと、下着泥が出ないことをな?」


「…ぶっ、そら教室の窓から下着をぶら下げるアホなんてうちら以外におらんやろ?」


「ああ、そうだよな、あたしのさらしを見てみろよ?一反木綿が出たって噂になってるぜ?」


「隣にパンティとおブラ様が並ぶ怪奇現象やな?」


「「HAHAHA!」」


「ようやく元気になってきたな?あたしらが学校の七不思議メーカーって訳だ」


「せやせや、ところでうちの学校、七不思議って何があるんやろな?」


「さあ? とりあえず女子トイレでも探検するか?性格の悪いあたしらでも三回呼べばきっとウェルカムだぜ?」


「うちは遠慮しとくで」


「「HAHAHA!」」


「遠慮するなよ?例えばあたしが何かをやらかして、泣く泣くお前と学校に行けない日もあるだろ?そんなとき性格の悪いお前に付き合ってくれるフレンドがいたら素敵じゃないか?」


「せやから遠慮しとくで?」


「「HAHAHA!」」


「おいおい、元気になってくれたのは嬉しいよ。やっぱウィラはこうじゃないと調子狂うからよ」


「…ありがとう、ナギ」


「いいって…しかしな、突然ずぶ濡れになって困ることもあるし…購買部に色々と要望を送るか」


「せやな、フリーサイズの下着を…いや、ナギ…、あんたのは入らんやろ」


「うるせーよ」


「「HAHAHA!」」───。




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