第14話 豆とニンジン?
◇
「すまんウィラ、お待たせ」
「ナギ!ええんやで、うちも今来たとこやから…」
「嘘つけ、デートかよ?」
「バレてもうたか、そらうちコスパのええ彼女やからな?」
「そのネタ、まだ続いていたのか…」
「せやで!うちら裸の付き合いしとるし、なんなら一緒に寝たからな?」
「ああ、誤解を招きかねない発言だけど…」
「何一つ間違っておらんやろ?」
「…そうなんだよな、何一つとして間違っていない」
「せやせや、かわええうちがおってあんたも潤ってるんとちゃいますか?」
「ああ、かわいくて性格の悪いお前が入り浸ったおかげでな、食費と水道光熱費が嵩んでる。財布なんか空を飛べるぐらいに軽いぜ?」
「…なんかごめん」
「冗談だ、あれだったら先に帰ってても良かったんだぜ?」
「そらそうやけどな、ナギ待ってる間に折角やから図書館利用するのもありやと思ってな」
「良い時間の使い方だ、それでお前はおとなしく真面目ちゃんをやってたのか?」
「せやで、絵本読みながらちゃんと勉強したで?」
「絵本って…あるのかよ?」
「それな、うちがリクエストしたんや。人生の教訓になるやろ?」
「あぁ、なるほど…って、早速やってんな?」
「そらな、絵本を舐めたらあかんで? 子供でもわかるように、伝わるように描くのは大変なんやで? うちらやってな、いつの間にか背伸びして大人になった気になって慢心してまうんや…、せやから思い立った時に絵本を読むんや」
「なるほどな、現実はスイミー達がマグロ追い払って終わり、めでたしめでたしって訳ではないからな」
「せやせや、スイミー2があったらどんな路線でいくんやろな?」
「ガンジー2みたいに言うなよ」
「動くと血を見るで?」
「ミディアムレアで?」
「「HAHAHA!」」
「あんたこれ知っとるんかい!?」
「あぁ、お前と仲良くなった理由がよくわかったよ」
「ほな、今日はレンタルしよか?あの予告の続きが気になるんや」
「ウィラ、先に言っとくが…ガンジー2はただのパロディだ。それとな、あれは嘘予告だから無いぞ?」
「 ………そらほんまなんか? 道理でうちがあちこち探し回ったんやけど見つからん訳や…」
「探したのかよ!?」
「「HAHAHA!」」
「そらヒット作のパロディならあると思うやん?ホットショットしかり、絶叫計画しかりな?」
「ああ、わかるけどあのクオリティで2はありえねえだろ?…いや、面白いけどさ」
「そらそうや、ほんならなに借りる? あんたとならしゃべくり通してまうんやろけどな」
「あぁ、ならフォレスト・ガンプを流していようか、ボーッと観てられる」
「ええな、うちらは豆とニンジンやな」
「またはあれだな、ババといつも一緒だった」
「おっ、今日は海老料理でも作ってくれるんか?」
「いいね、あたしの財布が軽くなる一方だけど」
「「HAHAHA!」」
「あかんか? うちももっと出すから…」
「いいよ、いつも割り勘してもらってるし、別に困ってはいない」
「そっか、せやけどいつも作ってもらってるんやから、そらうちが多目に出さなあかんわ。…ほんで今日のうちは海老料理の気分なんや、せやから頼んます!」
「HAHAHA、いいぜ?」
「ほんまか!?」
「ああ、エビチリとエビマヨだったらどっちがいい?」
「わあ…こら迷うに決まっとるやん、どっちにしよ?…」
「買い物迄には決めてくれよ?」
「うーん、どないしよう…両方はあかん?」
「それは財布に聞いてくれ、答えてくれるか知らないけど」
「「HAHAHA!」」───。
◇
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