第12話 コスパのいい彼女はトリプルクラウン?
◇
「あんた相変わらずモテモテやな、うちにやきもち妬かせる気か? ほんま運動部の連中も懲りないなぁ…」
「あぁ、あたしのツレに許可を取れと言ったら帰っていったぜ?」
「「HAHAHA!」」
「そら語学堪能やないとただの変な呪文やからな」
「お狐様のおまじないか?今日もキツネうどんをお納めするぞ」
「ありがとう、うちなかなかコスパのええ彼女やろ?」
「ああ、愛してる」
「「HAHAHA!」」
「やっす!ま、ええんやけど」
「おかげであたしは助かってるんだ、お前やっぱり天使か?」
「せやせや、おケツネ様と天使のクォーターやで?」
「ペテン師がなんだって?」
「「HAHAHA!」」
「そらありがたいお言葉で祈っとるんやから当然やろ?」
「ついに開き直ったよ」
「せやけどな、最近あんたがおらんときうちも勧誘されとるんやで?」
「そりゃスポーツテストもそうだけどさ、この前の体育でやったソフトボール?」
「せやせや、あれなかなかおもろかったわ」
「お前が珍しい左利きのキャッチャーで、あたしがピッチャーだろ?…あれは酷かった。お前のリードな、性格悪くて笑ったぜ?」
「そらキャッチャーはそうやないとあかんやろ? それにな、あんたが登板やったから楽やけど今も右手が痛いわ。ランディー・ジョンソンのキャッチャーやるの大変やで?」
「そりゃソフト部が嫌がるぐらいだし、お前じゃないと病院送りだったかもな。ってかよく左利き用のミットあったな…あ、そう言えばお前、ソフト部の奴の打席でビーンボール要求するなよな?」
「そらビビらせておかんと打たれてまうかもしれへんやろ?」
「確かに、あたしらのチーム…、酷いファイアフォーメーションだったからな」
「「HAHAHA!」」
「せやけどな、ほんま言うとうち、9番DHやりたかったんやけどな…」
「打てない・走れない・守れない…いやいや、嘘つけよ!」
「「HAHAHA!」」
「そらあれよ、スーっと来た珠をシュッとしてな、バンッ!………」
「おーいミスター、帰ってこーい?」
「「HAHAHA!」」
「いやあれな、ホームランってええな! めっちゃ気持ちええで!? ナギ、またバッセン行こか」
「また?…お前はいつあたしと行ったんだ?」
「あ~、ちゃうちゃう、今度って意味や」
「あ~はいはい、わかったよ…しっかし本当にな、ミスター三冠王のフォームのモノマネで逆方向打つとかありえねえわ、化け物か?」
「失礼やな! そういうあんたはなに正面向いて打っとるねん? なんや、剣道か何かと競技間違えとるんとちゃうか?」
「あぁ、一応剣術は嗜んでいるからな」
「そうなん? そらシュッとしてかっこええな…って、ちゃうねん。なんで正面向いて打てるんや? あんたも大概な化けもんやろ?」
「トニー・パティスタっていう正面向いて打つメジャーリーガーがいたんだよ。本当に打てるか気になって真似してみたんだ。ま、神のお告げって奴さ」
「あんたが神のお告げを律儀に従うとは思えへんけどな?」
「うっせーよ!」
「「HAHAHA!」」
「ま、そんなんやってたからな、うちら次の時間は男子の方に追放されてもうて野球やで?」
「ああ、野球部の奴さ、悔しがっていたよな…」
「せやせや、うちらやと甲子園出られへんからな」
「「HAHAHA!」」
「野球部の監督に言われたな。『お前らが男だったら…』ってな」
「最後の方、泣いてたな…」
「ま、あたしらには関係ないけどな」
「それな!」───。
◇
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