第8話 誤植と大仏と学級委員
◇
「ふふっ…。ナギ、あんたほんまにおもろいな?」
「…さっきから何だよ」
「いやな、うちらの席順、五十音順やんか」
「ああ、それがどうした?」
「あんたの後ろの子がな、めっっっっちゃ身ぃ乗り出しとったやろ?黒板見えへんから。それが気の毒で気の毒で………、つい笑てまうんや」
「うわ、性格悪。伏せたら伏せたで怒られるのアタシだし、それは癪だから」
「そら眠くなる授業をする方も悪いわ、あれ自分が総統閣下と勘違いしとるんとちゃうか?」
「お前が抗議して事なきを得たから助かったよ」
「ええんやで、うちはおつむの弱いノータリンと理不尽が大っ嫌いなんや」
「最悪な組み合わせだね、それは」
「「HAHAHA!」」
「年功序列で中々クビに出来ないシステムやとほんま面倒やからな…」
「あたしらからすれば反面教師って奴だな」
「せやせや」
「…って、おい、これガキのする会話か?」
「「HAHAHA!」」
「そら背伸びしたいお年頃やからな?」
「タッパがイロハ(168cm)あるお前が背伸び?」
「あんたがイワナ(187cm)そうな話やな?」
「「HAHAHA!」」
「言葉遊びは程々にな。ところであたしも気になったんだけどさ」
「なんや、うちがなんでかわええか気になるんか?」
「ああ、かわいいお前の色んな表情をみたくてたまんねえぜ?…いや、そうじゃなくて…」
「うちにベタ惚れとちゃいますか?照れるで」
「はいはい、そういうお前はな、五十音順とやらで間違われていただろ? なんでお前…"あ行"扱いなんだよ!」
「「HAHAHA!」」
「うちのフォーアナーメどこいったん!?」
「「HAHAHA!」」
「異文化交流の壁は高いな。これは近いうちに席替えでもしないと。学級委員でも立候補すれば?」
「そらええな、ほんまナギの後ろの子が不憫で…ぶふっ!あかん、思い出したら、あかん…HAHAHA!」
「お前笑いすぎだろ! この誤植!」
「「HAHAHA!」」
「あかん、お腹痛いわ!HAHAHA!…」
「はいはい、お前を学級委員に推薦しておけば解決だな」
「ほんならナギも推薦しとくで? こうなったら一蓮托生や」
「あ? あたしもやるのかよ?」
「そら言い出しっぺの法則や、観念しいや?」
「ったく、しょうがねえな…他の委員じゃダメか?」
「例えばあんたが風紀委員やったとするやろ?」
「うわっ、似合わねえ…」
「「HAHAHA!」」
「こんなデカブツおったら殺伐し過ぎとちゃうか?」
「うっせーよ、確かに否定は出来ねえけどさ、仮にそうだとしたら歩く戒厳令かもな」
「それな! せやけどあんたな、そもそもブレザーのボタンは全開、シャツのボタンはセクシー、ほんでリボンはどこいったんや? 月旅行にでも旅立ったんか!?」
「「HAHAHA!」」
「あたしのサイズに対応していないんだ、それで校則違反? まったく失礼しちゃうね?」
「そらあんたのスケールは規格外の特盛やからな、なに食うたらそんなに育つんや?」
「特にこれといった秘訣はないのだが…」
「ハンス=ウルリッヒ・ルーデルか!」
「「HAHAHA!」」
「あたしが風紀委員に向いてない事を理解した上で次だ。保険委員はどうだ?」
「保険金詐欺委員がなんやって?」
「おめーの耳はどうなってんだよ!あたしは反社か!?」
「「HAHAHA!」」
「ほんなら図書委員はどうでっか?」
「あたしに最適だな、高いところに手が届くし、何よりも用心棒に打ってつけだろ?」
「そら盗難被害は減るやろな、似合わへんけど」
「「HAHAHA!」」
「だがな、雑用以外の業務が思い浮かばないな…」
「そらな、委員会なんて体のいい雑用係やろ?」
「違いない」
「「HAHAHA!」」
「とりあえずうちらでクラス委員やりましょか!」
「あぁ、誤植のまんまはかわいそうだからな?」
「牛久大仏の後ろは悲惨やからな?」
「「HAHAHA!」」
「って、誰が大仏だ!!」───。
◇
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