第6話 狐と獅子の絵巻







「パジャマパーティーや! ナギ、これ見てみ?」


「おう、かわいいキツネ柄だな」


「ちゃうねん! ケツネはケツネやけどな…」


「イントネーションの問題か?」


「ちゃうちゃう」


「中国原産の犬?」


「そのチャウチャウちゃうで!」


「ややこしいな…」


「「HAHAHA!」」


「これな、ケツネ言うてもあれや、フェネックケツネや」


「あー、確かに耳が長くてかわいいな」


「せやろ? めっちゃかわええやろ?」


「あぁ、お前もかわいい。姉妹か?」


「そらうちケツネ顔やから当然やろ? うちの実家に兄弟姉妹がぎょうさんおるで?…って、んな訳あるか!」


「「HAHAHA!」」


「全く、本当に知り合って初日とは思えないな」


「せやな、うちら前世で結ばれとったんとちゃうか?」


「はいはい、そうかもな」


「うちスベっとるがな? ちょっとは拾ってや?」


「バリバリ関東人のあたしにそこまで求めるなよ、面白いけど」


「うちがちょっとはしゃぎすぎやな、それよかナギも中々かわええパジャマやな?」


「あぁ、あたしだって意外と乙女チックだろ?」


「せやせや、かわええポンデリン…「せめてライオンって言え!」」


「「HAHAHA!」」


「本当に本当に本当に本当に…「ライオンだよ!」」


「「HAHAHA!」」


「ってかウィラ、お前は何で知ってるんだよ?」


「そらあれや、東側行くんやったら下調べせなあかんやろ?」


「東側って、まだベルリンの壁でもあるのか?」


「「HAHAHA!」」


「ナギ、そらブラックユーモアが過ぎるで?」


「冗談だよ、ところであのCM、お前の地域であったとしたらどうなってたんだろうな?」


「そらあれやろ、ほんまにほんまにほんまにほんまにライオンや! 近すぎやろ!どないしよ! かわいくてどないしよ!知らんがな…ってとこちゃうか?」


「「HAHAHA!」」


「そんなのあったら面白いんだろうな」


「せやな、やっぱナギもなんちゅーかな、ライオンってイメージ通りでカッコええし、おまけにかわええな」


「あぁ、おはようからおやすみまで暮らしを見つめてくれるぞ?」


「ライオンってそっちかーい!」


「「HAHAHA!」」


「何が出るかな、何が出るかな?」


「サイコロ振らなあかんな、ナギ、なんかないんか?」


「鉛筆でも振っとけ」


「バトエンでも始めるんか?」


「懐っ!」


「ま、サイコロ代わりにええな、何も書いとらんから全部フリートークや」


「今日初めましてからずっとやってるだろ?」


「「HAHAHA!」」


「せやった、そんじゃお題は…恋バナ!」


「ねーよ、寝ろ」


「ちょっ、早っ!? まだうち何もしゃべっとらんやん?」


「あたしか? ねーよ、何度か告られた事はあるけどさ…」


「おっ、なになになに? 気になるからまだ寝たらあかんで?」


「ほぼ女の子からだよ、察してくれよ…」


「あ…うん、なんかごめん」


「いや、謝らなくてもいいけどさ、あたしはこんな成りだろ? そう言うことさ、もちろん少しは骨のある男もいたけど、流石に断ったよ」


「…そっか、そんならうちはあかんか?」


「…考えとく、今日はもう寝ろ、続きはまた今度な」


「うん…おやすみ…………………えっ? ナギ? あんたさっきなんて言うた?」


「………」


「あーん、もぉいけずや、気になって夜しか眠れへんやないかい…。ナギ…、ありがとう、そんじゃ…おやすみなさい…」───。




───cut…。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る