第6話 狐と獅子の絵巻
◇
「パジャマパーティーや! ナギ、これ見てみ?」
「おう、かわいいキツネ柄だな」
「ちゃうねん! ケツネはケツネやけどな…」
「イントネーションの問題か?」
「ちゃうちゃう」
「中国原産の犬?」
「そのチャウチャウちゃうで!」
「ややこしいな…」
「「HAHAHA!」」
「これな、ケツネ言うてもあれや、フェネックケツネや」
「あー、確かに耳が長くてかわいいな」
「せやろ? めっちゃかわええやろ?」
「あぁ、お前もかわいい。姉妹か?」
「そらうちケツネ顔やから当然やろ? うちの実家に兄弟姉妹がぎょうさんおるで?…って、んな訳あるか!」
「「HAHAHA!」」
「全く、本当に知り合って初日とは思えないな」
「せやな、うちら前世で結ばれとったんとちゃうか?」
「はいはい、そうかもな」
「うちスベっとるがな? ちょっとは拾ってや?」
「バリバリ関東人のあたしにそこまで求めるなよ、面白いけど」
「うちがちょっとはしゃぎすぎやな、それよかナギも中々かわええパジャマやな?」
「あぁ、あたしだって意外と乙女チックだろ?」
「せやせや、かわええポンデリン…「せめてライオンって言え!」」
「「HAHAHA!」」
「本当に本当に本当に本当に…「ライオンだよ!」」
「「HAHAHA!」」
「ってかウィラ、お前は何で知ってるんだよ?」
「そらあれや、東側行くんやったら下調べせなあかんやろ?」
「東側って、まだベルリンの壁でもあるのか?」
「「HAHAHA!」」
「ナギ、そらブラックユーモアが過ぎるで?」
「冗談だよ、ところであのCM、お前の地域であったとしたらどうなってたんだろうな?」
「そらあれやろ、ほんまにほんまにほんまにほんまにライオンや! 近すぎやろ!どないしよ! かわいくてどないしよ!知らんがな…ってとこちゃうか?」
「「HAHAHA!」」
「そんなのあったら面白いんだろうな」
「せやな、やっぱナギもなんちゅーかな、ライオンってイメージ通りでカッコええし、おまけにかわええな」
「あぁ、おはようからおやすみまで暮らしを見つめてくれるぞ?」
「ライオンってそっちかーい!」
「「HAHAHA!」」
「何が出るかな、何が出るかな?」
「サイコロ振らなあかんな、ナギ、なんかないんか?」
「鉛筆でも振っとけ」
「バトエンでも始めるんか?」
「懐っ!」
「ま、サイコロ代わりにええな、何も書いとらんから全部フリートークや」
「今日初めましてからずっとやってるだろ?」
「「HAHAHA!」」
「せやった、そんじゃお題は…恋バナ!」
「ねーよ、寝ろ」
「ちょっ、早っ!? まだうち何もしゃべっとらんやん?」
「あたしか? ねーよ、何度か告られた事はあるけどさ…」
「おっ、なになになに? 気になるからまだ寝たらあかんで?」
「ほぼ女の子からだよ、察してくれよ…」
「あ…うん、なんかごめん」
「いや、謝らなくてもいいけどさ、あたしはこんな成りだろ? そう言うことさ、もちろん少しは骨のある男もいたけど、流石に断ったよ」
「…そっか、そんならうちはあかんか?」
「…考えとく、今日はもう寝ろ、続きはまた今度な」
「うん…おやすみ…………………えっ? ナギ? あんたさっきなんて言うた?」
「………」
「あーん、もぉいけずや、気になって夜しか眠れへんやないかい…。ナギ…、ありがとう、そんじゃ…おやすみなさい…」───。
───cut…。
◇
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