第1話

 ガタッ

「痛っ」

 目が覚める。最悪の目覚めだ。あんな良い夢を見てたのに、よりによってベッドから落ちるなんて。

 まあ良い。喉が渇いたから何か飲もう。きっとまだ深夜だからあと数時間は寝れるだろう。

 そう考え、私は立ち上がる。ベッドの傍で大きく伸びをした。そして、机に置かれた携帯をとり時間を確認する。

「はぁー。サイアク」

 6時49分。起床時間まであと10分。夢であんな選択をしなければ私はまだ10分寝る事が出来た。

 両手で携帯を掴み、顔の前に持っていき、

「時間よぉ〜。戻れぇ〜」

 そう時間の表示に訴えかけてみた。……勿論時間は戻るはずも無く、1分時を刻んだ。

 自分の体内時計はこれから一切信用しないと心に決めた。そして、漫画の様な展開に期待するのは程々にしようと思う。

 また溜息をつき、携帯から目を離して部屋を見回した。

「え、きたな! 私昨日何してたの!?」

 床や机には、乱雑に投げ出された諸々の教材。昨日着たコートやアクセサリーなどが散らかっている。

「ちょっと片付けるか」

 そう呟き、私は片付けを始める事にした。7時までの10分間だけだが。

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