第3話
「なんか言えよ? おまえ、頭大丈夫か?」
哲司は突然わたしの額に掌を寄せてきた。おわっ! 何すんだ! びっくりしてのけ反った。あれ? 今の今までずっと一緒にいたはずのベートーヴェンの声が聞こえなくなっ……た!?
「……な、なにしてくれてんの……」
「おっ、しゃべった。元気そうだな? 大丈夫かね?」
「だ、か、らーーー! 無暗に話しかけんな! ……あーーーーーーーーっ!! もうっ!!!!! ……あっ!?」
聞こえなくなったベートーヴェンの声と、彼の音楽が頭の中に戻ってきた。よ、よかった。どうやら彼を失ってなかったみたい。
「お、おまえ、泣いてんのかよ? ほんとに、大丈夫だろうな……? なんか心配なんだよな、最近のおまえ」
「はあ!? 小学三年生から、コンニチ中学二年生まで、てっちゃんとはしゃべってないでしょうがあ! いまさら何言ってんの? 心配ってなにが!?」
「おわっ、そんな怒鳴るなよ。……まあな、確かにおまえとはしゃべる機会なかったけど、最近様子がおかしいから、おまえんちのおばさんから、ちょっと様子見てって頼まれたんだよ」
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