田舎の都

祖父母の家を取り囲むのは

田んぼ 田んぼ 田んぼ 田んぼ

田んぼを取り囲むのは

あぜ道 あぜ道 あぜ道 あぜ道


そんなまっ平らな地面は地平線まで続かない

波をせき止める堤のように

森や山がとおせんぼ


そんな森や山が守る向こう側に

いったい何があるだろう


答えはなんにもない

ここと同じように

田んぼとあぜ道が

碁盤の目のように折り重なっている

ただ それだけ


つまらなく 代わり映えのない場所

それでも ひとつひとつのあぜ道は

違う景色を見せてくれる

それはまるで京都の小路のように


人を乗せた人力車も

唐傘をもった舞妓もいない

それでも 質素と荘厳を纏う

そんなあぜ道が 大好きだ


だから私は歩く

次に通るあぜ道が

また新しい景色を見せてくれると信じて

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