第6話 経済学10作
国富論(全3巻)
経済発展の理論(全2巻、シュムペーター)
貨幣、利子および雇用の一般理論(全2巻)
隷従への道
経済の文明史(ポランニー)
貧乏人の経済学
お金2.0
みずほ銀行システム統合 苦闘の19年史
恐慌論(宇野弘蔵)
資本主義と市民社会他十四篇
経済学のおすすめ十作である。経済学は、合っていても、まちがっていても、人々の暮らしにあまりにも巨大な影響を与えてしまう。貨幣とは労働力のことである。みんなが貨幣を欲しがるのは、その貨幣の分、他人に働いてもらいたいのである。みんな、働くのは嫌なのである。だから、貨幣が価値を持つ。他人が働くのが嫌なのに、自分も嫌な働くことを行ったから貨幣が手に入り、それを消費できるのである。
アダム・スミス「国富論」(全3巻)
近代経済学の始まりはこのアダム・スミスの「国富論」からとされる。読むことをおすすめする。働いて楽しい職業につくのが身分が高いということであり、仕事が面白くないと賃金だけが喜びとなってしまう。このことを大学時代にすでに知っておきたかった。これを読めばわかるが、十八世紀イギリスでは、庶民の取引は小麦で行われており、インド人が小麦の支払いを受け取らないので、黄金と銀を船で運んで支払ったのだ。
シュムペーター「経済発展の理論」(全2巻)
この本は株式市場の本当の意味を教えてくれる。それを知れば、為替市場で投機家が情け容赦なくぶっつぶされていくことにも納得してしまう。金融は本当に金融だ。おれには、世界中の株式市場がシュムペーターの思想を実行していると感じる。
ジョン・メイナード・ケインズ「貨幣、利子および雇用の一般理論」(全2巻)
有名な本である。しかし、とても扱いの難しい本なのだ。この本を重要だと主張する人たちが、どちら側を応援しているのかわかりにくいのだ。どちら側とは、経済で謀略を仕掛けている人たちなのか、経済を良好な分配にしようとしている人たちなのかである。どちらなのか、この本を大事にしているだけではわからない。
フリードリヒ・ハイエク「隷従への道」
1944年のオーストリアの経済学者の本。資本主義と共産主義が対立した二十世紀の東西冷戦において、共産主義のまちがいを適格に指摘した経済学者の本である。読む前はぼんやりしていた経済の構造が、これを読むことによってはっきりと考えられるようになり、生きた経済学を感じる良い経済学書である。
カール・ポランニー「経済の文明史」
二十世紀のハンガリーの経済学者の本。経済雑学がたくさん書かれていて、楽しく読んでしまう。この本は知的刺激が多く、読んでいて退屈することがない。しかも、経済とは何かを解明しようとする目的意識のある経済学者の本なので、経済学の思索を深めるのにとても役に立つ。
バナジーとデュフロ「貧乏人の経済学」
二十一世紀の経済学の本。二人の共著である。貧困問題を研究する経済学者の本である。貧困がなぜなくならないのか、政府の開発援助はなぜうまくいかないのか、いくつかの発見をしている。具体的な統計がたまに出てきて、衝撃的な現実が暴き出されることもある。あまりにもひどい世界の現実を知るなら、ぜひ読んでおきたい本である。
佐藤航陽「お金2.0」
佐藤航陽は、法学部中退の起業家である。経済学者ではない。しかし、インターネットの仕事をしていた時に気づいたのか、面白い貨幣の可能性に気づいた。それは、経済を価格だけで計算していては経済の実態が見えないだろうと考えていたおれに、衝撃を与える内容だった。佐藤航陽の発見には、新しい経済用語を考え出して、経済学の新しい分野を築けるのではないかと思った。
著者多数「みずほ銀行システム統合 苦闘の19年史」
非常に良い本だ。わかりにくく、難しいが、それはシステム設計者(システムデザイン)の仕事は、これくらい難しい書類を読むことが常識であるということなのだろう。貨幣システムの構築は果たして成功するのだろうか。あんな巨大なものを理解して決断する人はどんな頭をしているのか。システム設計者の仕事の雰囲気が少しはわかり、おれにはおそらくできないシステム設計者の気分を味わえる。
宇野弘蔵「恐慌論」
二十世紀前半の日本の経済学者の本である。ヨーロッパにおいての歴史上の恐慌をたくさん記録したものであり、経済を知るための事実を伝える資料になっている。ものすごくたくさんの恐慌の記録が出てくるから、とりあえず、景気不景気についての事実を知りたければ読むべきである。世界観の変わる面白い本だった。
大塚久雄「資本主義と市民社会他十四篇」
二十世紀半ばの日本の経済学者の論文をまとめたもの。西洋列強が覇権国家となった原因が、産業革命にあるのは確かであるようだ。論文「資本主義と市民社会」で、イギリスで産業革命が起きた原因を探求する。
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