第31話差し込む光
スマホ越しに一花さんの声が聞こえる。
『曲のファイル後で送るね』
「うん」
『――文化祭、行けそう?』
「……わからない」
ロボットのように淡々と中身の無い言葉を吐く。
『そっか…症状が良くなったりしたら、また電話してね!』
「わかった」
電話を切り、のど飴の袋を開けようとすると携帯から着信音が鳴り始めた。
「誰からだよ…」
乱暴に携帯を取り、画面を確認する。
冬弥
その2文字が大きく表示されていた。
『よっ。久しぶり』
「んだよ」
『声ひっく!?どした!?』
全部話すのは少々めんどくさかったが、1から10まで話すことにした。
『なるほどねぇ……要するに文化祭に行けねぇかも知れねぇってビビってんだ』
「んだよその言い方」
俺の言葉を無視して冬弥は話を進める。
『……はっきり言って…ダサいぞお前?』
「……喧嘩売ってる?」
『お前を1回キレさせた方がいいとは思ってるよ』
冬弥の口から初めて聞く挑発的な言動に動揺しながらも、とりあえずこいつの話を聞くことにした。
『はっきり言ってお前らしくないんだよな。そうやってテンション下がってメソメソしてんの。俺が知ってる克己はそうやって苦しい間も仲間のこと考えて努力してる』
なるほどな。
『多分…』
理解出来たよ。
「部活に対する気持ちが強すぎる。だろ?」
『ハハ……目、覚めたか?』
「そりゃもうバッチリ。ありがとな」
『おうよ』
電話を切って、一花さんに曲のファイルを渡してもらった。
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