第15話真夏のゲーセンは疲れる2
「まずは何する!?」
冬弥が目を輝かせながらこちらを向いて言う。
所持金をゆっくり使い尚且つ楽しめる方法を考えなければならない。
「まずはUFOキャッチャーして、メダルゲームして、それから――!」
「まぁとりあえず両替してゲーセン回ろっか」
「だな!」
俺の意見に冬弥は同意した。両替機に1500円を入れ、カップの中にメダルが4分の1程度溜まった。
「なんで1500円?」
「ん?残りはUFOキャッチャーとかに使いたいからね」
なるほど、と冬弥が俺と全く同じ行動を取った。
「俺釣り〇ピやりた〜い」
釣り〇ピとは、竿型のコントローラー「サオコン」を使い液晶に表示された魚を釣るゲームだ。魚にはレア度があり、高いほど釣り上げるのが難しくなる。また、メダルを1枚消費し魚に電気ショックを与えることが出来る。地味に腕が疲れるのと、上手くいかないとメダルが一瞬で溶けるぞ。(経験談)
「じゃあ僕もやろ〜」
まぁやるんだけどね。
メダルを15枚入れて竿型のコントローラーを握る。ヒンヤリとしたプラスチック製の持ち手はが持ち心地がかなり良かった。
ところで…向かいからメダルの投入音が鳴り続けてるんだが……顔を上げると、せっせとメダルを投入する冬弥の姿が。間違いない、全てのメダルを入れる気だ。
「ちょ待っ…!お前全部入れる気か!?」
冬弥はキョトンとした顔で答えた。
「え?うん。ここで増やしとけばいっぱい遊べるじゃん」
そう言っている間も冬弥はノールックでメダルを投入する。
僕にその勇気はないな……
一番レベルの低い竿のノーマルロッドを選択し、サオコンを振る。液晶に釣り糸が表示された。小さい魚影が寄ってくる。
『HIT!』の音声がなったと同時にリールを巻く。それはもう全力で。小さい魚だからといって油断していると速攻で糸を切られるからだ。
釣れたのはカクレクマノミ。5枚メダルを獲得した。
現在のメダル枚数は32枚。
サオコンが震え、『グレートクラス接近中!』と音声が流れる。端から紫色の巨大な魚影が現れた。形からしておそらくジンベイザメだろうか。
僕は10枚メダルを消費し、3番目にレベルが高いウルトラロッドを選択した。
魚影に向かってサオコンを振る。すると『グレートクラスHIT!』と音声が流れ、ジンベイザメが姿を現した。
「やったれ克己!」
「やったるわ!ウラァァァァァァァ!!!!!」
サオコンの根元を腹に当て、咆哮を乗せてリールを巻く。
ジンベイザメを順調に引き寄せる。
いける!!いけるぞ!いけ―――
ブチッ!
「………」
――釣り〇ピはここまでがテンプレ。メダルを沢山使い良い竿を使ってでかい魚を釣ろうとして糸が切れる。かといって低いレベルの竿を選択すれば釣れない。恐ろしいゲームだ。
「お前の代わりに俺が釣る!ウラァァァァァァァ!!!!!」
そんな「お前の代わりにトイレ行く」みたいな……
『グレートクラスGET!!』
釣れるんかい!!!!
◇◇◇
「ここら辺でやめとく?」
ここら辺でやめないとかないと嫌な予感がする。結局残しておいたメダルも使ったし……
「俺もそうしよ」
冬弥はやけに上手かった。気づけば元の1.4倍程メダルを獲得している。
「このメダルどうする?」
「メダル預けれる機会あるからそこに預ける?」
「そうするか」
僕達はカウンターの近くにあるメダルを預けれる機械――これ正式名称なんなんだ?まぁいっか。そこにメダルを預けることにした。
パスワードを入れ、指紋を登録する。
冬弥の方の台には2万枚程預けられていた。どうやらここにはよく来ているらしい。
「UFOキャッチャーするか!」
「イェーイ!」
ここには相当な数のUFOキャッチャーがある。
「俺フィギュアのやつ探すわ!」
「いってら〜」
僕はお菓子が取れるUFOキャッチャーを探そう。
僕の目に止まったのはポテトチップスのUFOキャッチャーだった。ポテチなんていくらあっても良いからな。僕は100円を入れた。縦と横に動かすボタンが光り、ポップなBGMが流れ始めた。
アームを紐に引っ掛けて落とすタイプだ。縦と横に慎重に動かす。
「ここだ!」
意を決してボタンを押し、アームが降りていく。
スカッ
見事に外れた。それはもう見事に。
まだだ!まだ――
スカッ
ダメだこりゃ。僕はその台を離れ、別の台を探した。
次に見つけたのは指定された位置で光を止め、お菓子を落とすタイプの台だ。
僕は躍起になって100円を入れた。なぜなら僕はリズム感には絶対的な自信がある。
円形状のLEDが回転しだした。
1箇所綺麗に止めればデカめのポテチをGETできる。
「ハイ…ハイ……ハイィ!!」
声が裏返ってしまった。
止まった光の位置は―――
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