第6話歌唱部の部員たち 美香編

 「ただいま~――もう仕事行っちゃったか」


 私の名前は数音美香かずねみか。歌唱部でドラムを担当している。

「宿題宿題…」

 バックからプリントを取り出し、宿題を30分ほどで終え、リビングへ向かっ

 た。


「おやつおやつ~!」

 昨日買った少し高いチョコを冷蔵庫から取り出した。

「いっただっきま~す!」

 口の中がビターで上品な甘さで包まれる。

「ん~!何個でも食えるよこれ~!」

 すぐに食べ終わり、自分の部屋へ戻って読書を始めた。


 私は毎日最低一冊本を読む。

 小さい頃から本が好きで、学校でも休み時間はいつも本を読んで過ごす。

 本を読んでいると気分が落ち着き、頭にいろんなことが浮かんでくる。


 明日の予定、部活のこと、勉強のこと、今日の夜ご飯、先輩の良いところ、買いたい本のこと。

 様々なことが浮かんでくる。


 そうやって色んなことを考えていると、きまって眠たくなる。

 そのまま寝てしまい、3時間ほど部屋は静かになる。

 誰かが起こそうとしても全く起きない。

 夜ご飯は8時半ぐらいに食べ、寝るのは12時くらいになる。


 「……ふぁ……寝ちゃってた…」

 辺りは既に暗くなっている。

 一階に降りて、コンビニの弁当をレンジに入れた。

 親は工場で働いており、帰りが遅い。

 寝ている間も仕事中で、夜中にふらっと帰ってくる。

「お風呂入ろ~」

 体、頭、顔を洗い、10分ほど湯船につかった。

(そろそろ逆上せちゃうかな。上がろ)


 風呂から上がれば時間は9時になっている。

 眠くなるまでテレビを見たりスマホをいじったり、基本リビングで過ごす。

 そして眠くなったら、自分の部屋に戻りベットに横たわる。

 自分で目を閉じて寝ることが苦手なので、寝落ちするまでスマホを見た。


 この日は2時くらいまで寝れなかった。


 「…もう朝…早いなぁ…」

 カーテンを開け、着替えて一階に降りた。

「おはよ~」

「おはよう。朝ごはん置いといたからね」

「ん。お父さんは?」

「仕事。ほら、冷めちゃうわよ」

「は~い。いただきま~す!」


「ごちそうさま~」

 顔を洗い、歯磨きをした。

「行ってきま~す」

「行ってらっしゃい」

 外に出ると、近所の桜の木に桜が咲いていた。

「桜咲いてる~!!」

 薄い桃色の花びらを見て、少し目が覚めた。


 「!!」

 その時、曲がり角から眠そうに目を擦る朱音先輩の姿が見えた。

「せ~んぱ~い!!!」

「うぇ?あ、美香ちゃん。朝から元気だねぇ」

「先輩眠そうですね。寝れなかったんですか?」


 私の目は完全に覚めた。最高級の目覚まし「朱音先輩」に出会ったのだから。

「歌の練習とか、音楽聞いてたら寝れなくて…」

「先輩らしいですね~」

「そう?」

 私の朝は最高の朝になった。


 「はいみんなおはよう~」

 ホームルームを終え、授業が始まった。

「はいじゃあ授業始めます。教科書14ページ開いてください」


(授業めんどくさいなぁ…頑張るかぁ…)

 ノートをとり、教科書を読む。

 いつもならあまり集中できないことが、一人の女性のおかげで楽々だった。

(めっちゃ集中できる…!)

 そのまま順調に授業を進めていった。


♢♢♢


6時間目が始まった。


(和人君大丈夫かな…)

 チラッと和人君の方を見ると、案の定イジられていた。

(あ~…やっぱり…よし!元気づけに行くか!)

 和人君の友達が去った後、駆け足で和人君の方に向かった。

「和人く~ん!」

「美香さん!グラウンド行かないんですか?」

「またイジられてたから元気づけてあげようと思って!和人君は頭いいんだから!運動音痴でも輝けるって!」

「…!ありがとうございます!」

「も~同級生なんだからわざわざ敬語使わなくてもいいのに…」

「部活では先輩なので!」

「まあそうだけど…まあいいや!頑張ってね!」

「はい!」


 放課後――

「部活♪先輩♪」

 駆け足で部室に向かうと、3人とも既に部室の前にいた。










 






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