第4話歌唱部の部員たち 克己編

 「ただいま~」

 僕は歌唱部という部活に出会った。

 そこでいろんな人たちと出会って、僕の学校生活は大きく動き出した。

 笑顔で玄関のドアを開け、リビングに入った。


「あら?なんか克己機嫌良いじゃない!なんかいいことあったの?」

「それがさ――」


かくがくしかじか――


「ほんとに!?よかったじゃない!部活楽しみなさいよ!」

「うん。ありがと」

 ここまで笑顔になったのは久しぶりかもしれない。

 にしても部員が少なか―いや、なんでもない。

 宿題をパパっと済ませて、スマホを起動した。

「奥の方に…あった」

 クローゼットの奥から小さめのスピーカーを取り出し、スマホに繋げた。


 僕は中学2年生の頃、特に歌に熱中していた。

 動画サイトにあるカラオケ動画を探しては、歌いまくった。

 お気に入りの曲を検索して久しぶりに思いっきり歌ってみた。


「楽しい…!」

 そうだ。この気持ちの昂り、久しぶりに思い出した。

「次はこれ、その次はこれ―」


「克己~ご飯できたよ~!」

 そういえば夜ご飯のことをを忘れていた。

 階段を下りてリビングに入る。テーブルに座り手を合わせた。

 昨日の真顔は綺麗さっぱりなくなっていた。


 食べ終えて食器を下げ、また2階に上がり音楽を流した。

 気付けば10曲以上夢中になって歌っていた。


 数時間後―

 「あ゛~あ゛~うわ。声枯れてる…しかももう12時半じゃん」

 夢中になりすぎて時間も喉のことも忘れていた。

「さすがに寝るか…」

 ベットに横になり寝ようとしたのだが、歌ってテンションが上がってしまっていて眠れそうになかった。

 大抵は目を閉じていれば眠くなるのだがそれも通用しない。

 結局約2時間後、やっと眠りにつくことができた。


「おはよ~…」

 目をこすりながら階段を降り、棚から朝ごはんのカレーパンを取り出した。

「いただきます…」

 眠い。とにかく眠い。

 起きたのが大体5時だったので3時間ほどしか寝ることができてない。

「ごちそうさま~」

 ゴミ箱に袋を捨てて洗面台に向かう。

「歯ブラシ歯ブラシ…うわ。くまやばいな…」

 案の定目元にくまが出来ていた。


 朝の歯磨きを終え、カバンを持ち、

「行ってきまーす」

 いつもの見慣れた道を歩き学校に着いた。

(眠い…ちょっと仮眠するか…)

「はいみんなおはよう~」


 (マジかぁ……)

 最悪だ。いくらなんでもタイミングが悪すぎる。

(あ~どうしよ。絶対授業中寝るじゃん…)

 ホームルーム中も眠気とタイマンして、なんとかホームルーム中はどうにかなった。

 ホームルーム中


「はいじゃあ授業始めます。教科書14ページ開いてください」

(やばい…マジで…)

 限界に近かったが、なんとか1時間目は耐えきった。

 すぐさま顔を洗いに行き睡魔と距離を置くことが出来た。


 2時間目も少し眠かったが、何とか授業を終え仮眠をとった。

(何とかなったな…残りの授業頑張ろ)


 そして放課後――


「部活だ~!!」

 スキップで部室に向かうと、朱音先輩と和人先輩が既に部室の前に立っていた。












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