第5話「新生活」後編

 と……月曜日まで飛ぶ前にごめんなさい、もうひとエピソード入らせて頂きます。



 本日は人によっては憂鬱な日曜日、その昼でございます。



 そして今日は家族プラスミギヒロで近所のショッピングモールに遊びにやってきましたー。




[朝蔵 大空]

 「ご飯どうする?」




 私はショッピングモールに着いた瞬間もうお腹が空いたので、お母さんにどこでお昼ご飯を食べるか聞いてみる。




[朝蔵 葵]

 「うーん今日は初めてミギヒロ君もお出かけ出来た訳だし……奮発して食べ放題にしましょう!」




 この母、何故かやる気だな。




[朝蔵 真昼]

 「と、なると……ビッフェか」




 真昼も珍しく興味の様子に見える。



 こんなに可愛い真昼でもやはり高校生男子、食べる時は食べたいものなのだ。




[加藤 右宏]

 「メシか!?」




 ミギヒロはタダ飯貰えると気付いてご機嫌だなぁ。



 こいつ将来ヒモおとこになりそうだな、なんならもう既に今の時点でヒモだけど。



 皆張り切ってるなー、私そんなに食べられるかな?



 唐揚げあるかな!?



 ファミリー一同いちどう真っ直ぐバイキング会場へと向かった。




[加藤 右宏]

 「うわーお……ウヒョ〜!このタルトうまそー!」




 ミギヒロは入口すぐのデザートのコーナーに目を光らせる。




[朝蔵 真昼]

 「いきなりデザートかよ」




 それからしばらくして……。






 ドカッ。






 コーナーから戻って来たミギヒロが、色んな料理やスイーツを山盛りに皿に乗せたものを私達が座るテーブルに置いた。




[朝蔵 真昼]

 「うわ明らかに持って来すぎ……どうせ食べられないくせに」



[朝蔵 大空]

 「フードロスって知ってる?」




 真昼と一緒にミギヒロをあおる。




[朝蔵 真昼]

 「お姉ちゃんも唐揚げばっかで偏ってるね」



[加藤 右宏]

 「まあまア!かたい事言うなよ!」




 ミギヒロ本人全然気にしてない様子。



 あと多分フードロスって言葉の意味本当に知らないんだろうな。




[朝蔵 葵]

 「うふふ、なんだかこうやって3人で掛け合っているのを見ると、千ちゃんがいた頃を思い出すわ。3人共本当の兄弟みたい!」



[大空&真昼]

 「「やめて」」




 こんな奴と兄弟になったつもりは無い、真昼もきっと同じ事を思ってるはず。



 お母さん、千夜お兄ちゃんがいた時を思い出してるのか……そう言えば兄弟3人でよくここ来たなぁ。



 確かに懐かしい気持ちになる、あの頃の私の立ち位置は真ん中っ子だったけど、今は私が1番上だ。



 お兄ちゃんに会いたい。




[加藤 右宏]

 「なんなんだこのアウェイ感……」




 私達は構わず食事を続けた。




[加藤 右宏]

 「うえー気持ちわりィ」



[朝蔵 大空]

 「だからちょっとずつにしなさいって言ったのに……」



[加藤 右宏]

 「だーって全部旨そうだったんだもん!」




 ……。




[朝蔵 大空]

 「って、あれ!?お母さんどこ?!」




 気付くとレジで会計をしていたお母さんが居なくなっていた。




[朝蔵 真昼]

 「あっ、『あとは子供達だけで楽しんで』だってさ」



[朝蔵 大空]

 「あー……」




 そう言えば、ここは私のお父さんの会社の近くだった。



 ああそうか、お母さんきっと……。



 今日はゆっくりさせてあげよう。




[加藤 右宏]

 「な……ナンナンダオマエラー!」




 !?



 ミギヒロの大声が聞こえた方を振り向く。




[警官A]

 「君なんか挙動おかしいよ?そのゴーグル何?スイミングスクールかなんか?」



[加藤 右宏]

 「す、スイミングスクールだと?オマエら一体何者なにもんだ!?」




 ミギヒロは警官男2人に職務質問?されているようだった。




[警官A]

 「……?」



[加藤 右宏]

 「アッ!先に言っとくがこの仮面は外せないぞ!外したらオレのデーモンパピーが……ウワー!これ以上は恐ろしくて言えない〜」




 ミギヒロ!その発言内容は何も知らない一般人からしたら意味不明だよ!



 しかも警察に対して!



 面倒臭い事になりそうだから赤の他人のフリしとこうかな?




[朝蔵 真昼]

 「……」




 って!隣の真昼はもう既に赤の他人モーションをしている〜、ミギヒロに一瞥いちべつもくれていないじゃないの!



 改めて我が弟のドライさを痛感する。




[警官B]

 「またこう言う系か……最近多いですね」



[警官A]

 「まったくだ、こう言った子はきちんと学校とかでカウンセリングを受けて……」




 警官2人に可哀想な子みたいな扱われ方をされている。



 まあいいや、あいつがまた変な事言う前に助けに行こう。




[朝蔵 大空]

 「も〜!居たミギヒロ!おまわりさん困らせちゃダメでしょ!もーいつもそうなんだから!」




 私はミギヒロを戻って来させる為、無理やり警察とミギヒロのに入った。




[加藤 右宏]

 「え……困らせるも何もコイツらがオレに話しかけてきて……」



[朝蔵 大空]

 「いいから行くよ!どうもうちのがすみませんでした!」



[加藤 右宏]

 「うわぁ引っ張るな乱暴者〜!」



 

 警察のそばを離れてからケータイを確認すると、真昼から『ゲーセン行ってくるけど来ないでね』って言うメールが届いていた。



 早速ひとり行動か、と思った。



 まあお互いもう高校生なんだから心配しなくて良いとは思うが……。




[朝蔵 大空]

 「私はどうしよっかな」




 そう言えば、今ならお兄ちゃんに会えるんじゃないか?



 私はポケットからケータイを出し、お兄ちゃんに電話をかける。



 『皆で遊びに来てるよ』と伝えたい。



 だけど。




[朝蔵 大空]

 「出ない……はぁ」




 待っててもお兄ちゃんは電話には出てくれなかった。



 仕事で忙しいんだろうな、分かってたけど。



 この様子だと今年も家族旅行は無理かな。




[加藤 右宏]

 「〜♪」




 こいつは見てないととんでもない事やりそうだな。



 あんまり気は乗らないが仕方無い、一緒に行動する事にしよう。




[朝蔵 大空]

 「ミギヒロ、どっか行きたいとこある?」



[加藤 右宏]

 「んぁ?うーん……分からん!」




 ミギヒロはショッピングモールなんて初めて来たからどこに行きたいかと言われても答えられないのだろう。



 と言っても、モールだから大体なんでもあるのだが。



 ここは街だぞ。




[朝蔵 大空]

 「ああそう、じゃあ私の行きたい所に行くけど、ちゃんと着いて来てね?」



[加藤 右宏]

 「オウ!」




 本屋さんに行こう、良い漫画あったら買っていこう。




[加藤 右宏]

 「スゲー!漫画いっぱいだなぁ!」




 ミギヒロは初めての本屋にウッキウキなご様子。




[朝蔵 大空]

 「本に触らないでね」



[加藤 右宏]

 「えっ……」




 私はミギヒロを無視して漫画コーナーを練り歩く。




[朝蔵 大空]

 「……『超絶美少女女神に愛されてしまった俺は無理やり異世界に転生させられたけどハーレム築けたので結果的に感謝してる』……?」




 タイトル長!噛みそう!!



 って言うか最近こう言うあらすじみたいな題名のラノベ漫画ほんとに多いな。



 結局本屋には気になった漫画は特に無かったので何も購入しなかった。




[加藤 右宏]

 「イイニオイスルナー」



 

 次に私達は石鹸屋さんにやって来た。



 色んなボディソープやらシャンプーやらトリートメントやら入浴剤やらが並んでいる。



 お店も清潔感あってキラキラっ。



 ショートカットの店員のお姉さんも可愛い。




[朝蔵 大空]

 「あっこれ欲しいかも」




 私が手に取ったのは新作のミルク入浴剤。



 お肌とかモチモチ、うるうるになるんだって。



 そうポップに書いてある。




[加藤 右宏]

 「お湯が白くにごるノか……」




 私は入浴剤をポケットマネーで購入したのち、ケータイを見ると真昼から『お母さんがそろそろ帰ろうだって』とメールが届いていた。



 もうそんな時間が経ったのか、帰ろう。




 ……。




[朝蔵 大空]

 「もうお風呂入っちゃおー」




 私はお風呂に入ろうと風呂場に来る。



 湯船を見るとミルク風呂になっていた。



 お母さんに入浴剤入れてって頼んでたんだったな。



 やった、早く入りたい。




[朝蔵 大空]

 「よし!」




 私は衣服をパパっと脱いで軽く湯浴びをしてから湯船に浸かった。




[朝蔵 大空]

 「はぁ、良い匂いする……」






 こぽこぽこぽ……。






[朝蔵 大空]

 「え、何?……うわ!!」




 湯船から"金色"が浮かんできた。




[加藤 右宏]

 「ぷはぁ……!今日は確実に、昨日より長く潜れタナ!」




 ミギヒロ?!



 うちのお風呂湯船が結構広いから、潜ってたなんて全然気付かなかった。




[加藤 右宏]

 「エ、って、え?な、なんでお前ここに居るんだ!?お、オレの裸を見に来たのカ!?」



[朝蔵 大空]

 「きゃっ……きゃー!!出てって!出て行きなさいよ!!」




 私は勢い良くミギヒロに向かってザパーンとお湯をかける。




[加藤 右宏]

 「うわーやめろー!」




 そばにあった桶を投げようと思った時、私はある事に気が付く。




[朝蔵 大空]

 「あっ?」




 このミギヒロ、いつも着けているゴーグルを着けていない。



 あれこいつ。




[朝蔵 大空]

 「ミギヒロあんた、そんな顔だったのね」




 こいつ超絶美少年じゃーないの!



 これなら真昼とタメ張れる……。



 なんだろう、悪魔的魅力さえある気がする。




[加藤 右宏]

 「なんだよ……」




 見ていたらミギヒロは私から背を向けた。



 ミギヒロの顔、赤くなってる?



 照れてるの?意外だな。




[加藤 右宏]

 「お、オレもう出るカラ!!」




 ミギヒロからお風呂から上がって行ってしまった。



 私はその時ある事を思い出す。




[朝蔵 大空]

 「あっ里沙ちゃんに写真……また今度でいっか」




 それにしてもあの顔面、里沙ちゃんが生で見たら狂っちゃいそうだな。



 それにしてもこんな近くにあんな逸材が居たなんて……。




 ……。



 私は深夜に目が覚めた。




[加藤 右宏]

 「グースカ……」



[朝蔵 大空]

 「喉乾いた……」




 喉が乾いた私はベッドから立ち上がり、キッチンへ水を飲みに行った。




[朝蔵 大空]

 「ふぅ……」





 

 ガシャンっ。






[朝蔵 大空]

 「えっ……?」




 外に誰か居る?



 ポストに何か入れられたような音がした気がする。



 私は気になって外に出て行ってみた。




[朝蔵 大空]

 「あ……なんか入ってる。って趣味の悪い柄……」




 ポストを開けて覗いてみると、何か怪しい封筒のようなものが入っていた。




[朝蔵 大空]

 「えっ、私て?」




 手に取ると、封筒の隅の方に『アサクラソラ様』と書かれていた。



 私のって事だよね?開けてみよう。



 私はその場で封筒を開けると、中から一枚の手紙が出てきた。



 するとそこには……。






 初めましてソラさん、いつもお世話になっております。使いの者からうちの息子の魔王試練のパートナーをしてもらってると聞いております。ありがとうございます、特別やんちゃな息子ですが、わたくし共からもどうか息子をよろしくお願い致します。






 と、書かれていた。




[朝蔵 大空]

 「何これ……」




 当然私は、イタズラ?かと思った。



 私への手紙な事は名前が書いてあるから間違いなさそうだけど、一体どこからの手紙?



 怪しい……でも一応取っておこう。



 私は手紙をたたんで封筒に入れ直した。



 その時だった。






 ガチャ。

 





[朝蔵 大空]

 「えっ?」




 あれ?



 隣の家から誰か人が出てきた。



 あれは確か巣桜さんのおうち……。



 あれは……。



 中から出てきたのは――




[朝蔵 大空]

 「うわぁ……」




 男の子?女の子?可愛い子。




[朝蔵 大空]

 「こんばんは?」




 あれっ、でも巣桜さんの家から出てきたって事はもしかして昨日の話に出てきた……。




[巣桜 司]

 「ふわぁ?!こ、こんばんは……」



[朝蔵 大空]

 「司君だよね?」



[巣桜 司]

 「あ、はい司です……?」






 「新生活」おわり……。

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