第5話「新生活」前編
[嫉束 界魔]
「優しくないよ、あいつは」
どうしてだろう、私は笹妬君の事をとっても優しい人だと思ってるし、実際優しくしてもらって私はあの時間救われたし。
嫉束君は知ってて私が知らない、そんな彼がいるって事なの?
[朝蔵 大空]
「えっと……でもね!笹妬君は泣いてる私にずっと寄り添ってくれたし、ジュースとかくれたんだ!」
私はあの時笹妬君に優しくしてもらった内容を嫉束君に説明する。
[嫉束 界魔]
「泣いたの?」
[朝蔵 大空]
「あっ」
[嫉束 界魔]
「やっぱり……何かされたんだね」
やばい、嘘ついたってバレる!
あの子達に酷い事を言われたってバレたら、なんか嫉束君に悪い気がするし。
誤魔化さなきゃ!
[朝蔵 大空]
「いや?私が転んじゃって……こ、高校生にもなって転んで泣くなんて。だ、ダサいよね!あはっ、あははは」
私は笑って誤魔化した、でも嫉束君は納得出来ない様子だった。
[嫉束 界魔]
「……あいつには近付かない方が良いよ」
どうしてそんな事を言うの?
彼は私に優しくしてくれたよ?
そんな事を言われたら私の笹妬君を見る目が変わってしまいそうになる。
それとも出会い方がたまたま良かっただけ?
[朝蔵 大空]
「そ、そうなんだね」
私も真に受ける気は無いが、嫉束君にそう言われると、なんか気になる。
[嫉束 界魔]
「うん。ごめんね、変な事言っちゃって。でも、大空ちゃんには傷付いてほしくないから」
私が笹妬君と関わると、私が傷付く事になる?
[嫉束 界魔]
「ほら、友達だからさ!」
[朝蔵 大空]
「あ……そうだね」
そうだった、嫉束君とは友達って事になってるんだった。
全然実感湧かないな、住む世界が違いすぎて……。
酷いな私、自分から友達になろうって言ったのに。
でも友達が居なくて辛いって気持ちは私にも分かるから、せめて私だけでもって思ったんだよね。
[嫉束 界魔]
「……」
[朝蔵 大空]
「あっ」
私達は
人が集まってくる……。
そう察した私は、どうしよう、とアワアワとする。
[嫉束 界魔]
「大空ちゃん、もう行った方が良いよ」
[朝蔵 大空]
「う、うん。じゃあね」
私は学校
[SFC会員C]
「あー♡嫉束君だ〜」
[SFC会員D]
「何してんのー?もしかして、テニス戻る気になった?!」
女の子達に見つかった嫉束君の周りには、一瞬で人
[嫉束 界魔]
「……ごめんね」
嫉束君はそれに構わず彼女達から離れ、彼女達に背を向け歩き出す。
[SFC会員D]
「あー行っちゃった〜」
[SFC会員C]
「あんたが余計な事言うから!」
[SFC会員D]
「な、なによ〜」
嫉束君が帰ってしまい、残念がっていたかと思ったら、隙あらば喧嘩をしだす彼女達。
[嫉束 界魔]
「…………あーあ、嫌だな。チッ」
顔に似合わない舌打ちをする彼。
[嫉束 界魔]
「あれさえ無ければ……クソっ」
誰も見てない所で不満を
……。
[朝蔵 大空]
「元気?」
[永瀬 里沙]
『うん!元気よ』
今は自分の部屋で友達の里沙ちゃんと通話中〜。
[朝蔵 大空]
「よかった……」
[永瀬 里沙]
『いやぁ2年に上がってから先輩達のコキの使いようが半端無くってさー、さすがの私でも潰れちゃったわ』
[朝蔵 大空]
「きゃー、大変だ」
うわっ。
やっぱ水泳部とか、運動部ってそう言うのあるんだ……。
上下関係恐るべし!
[永瀬 里沙]
『大空もいればなぁ?楽しいのに〜』
[朝蔵 大空]
「え、私は無理でしょ……運動苦手だし」
[永瀬 里沙]
『たまには体動かした方が良いよー!気分も晴れるしさ!』
私はスポーツとかしないからこんな内気でボーッとした性格になっちゃったのか?
なんだか自分に危機感が……。
[永瀬 里沙]
『あ、そうそう聞いて!新しい1年生でめっちゃ良い感じの子が居てさー』
[朝蔵 大空]
「へぇ、部活の?」
どうせイケメンがいるとかそう言う話だろうな。
[永瀬 里沙]
『そうそう!その子めっちゃ感じの良い子でさ〜、いっつもニコニコしてんの。声も出るし、おまけにイケメンでもう部の皆
ほらやっぱり。
[永瀬 里沙]
『でも私はいいや、なんでもハキハキしてる後輩は可愛いけど、タイプではないかな。男はやっぱクール一択でしょ!!』
[朝蔵 大空]
「へーそうなんだ?なんか凄いね、あんま想像つかないけど」
[永瀬 里沙]
『てか、この前聞いた子その子なんだけどほんとに知らない?
あーあれか、先生が部活のポスター配ってた時に聞かれたあれか。
[朝蔵 大空]
「うん、誰?」
[永瀬 里沙]
『マジ?なんか大空の事知ってる感じだったよー。でも、中学の後輩に居なかったと思うし。てか居たらあんな可愛い子私が忘れる訳無いもん』
[朝蔵 大空]
「あははっ、そうだね!」
原地洋助、どんな子なんだろう?
ちょっと気になる……。
[永瀬 里沙]
『中学、
[朝蔵 大空]
「え、他校とか私は全然……その子が言ってるのほんとに私?」
[永瀬 里沙]
「いやーでも大空の名前出してたし……」
[朝蔵 大空]
「えっ」
何それちょっと怖い、なんで他校の中学校の子が私の名前知ってんの?
他校と言うか、自分の中学ですらあんまり話す人居なかったって言うのに。
[永瀬 里沙]
『まあいいわ、今度また詳しく聞いてみる。なんか知らんけどあの子私に1番絡んで来るのよね、だから先輩達も私に
[朝蔵 大空]
「ひー、女子って怖いね。あんまり酷いようだったらまた言ってね?」
私の里沙ちゃんに酷い扱いするなんて例え先輩
[永瀬 里沙]
『あはは!私はそんなヤワじゃないわよー。それに、そんなっ……まあアレじゃないから心配しないでー』
[朝蔵 大空]
「そ、そっか?」
なんだろう、里沙ちゃんが今何か言おうとしたみたいだけど、誤魔化された気がする。
でも
[永瀬 里沙]
『まあ風邪ぶり返すの怖いから今日は寝るわー、切るね』
[朝蔵 大空]
「うんっ、また学校でね」
ピッ。
[朝蔵 大空]
「ふぅ……」
[加藤 右宏]
「女子トーク終わったか?」
もうミギヒロが左隣に居るのが当たり前みたいになっているのだが。
[朝蔵 大空]
「うん。ごめん、寝よっか」
[加藤 右宏]
「ん」
私は目を
……。
[朝蔵 大空]
「すぅ……すぅー……」
私は寝息を立てて完全に眠っている。
[加藤 右宏]
「……よし」
皆が寝静まった夜、横になっていたミギヒロが体を起こす。
[加藤 右宏]
「メンドクセーけどやらなきゃいけないんだよナー……」
ミギヒロは何も無い空間から分厚い本を取り出した。
[加藤 右宏]
「えっと、『天使転生の儀』……あなたが
慣れない
[加藤 右宏]
「よしノルマ終わり!寝るっ」
……。
そして土曜日の朝が来る。
[朝蔵 葵]
「こんにちはー、お隣の朝蔵です〜」
ん?
[朝蔵 大空]
「なんだか外が騒がしい……」
今日は学校も無くて休日、1日暇で部屋でひとり漫画を読んでいた時だった。
ガチャ。
部屋に真昼が入ってきたかと思ったら。
[朝蔵 真昼]
「お姉ちゃん、お母さんが出ておいでだって」
[朝蔵 大空]
「え?」
なんだろう?
[朝蔵 葵]
「あっ大空ー、こっちこっち〜」
お母さんが私に手招きする。
[可愛めな奥様]
「こんにちは♪」
[朝蔵 大空]
「あっ、どうも。初めまして」
[朝蔵 葵]
「
なるほど、うちの隣ずっと空き家だったもんな。
ここ数日工事の人が居るなーって思ったらそう言う事か。
[巣桜 燕]
「大空ちゃんね、よろしくね!」
[朝蔵 大空]
「は、はい!」
わー可愛いお母さんだなぁ……まあうちの母だって負けてないけどね?
[巣桜 燕]
「可愛い娘さんね〜、うちの
[朝蔵 大空]
「えっ!?」
なんて
[朝蔵 葵]
「ちょっと燕さん!それは!気が早すぎるわよ〜!」
[巣桜 燕]
「うふふっ、あっそうだ……うちの息子、司って言うんだけど。大空ちゃんのクラスに入るみたいだから、よろしくね!」
私と同じクラスに入るって……まさか転入してくるの?!
ついこの前、うちのクラスには卯月神って言う子が入ってきたばかりなんですけど!?
[朝蔵 大空]
「あっ……司君?そうなんですか」
で、その司君って子はどこに?
このインドアの私がお日様の下に珍しく出てきたって言うのに、話題になっている人物は
[巣桜 燕]
「でもあの子……友達出来るかしら?心配だわ」
[朝蔵 葵]
「ふふっ、大丈夫なんじゃないですか?だって大空がいるんですし」
へ?
[巣桜 燕]
「それもそうね!大空ちゃん、司の事よろしくね!」
よろしくね!と言われても、その私がまず友達作り苦手なんだけどな……。
でもこんなに頼まれたら見捨てる訳にもいかないよ……。
[朝蔵 大空]
「あの、その司君は今日は……?」
[巣桜 燕]
「あっごめんなさい、司は滅多な事が無いとなかなか部屋から出て来ないのよ。ごめんなさいねっ!」
[朝蔵 大空]
「あー……そうですか」
何それ引きこもりって事?
私も人の事言えないかもだけど雰囲気からして私より重度そうだな。
私は冴えないオタクの顔をイメージする。
とりあえず眼鏡かけてて髪はボサボサで目は死んでて身なりが整ってない、典型的な…………オタク。
あと臭い。
ちょっと想像するとやだな。
[巣桜 燕]
「でも安心して!学校始まったら問答無用で引っ張り出してくるから♪」
[朝蔵 葵]
「うふふっ、顔を出すのを楽しみにしていますわ!」
あ、お母さんは司君がイケメンか美少年なのを期待しているな。
私はどうしてもアレな男をイメージしてしまうが。
もちろん燕お母様の方はとっても可愛いが。
どうかお母様の遺伝子を色濃く反映されててほしい。
[巣桜 燕]
「司ってば、前の学校ではあんまり上手く通えなかったみたいで……だから学校楽しいって思ってほしくて……」
[朝蔵 大空]
「……そうなんだ」
可愛い奥様。
そんな話を聞かされたら、もう面倒を見るしかなくなるじゃないですか。
私もこう見えて姉属性を持っている、ほっとけない。
決めた、例えどんな粗悪なオタクが出てきても私は絶対
対面するとしたらまた月曜日。
会えるのを楽しみにしているよ、巣桜司君?
つづく……。
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