何年かぶりに再読しました。梶井基次郎は一時期ひねもす読みかえし、何百回となく念入りに味わったものでした。
誰かが、日本三大櫻小説として、石川淳のもの、坂口安吾のものと、梶井基次郎の本作をあげてらした。三作とも拝読し、それぞれがそれぞれの美を、特色をみせ、おもしろい。
そのうちで、本作が一番短く、シンプルなつくりにはなっておりますね。
この度、読みかえしてみておもったのは、かかれていない部分について。例えば、屍体について。ウスバカゲロウのみなところ。
構想段階では、ひとや鹿や犬や、あらゆる動物があり、そのさまを描写してゆくつもりであったようですが。実際に見聞したものに絞ったのか、なにかしら事情があったのかわかりませんが。
美醜を反転させる感性、ジャン・ジュネを連想させられます。