第29話 子猫なり

・蜜吸いし帰った記憶つつじかな


・ようやくにこの世と触れる子猫なり


・蜂が歩く花弁の花粉


・春分の大安はいかに


・夜と昼を合わせて桜貝


・エビの触覚の長く流れる春の小川


・タンポポの綿毛吹かれて戻る西公園


自動更新定期券の憂鬱


春の波くりかえす長調



春の園ベンチ巻かれる香あり


オレンジにかかるナイフの重さで切る

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