第21話、此処は何処?僕はレイ

 朝、大体6時半くらいかな?僕達は家の前で魔法陣まほうじんの中に居た。

 メンバーは僕にレイン、ミィ、クロ、ハク、ドラコさん、クインさんだ。全員集合だった。

「じゃあ、全員揃ったな?そろそろこうか」

 ドラコさんの一言で、魔法陣が輝きを更にした。黄金色に輝く魔法陣。やがて、その輝きが限界に達した直後……その輝きが変化へんかした。

 黄金色の輝きは薄紫色に変色へんしょく。やがてその輝きは僕達をみ込んで……

「しまっ、この魔力まりょくの輝きは……‼」

「してやられたわね。ドロシーさんですか……」

 最後に、その言葉が聞こえた瞬間。僕達は別の場所に転移てんいした。

 ・・・ ・・・ ・・・

 魔法陣の輝きがおさまると、気付けば僕は一人になっていた。其処には、一匹のドラゴンが僕の前に立っている。どうやら僕はこのドラゴンにばれたらしい。それと、どうやら僕達は引きはなされたようだ。

「えっと?」

「ふむ、此処で錯乱さくらんしない胆力は流石といおうか。ではだまって着いてこい、お前には用事がある」

「……うん、分かったよ」

 そうして、僕達はそのまま別の場所まであるいていった。

 ……やがて、僕達は山のふもとまで来た。其処には一匹の老いたドラゴンが。老いたドラゴンは僕をじろりと睨み、尊大そんだいな態度で告げる。

「ふむ、貴様がかみの子レイか?」

「うん、僕がレイだよ?神様の子と言われてもそんな自覚じかくはないけど」

「ふんっ、ずいぶんと軟弱なんじゃくなものよな。そんな程度ていどで我ら竜種を認めさせようなどと随分と言いよるわ」

 老いたドラゴンと僕を連れてきたドラゴンは共に薄笑うすわらいを浮かべる。けど、やっぱり僕はそれでもレインをあきらめる事が出来ない。やっぱり僕はレインの事が大好きだからどうしても諦める事だけは出来ない。

 だから、僕は真っ直ぐ老いたドラゴンに歩み寄った。にらみ付ける、なんて事は出来ないけれど。僕は僕なりに真剣しんけんに老いたドラゴンを見詰める。

「僕はレインの事が大好だいすきです。そして、それ以上にきっとけず嫌いなんだと思います。貴方達にどうしても僕達の事をみとめて貰いたい。どうすれば僕達の事を認めて貰えますか?」

「……………………」

 老いたドラゴンは僕を真っ直ぐ睨み、深く考え込むようにだまる。

 だが、やがてその口元に深い笑みを浮かべ高笑たかわらいした。

「ふははははははははっ‼人間の小僧こぞうがずいぶんとぬかしおるわ‼よかろう、わしの試練に見事合格できたなら貴様きさまを認めようではないか‼」

「ちょ、長老ちょうろう!よろしいのですか!」

「構わん、どの道生きて合格など不可能ふかのうだからな!」

 そう言って、僕に不敵ふてきな笑みを見せる。生きて合格は不可能。という事は此処で僕が死ぬとこの老いたドラゴンは、長老は言っている訳か。まあ、確かに僕は今までレインやミィに助けられて生きてきた。

 けど、此処で意地いじを張れないようならきっと僕はどの道此処までなんだろう。

 だったら、僕だって意地を張ろう。レインとの関係かんけいを認めてもらう為に。

「分かりました。その試練しれん、受けます」

「……良かろう。だが、貴様に一つ忠告しておこう。死ぬぞ?」

「いえ、僕は死にません。きっと、この試練を切りけてみせます」

「ふふん、その粋や良し!良かろう、では我が試練を受けるが良い‼」

 そう言って、長老は咆哮ほうこうを上げた。

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