最終章

第19話、レインは力を溜めている!

 茶葉もお茶をかす道具も無い為、僕はコップに水を入れてドラコさんとクインさんに差し出した。水はすぐ傍にある川の水だ。水質は綺麗きれいだから問題はない筈。まあ客に出す水としてはかどうかと思うけど。

 しかし、ドラコさんとクインさんは気にした様子ようすがない。どうやらその程度は気にしないタイプらしい。

「では、さっきの話をつづけようか」

「はい……えっと、竜種の長老ちょうろうに僕達をみとめさせる為に直接会って欲しいんでしたよね?確か」

「うむ、それで合っている。くわしく言えば、長老と側近達がお前達の事をどうあっても認めない。すぐにわかれるべきだと言っていてな?」

「お父さん、そいつ殺しても?」

 レインの殺気さっきに、ドラコさんとクインさんは苦笑をらした。

 僕はレインをなだめる為、レインの背中をぽんぽんとでる。

「……レインから父さんと呼ばれるのは中々に感慨深いが、駄目だめだ。流石にそれは許可出来ない」

「むぅっ……」

「レイン、殺しちゃ駄目だよ?ちゃんとみんなに認めて貰わないと」

 レインに説得せっとくするけど、やっぱり納得出来ないらしい。うなりながら俯く。

 僕としては、レインから其処までおもわれるのは嬉しい話だ。けど、やっぱり殺すのは駄目だと思う。僕としては、レインに誰かを殺すつみを背負って欲しくない。

 それが身内みうちなら尚更駄目だと思う。やっぱり、僕としてはレインとの関係かんけいはきちんと皆に認めて貰いたいから。

 そんな僕達を微笑ほほえましそうに見つめながら、クインは言った。

「……レイン?長老たちをきちんと認めさせる為に、私達はこれから長老たちに会いに行くのよ?」

「……けどお母さん、長老たちは私達を認める気はいのでしょう?」

「大丈夫だ。それは認めさせる。約束やくそくをした以上、其処そこはきちんとするさ」

 そう言って、ドラコとクインは僕の方を見た。

 うん、此処で一つ気になった事を聞いてみよう。一応大事な事だしね?

「えっと、ドラコさんにクインさん?」

「其処は義父とうさんと義母かあさんで良いぞ?俺達は既に認めているからな」

「ふふっ……」

「あ、はい……ではお義父さんにお義母さん?以前、僕達を認めさせる為の試練しれんとして提示された条件は一年間の独立どくりつでしたよね?」

「うむ、よくおぼえているじゃないか。その通りだ」

「はい、その期限きげんまでまだかなりあったと思うのですが?」

 その言葉に、ドラコさんとクインさんは苦笑をらした。

「……まあ、簡単に言ってしまえばお前とレインの件はこの無銘の森に辿たどり着くまでの間にあらかた解決かいけつしたのだ。お前はレインと大事な仲間達を守る為に自ら率先して前へ出た。危険な場所であっても、普通ならこわくて進めない場所だろうがだ」

「えっと、ありがとうございます?」

「そして、だからこそ俺達は独断どくだんで期限を早める事にした。というよりも、後回しにするつもりだった事をさきに進める事にしたのだ」

「後回し……ですか?」

 ドラコさんはうむとうなずいた。

「それが、長老たちの説得だ。それが一番の難題なんだいだったからな。そして、事実長老たちは何一つとして納得なっとくしなかった」

「だからこそ、長老たちを納得させる為にも貴方達を直接会わせようと言うのよ」

「……なるほど、理解しました。では、僕達は何時ごろ長老たちのもとへ向かえば良いですか?」

 僕の言葉に、ドラコさんはたくましいみで答えた。

「その点は大丈夫、転移魔法で向かうからな。それ故、向かうのは明日あしたからで良い」

「今日の所はゆっくりと身体をやすめなさい」

「あ、はい。ありがとうございます」

 そう言って、ドラコさんとクインさんとの会話をえた。終始、レインは納得出来ていなかったようだけど。

 ……後で、ゆっくりはなそう。

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