第18話、おや?

 魔王様との会話かいわの最中、なんでからないけれどレインと魔王様が僕に同情どうじょうの視線を向けてきた。そして、ミィがなんでか熱っぽい視線を向けてくる。

「レイよ、お前も大変たいへんだな……」

「何がですか?」

「……いや、気付きづいていないなら良い。気付かないなら、気付かないままが一番良いだろう」

「?」

 良く分からないけど、魔王様がらないままなら良いというなら別にいいや。別にどうしても知りたい訳じゃないし。

 レインは微妙に不服ふふくそうだけど。一体どうしたんだろうか?

「れー!」

「ん、なあに?」

「れーはずっと、私と一緒いっしょだからね?ずっとずっと、私とれーは一緒だからね!」

「うん、分かってるよ?僕もレインとずっと一緒いっしょだよ?」

 何を言っているのだろう?よく分からない。けど、レインが何かあせっている気がしたから。僕はレインの頭に手をせた。

 少し、不機嫌ふきげんそうだけど。それでも手をはらいのける様子は無い。

「大丈夫だよ。レインを置いて何処どこにも行かないから、ずっとずっと、一緒だから」

「…………ぅん」

 レインが少し、頬を赤くめた。なんだろう?少し、かわいい?

 僕自身、どうしてか知らないけどずっとでていたくなる。

 そして、そんな僕達を魔王様は面白おもしろそうに見ていた。

 ・・・ ・・・ ・・・

「では、そろそろお前達も帰るにはちょうどいい時間じかんだろう?お前達の元居た場所までおくろう」

「そうですか?ありがとうございます」

 ちなみに、現在の時間は丁度夕方。外は日がしずみ始める時間だ。

 魔王様は帰る僕達に幾つか手土産てみやげを用意してくれた。魔国原産の果物とか、あとは野菜のたねとかをもらった。今度、種を家の近くにえよう。

「では、機会があればまたおう。さらばだ」

「じゃあね、さようなら~!」

「ばいばい」

「じゃ……」

 僕とレイン、ミィが挨拶あいさつをした瞬間、足元の魔法陣がかがやき気付けば家の前に着いていた。家の中がどうしてかさわがしいけど。邪神のひとが騒いでいるのかな?

 家の中に入ってみる。其処に居たのは、何故なぜかよつんばいになっている邪神のひとの背中にすわっているドラコさん。邪神のひとはさるぐつわをされた状態で必死に唸っている。クインさんはその近くにあるテーブルの傍の椅子に優雅に座っていた。

「おお、帰ってきたか。ずいぶんとおそかったな?」

「えっと、どうしたんですか?あ、魔王様から貰った果物がありますがります?」

「うむ、もらおう。それとこの不届ふとどきものがクインに粗相をしたのでな、少し説教をしていたところだ」

「あ、そうだったんですか」

 邪神のひとも無茶むちゃをするなあ。ヒトの奥さんに粗相そそうをするなんて。とりあえず、魔王様から貰った果物。見た目はメロンに良く似ている。それを、テーブルの上に置いて包丁が無いので腰にさげている短剣たんけんで切り分けた。

 うん、少し不格好ぶかっこうにはなったけど上手く切り分けられたと思う。

「はい、どうぞ。ところで、此処に来た目的もくてきはなんですか?」

「おお、そうだ。それを言いに来たのだ。実は、お前達を長老にみとめさせる為に長老に直接会って貰いたいのだ」

 ドラコさんが言った言葉に、僕達は少なからずおどろいた。

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