第13話、レインの楽しい建築魔法

 とにもかくにも、僕達はむ場所を確保かくほする事にした。

「えっと、この近くに水場みずばって無いかな?」

「キィ、それならこの近くにかわがありますが?」

 そうして、僕達はさるに連れられ川へ向かった。

 大体一時間くらいあるいただろうか?目の前に川が見えた。んだ水に川魚が泳いでいるのが見える。クロとハクは真っ直ぐ川にけていき、川の水を飲み始めた。どうやら水質すいしつは問題ないようだ。

 僕とレイン、ミィも川へ近付き水をんだ。うん、綺麗きれいに澄んでいて美味しい。

 さて、喉のかわきも潤した事だし。本来の目的に入ろう。

「えっと、この近くに家をてようと思うんだけど。う~ん?」

「どうしたの、レイ?」

「うん、流石に僕達じゃこの密林のを伐採出来る程の力はいよね?それに、木を切る事が出来ても流石に家を建てる知識ちしきなんて僕には無いし」

 僕の言葉に、ミィも頷いた。いくら前世ぜんせの知識があるとはいえ、僕もミィも前世はただの高校生男子だった。当然、建築けんちくの知識などある筈がない。

 そんな時、僕の肩をレインがとんとんとたたいた。何かと思い、見て見ると自慢げに僕を見ている。其処には、既に伐採ばっさいした木々がいくつもあった。

 ……一体、何時いつの間に?

「えっと、レインは何時の間に木を伐採したの?」

「ついさっき、魔法まほうで木を切り倒したよ?それに、同じく魔法で伐採した木を家に変える事が出来るよ?」

「……え、えーっと?魔法ってそんなに万能ばんのうな力だったの?」

「多分だけど、人間じゃ其処そこまで万能な力は発揮はっきできないと思う」

 僕の疑問に、ミィがあきれた顔で補足ほそくを入れた。うん、やっぱりそうだよね?

 いくら何でも、流石に其処まで万能な力だったらもっとこの世界の文明ぶんめいも発展しているだろうし?僕の認識にんしきがおかしい訳じゃないと思うけど……

 まあ、ともかくレインがめて欲しそうな顔をしているから頭を撫でておいた。

「……えっと、じゃあレイン?この辺に僕達の住む家をつくって欲しいんだけど」

「うん‼」

 何だかわくわくした様子ようすで、レインは伐採した木々に手をける。すると、切り倒された木々が浮き上がり、その形をえてゆく。

 木の皮が一瞬でかれ、剥き出しになった木々が自然と形状けいじょうを変えてゆく。そのまま幾つもの木々が勝手にみ合わさり木材同士が接着しあうとやがて自然と言えの形に変形していった。色々とツッコミどころはあったけれど、確かにこれは家だ。

 この光景に、僕もミィも流石に呆然ぼうぜんと立ち尽くしている。レイン一人だけが、満足そうに出来た家をながめていた。

「え、えーっと?ともかく中に入ろうか。まずは中を確認かくにんしよう」

「う、うん……そうだね?」

 僕とミィはそれぞれ引きった笑顔を浮かべると家の中へ入っていった。

 家の中はまだ簡素なつくりだったけれど、それでもしっかりと部屋が分かれて家としての構造を保っていた。うん、外観がいかんだけじゃなくて良かった。

 ……けど、レインの魔法ってほんとうに万能ばんのうだよね?何でもアリかな?

 と、僕が半ば呆れた感想をいだいていた。その時……

「ほほう、中々よいうちではないか?」

「……え?」

 気付けば、僕達の背後に黒いフード付きのローブをまとった黒い仮面かめんの誰かが立っていた。えっと、誰?

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