第10話、盗賊の復讐

 現在、僕達は何故なぜか複数人の男達にかこまれていた。全員がボロボロの装備を身に纏った、薄汚い身なりの男達だ。たぶんだけど、盗賊とうぞくじゃないかな?

 盗賊のほぼ大半は、ミィをにらみ付けている。一体何をしたのだろう?若干敵意と殺意を彼女に向けていた。

「よお、ミィ。この前のれいを言いに来たぜ?」

「礼なら要らない。さっさとかえって」

「そう言うなよ。お前のおかげで俺達は今、解散の危機ききに立たされているんだからな」

「だから、小さな子供相手に復讐ふくしゅうを?小さい男」

 り言葉に買い言葉。ミィの言い放った言葉に、盗賊のみなさんは殺意を漲らせて今にもおそい掛かってきそう。僕は、何時襲ってきてもレインとミィを守れるよう短剣に片手を添えて様子を見ている。

 もしもの時は、僕が身代みがわりになろう。そう思っていたんだけど。

「レイ、貴方あなたはもしもの時は自分が身代わりになろうと考えている。けど、それだけはめて欲しい」

「……………………」

「貴方が死ねば、私達はとてもかなしむ。く」

「……分かったよ。けど、それはミィやレインだっておなじだからね?」

「分かってる」

 その会話に、耳ざとく聞いていた盗賊のボスらしき男はいやらしいみを浮かべ剣の切っ先を僕の首へと向けた。それに、レインがいち早く反応はんのうする。

「へえ?つまり、お前が死ねばミィ達は心がれるんだな?なら、」

「お前が死ねっ‼」

 ついに、レインがキレた。盗賊のボスは、地面じめんを大きくバウンドして遠くまで吹き飛んでゆく。レインがなぐり飛ばしたのである。たぶん、魔力で自分の身体能力とか強化したんじゃないかと思う。

 そして、その拳の威力いりょくに他の盗賊たちがごくりと生唾なまつばを呑んだ。その瞬間、隙を晒した盗賊達の首にミィが手刀しゅとうを叩き込んで意識を奪う。

 全くもって容赦ようしゃがない。だけど、う~ん?僕、何もしていないね?

 まあ、別に良いけどさ。とにかく……

「えっと、クロ?ハク?全員を一か所にあつめて欲しいんだけど」

「おうっ!」

「はいっ!」

 そうして、一か所に集まった盗賊達へ僕は近付ちかづいてゆく。未だ、盗賊達は気絶しているようで身動き一つしない。僕の様子を、レインとミィが不思議ふしぎそうに見ている中僕は盗賊の一人が持っていた荒縄あらなわを奪い取る。

 その荒縄で、僕は盗賊達を一塊に縛り付けた。しっかりと固結かたむすびである。

「っ、てえ‼……て、何だこりゃ!」

 真っ先に意識が戻ったのは、盗賊のボスだ。かなり強烈きょうれつな一撃を喰らった筈だけど結構頑丈なんだね?

 そう思い、僕は近くに落ちていた木の板をひろう。そして、その木の板に鞄から取り出したペンで一言書いた。

 ———盗賊とうぞくにつき、ご注意を!騎士団に連絡をもとむ!

 木の板を、盗賊達の足元へいた。さぁっと、盗賊ボスの顔が真っ青になる。

「お、おい?お前本気か?これじゃあ俺達は本当に破滅はめつしちまう……」

「じゃあ、今後からは真っ当にきようね?」

「お、おいいーーーーーーっ‼」

 盗賊ボスが叫ぶ中、僕達はそのまま立ちっていった。その後、噂によると盗賊達は傍を通りかかった商人の人の通報つうほうで王国騎士団に捕まったらしい。

 盗賊達は、それ以降犯罪者として奴隷落どれいおちしそのままこき使われる毎日を送ったとか?まあ、仕方しかたがないね?

 ……そして、僕達はそれから一か月半ものたびの末。ようやく無銘むめいの密林に着いた。

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