第3話、ハーフドラゴン
あれから更に五年の
それをレインも感じ取ったのか、そっと僕の背後に
レインはとても
それ故に、レインはこの二人が来た目的もすぐに察した。自分を
「レイン、迎えに来たぞ」
父親、ドラコ=ルージュがレインに話し掛ける。何処となく
母親、クイン=ルージュも愛情深い目でレインを見ている。至って普通の、金髪に青い瞳をしたドレス姿の優しげな
二人共に、レインを心から
父親が
「レイン、どうしたの?
「わ、私は……貴方達とは一緒に行けません!れーと一緒が
その言葉に、両親は共に
傍に居る院長も、非常に
どうやら、何か
そう思い、僕はレインの両親に話し掛けた。
「えっと、レインのお父さんにお母さん?一つ良いですか?」
「ああ、何だ?」
「レインを
「あ、ああ……ずいぶんと
父親は僕の察しの良さに、僅かな
院長が、そっとレインの父親に
「あの、何と言えば
「何だって?」
再度、驚いた表情で両親が俺を見る。そんな大げさなものじゃないと思う。あの神様がどんな目的で、そして何を考えて僕を
それに、神の子という大した存在でもない。僕は至って
平凡だからこそ、気に入ったとも言っていたけれど。それが何の意味を持つのかは僕自身にも分かっていない。
「いや、とはいえ。ううむ……
「何がですか?」
「うむ、実は俺と妻が
「そうね、特に
どうやら、父親の一族。彼等は
ちなみに、母親は人間だ。つまり、レインは竜と人間のハーフとなるとか。
つまり、ハーフドラゴンと呼ぶべき
「……
「ふむ、其処まで言うか。なら、かなり無茶だが一つ
「試練、ですか……?」
うむ、と父親は
その試練とは、簡単に言えば
簡単に説明すれば、両親から一族に試練の内容を報告して認めさせるとの事だ。
当然、簡単な話ではない。僅か十歳の身で、二人での共同生活を
認めてもらいたければ、親の
どれほど
「無茶は承知の上だ。しかし、あの頑固な老竜達を認めさせるにはそれしか方法が無いのも事実なのだ。どうか
「はい、分かりました。その試練、受けます」
少し、
「少年、無茶と無謀は違うぞ。それは理解しているか?」
「分かっています。けど、それしか方法が無いんですよね?僕はレインとずっと一緒に居たいですから。その為なら僕はやります、やらせて下さい」
「うむ、そうか。なら何も言うまい。叶うなら、
娘の
結果、僕とレインは急遽孤児院を出る事になった。
・・・ ・・・ ・・・
そして、王都の門前。其処には孤児院の
「ではな、レイ。お前には試練の内容上何もしてやれないが、せめてこれだけは餞別としてやろう。受け取るが良い」
そう言って、陛下が一振りの
危険な地に送り出す事を、陛下なりに思う事があるのだろう。それはレインの両親も同じようで、短剣については何も言わない。僕は、ありがたく短剣を受け取らせてもらう事にした。まあ、僕には使いこなせないだろうけど。
それでも木の実とか
そして、僕とレインにそっと院長が近寄ると二人揃って
「二人とも、身体には気を付けてね?くれぐれも無茶はしないようにね」
「うん、分かったよ」
「うん、院長先生もお
見れば、孤児院の
でも、きっとこれが今生の別れにならないという
「じゃあね、皆。また、全部解決したら
その言葉に、再び皆が泣き出した。泣きながら、僕達へと手を振っている。僕とレインも、二人して手を振っている。
さあ、これからどこへ行こう?きっと、これから先僕達を待っているのは自由と困難だろう。
これからレインと一緒に
だからこそ、僕はレインに手を差し出した。
「行こう、レイン」
「うん、ずっと一緒だよ?」
そう、ずっと
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