第23話 エクラ vs メテオール
「さすが数百年に一人の逸材と称されたエクラは、たいそう素晴らしい詠唱を初っ端から放ってくるなぁ」
メテオールは、俺の詠唱、鎧袖一触をフェリシテを抱えながら、間一髪のところで避ける。
「もっともっと打ってこいや」
メテオールは露骨に煽ってくるが……。
このままではやばい、ということだけはわかっている。頭ではわかっているが自分の意思をまったく制御できない。
「ちょ、メテオール、これは何事? なんであんたとエクラが戦っているのよ? 」
フェリシテは突然の出来事に当惑している様子であった。
「先ほど、以心伝心で伝えた通りです。エクラは相手の詠唱の術中にはまっています。この国でもっとも強力な、詠唱の効果を無効化できる詠唱は、あなた様の
メテオールは小さな声でフェリシテに伝えた。
メテオールの説明を静かに聞いていたフェリシテは、説明が終わると同時に強く頷いた。
「わかりました。メテオールも気をつけてください」
「大丈夫です。守るだけなら、あなた様にも、俺自身にも相手の攻撃は一切当たらないようにできます。守るだけなら簡単です」
メテオールは抱えていたフェリシテをその場にそっと置く。さらにメテオールは詠唱、守護天使を発動。
二人の目の前には、天使の像が現れ、薄い光の膜が二人の前方に現れた。
俺の攻撃は一切通らない。
「なんだ、その詠唱は? 」
俺は狂気に満ち満ちていた。メテオールとフェリシテを殺すためだけに生きているのではないかというぐらいに狂気に満ちていた。
「フェリシテ様、私がエクラの動きを一瞬止めます。その時に詠唱を発動してください」
メテオールの言葉にフェリシテは再び強く頷くだけだった。
「詠唱、
メテオールの詠唱とともに、俺の立っているところを中心として、円状の模様が地面に浮かび上がってきた。それと同時に俺の動きが先ほどより明らかに鈍くなる。
詠唱、挙止迂拙は対象の人間を中心にして、その円状の模様の外に出るまで動きを鈍くする詠唱である。
俺の動きが遅くなったところで、俺は前方を見た。そこにはメテオールが立っていたが……。フェリシテの姿がない。
「フェリシテはどこだ? 」
俺の言葉にメテオールはニコニコしているだけであった。
この笑顔は、ああ、いつものメテオールだ……。
「知っているか、詠唱、電光石火は自分だけでなく、他人の移動速度も上昇させることができることを」
俺が静かに振り返ると、そこにはフェリシテの姿が……。
「エクラ、戻ってきて……。詠唱、六菖十菊、ω《オメガ》」
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