第31話 早朝の散歩
「……………ぁ…………………マぁ……………」
う〜ん………………遠くからママって呼ぶ声が聞こえてくるような…………………
「……………マ………………ママ!」
「うわっ!」「ひゃう!?」
びっくりして体を起こすと珍しく私よりも先に起きていた。
(うそ!もしかして寝坊した!?)
急いで懐中時計を確認すると【A:M4:30】を指していた。
よかった、とりあえずは寝坊はしてなかったみたい。それはそれとして、なんでソフィーはこんな早い時間に起きたんだろう。
「ソフィーどうしたの?」
「え、えっと…………おトイレの場所…………わかんなくて……………」
そう言うソフィーの手は僅かに下腹部を抑えているように見えた。
「ごめんごめん!言ってなかったね。大丈夫、漏れちゃわない?」
「うん………だいじょぶ…………」
「すぐ行こうね」
そういえば昨日は一回もトイレに連れてってあげてない………………うん?ていう事は……………………考えないでおこう。
◇ ◇ ◇
なんとか漏れる前にソフィーをトイレに連れて行き難を逃れた。
「ママありがとう!」
「どう致しまして。それじゃあベッドに戻ろっか」
そう言ってソフィーの手を取って寝室に戻ろうとした。
けどソフィーは動こうとしなくて
「ソフィー?」
「ママ、ソフィー眠くない」
「あら、そうなの?」
なんとソフィーは完全に目が覚めてしまったらしい。
う〜ん、ソフィーが起きたからって他に人を起こすわけにもいかないし……………かと言って寝室にずっといるのもなぁ。
あっそうだ!
「ねぇソフィー、お散歩行ってみよっか!」
「お散歩!行く!!」
「ふふっ決まりね。じゃあ準備しよっか」
◇ ◇ ◇
「よし、行こっか」
「えへへ〜しゅっぱ〜つ!」
ソフィーの身支度を整えて玄関を出る。
外は早朝ということもあって濃い霧に包まれていて数メートル先ですら見えないくらいだった。
「ママすごい!お風呂みたい!」
「ふふっそうね。これは霧っていうの」
「へぇ〜…………ママ、霧って何で出来てるの〜?」
ほほう、さすが子供。好奇心のままに聞いてくる。これにどれだけの大人が頭を抱えさせられるかも知らずに。
素直に教えてあげてもいいんだけど………………………確かこういうのは一回
「それはね、ねぇソフィー。ソフィーはお空に浮かんでる雲、何で出来てるか知ってる?」
「えぇ〜っと………………お水?」
「うぅ〜ん惜しい!惜しい?」
「違うの?」
「え〜っと……………まあ、正解!正確に言うと水蒸気って言ってお水をもっともぉ〜っとち〜っちゃくしたやつだね」
「へぇ〜……………飲めるの!?」
「の、飲める…………かなぁ〜?」
え、どうなんだろう、飲める?いや、え?ん〜…………………わかんない。
「やってみるね!」
ソフィーは口ジャンプをしながら口をパクパクさせる。
可愛すぎでは!?
「飲めない…………」
「ふふっ……………そろそろ歩こっか」
「うん!」
玄関を出て3分、進んだ距離わずか3メートル。
これ、散歩に出たら帰ってくるまで何時間かかるんだろう。
敷地の門を潜って公道に出る。
流石に早朝ということもあって道を歩いてる人はいない。いやぁ〜こういう事は滅多にしないから新鮮だ〜。
「大丈夫、寒くない?」
「大丈夫!」
ソフィーと手を繋ぎながら道を歩く。
ソフィーの手はひんやりしてて少し心配になる。ソフィーの今の服装はワンピースにサマーカーディガン、サンダルという朝にはちょっと寒いかなぁ〜?って感じで少し心配になる。
◇ ◇ ◇
「ママ、抱っこして〜」
「あら?もう疲れちゃったの?」
歩き始めて数十分、歩き疲れたのかソフィーが抱っこをせがんできた。
まあこういうのはお出かけの時ではいつも通りだから慣れてるんだけどね。
「ママ〜抱っこぉ〜!」
「はいはい、ほらおいで」
抱っこをせがんでぴょんぴょん飛び跳ねるソフィーに心を射止められながらもなんとか屈んでソフィーを抱っこする。
「ほんとソフィーは抱っこ好きだね〜」
「うん!だってソフィーママのこと大好きだもん!!」
う……………嬉しいこと言ってくれるじゃない!
ママもソフィーのこと大好きだよ♡
「ママもソフィーのこと大好きだよ〜!」
◇ ◇ ◇
散歩に出て1時間、太陽も出て来て霧が晴れて来た。
明るくなって来たからか時々散歩してる人も出て来てすれ違うことも増えて来た。
「あら、可愛いお嬢さんですね」
歩いていると向かい側からお婆さんがこっちに歩いて来ていた。この人も散歩に来たのかな。
「おはようございます。いい天気ですね」
「そうねぇ〜、ほんとここは過ごしやすいわぁ〜」
あらら、ソフィーが私の後ろに隠れちゃった。相変わらず人見知りは健在かぁ〜。
「あらあら、お嬢ちゃんは人見知りかしら?」
お婆さんがソフィーの方を向くとソフィーはビクッと体を揺らして完全に私の陰に隠れてしまった。
「そうなんですよ〜。ソフィー、ほらご挨拶して?」
「お、おお、おはよぅ………ございます…………」
「はい、おはよう。ちゃんと挨拶できて偉いねぇ。ご褒美に飴ちゃんあげる」
そう言うとお婆さんはバッグから包み紙に入った飴をソフィーに渡す。ソフィーは恐る恐る私の陰から出て来てそっと飴玉をもらってすぐに私の陰に戻って来てしまった。
「ふふっ可愛らしいわね。それじゃあここら辺で失礼しますね」
「はい、良い1日を」
そう言ってお婆さんと別れた。
ソフィーはあまり顔には出てなかったけど嬉しそうに顔を赤らめていた。
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