第22話 熱心な看病?
「ソフィーがママをあんしんさせてあげる!」
そう言うとソフィーはぴょんとベッドから飛び降りた。
「ソフィー?」
「ママはベッドでねてて!」
そしてちょうど部屋に入って来たセラに何かボソボソと呟くと部屋を出て行ってどこかに行ってしまった。
「ナギサ様、大丈夫ですか?」
セラがフルールを使ったジュースの入ったコップを2つ置いてくれた。
「う〜ん、大丈夫か大丈夫じゃないかと言われたら…………大丈夫じゃないわね。それはそれとして、ソフィーはどこに行ったの?」
「すみません、ソフィア様から口止めされていて」
「…………」
まったく、雇い主が前にいるのに子供を優先させるか。いやまあいいけどさ。それにしてもなんでセラはこんなにニヤニヤしてるんだ?
「ママー!もってきたー!」
部屋を出て行ったソフィーが数分経って戻って来た。そしてその手にはソフィーの小さな手でギリギリ包み込めるくらいの赤い果実が握られていた。
「おにわでとってきたの!おいしいよ!」
「これって…………ザクロ?」
「うん!ユキお姉ちゃんがかぜのときはこれがいいっていってたから!」
う〜ん、確かにザクロは風邪(予防)に良いって聞くけど……………もう風邪になってからじゃ遅いんだよなぁ〜。それに風邪でキツい時に酸っぱいのはなぁ。
「あ、ありがとう。あとで食べるね」
「えへへ〜どういたしましてっ!」
まぁ、ソフィーは嬉しそうだから………いっか。
ザクロはとりあえずセラに任せて後でケーキとかパイに使ってもらおう。そして何よりも今は横になりたい。
「ママー?おかおまっかだよ〜?」
「ソフィア様、今は寝かせておきましょう?」
「やっ!ソフィーはママのそばにいるの!」
そう言うとソフィーはまたどこかに走って行ってしまった。
「…………セラ、もう何も言わなくても良いわよ」
「……………すみません」
そしてセラはどこかに行った。
これでソフィーの暴走も終わる……………………うん?いやダメだ!!セラという制御装置が消えたら……………何をしでかすかわからん!!!
くそっ何か魔法で風邪をすぐに治す方法は………………
「ナギサ様、お薬飲みますか?」
ハッ……………!この包み込むような優しい声は……………
「ソラちゃん!!!」
ああ、良かった、まだ常識人がいた。ここでもしユキちゃんが来てたらと思うと………………火に油…………恐ろしや。
「ど、どうしたんですか?」
「ううん、なんでもない。災厄の光景が浮かんだだけよ」
「え………?」
ソラちゃんが困惑の声をあげる。
ふっ……………知らなくていいk
〈ドーーーン!!!!!〉
「ナギサ様!」
「「…………………」」
あぁ…………………今1番来て欲しくないヤツが来た。頼む、ソフィーまだ帰ってこないでくれ、今帰ってこられたら……………私が終わる。
「ナギサ様大丈夫ですか!?お医者様呼んできますか!?」
「ユキちゃん………………頭に響くからもう少し小さなk」
「私ナギサ様のために風邪に良さそうな」
〈トンッ〉
ユキちゃんが何か言おうとした瞬間、急に背後から現れたセラによって首に手刀を撃ち込まれそのまま引き摺られて行った。そして部屋を出ていくとき振り返って「失礼しました」と言ってペコっとお辞儀をして出ていった。
「…………なんだったんだろうね、あれ」
「さ、さぁ……………」
2人で困惑しているとソフィーが戻って来た。
「ママ!タオル!」
ソフィーは洗面器に水と濡れたタオル、それと乾いたタオルを持って戻ってきた。
「さっきセラお姉ちゃんにきいたらこれ持ってきなって」
よく見るとソフィー用に普通より小さめのタオルが入っていた。ソフィーは濡れたタオルをよく絞ってベッドに近づいて来て
「ママよこになって!」
「はいよ〜」
言われた通りベッドに横になる。
するとソフィーはベッドに乗って来て
「きもちいい〜?」
ソフィーはひんやり濡れたタオルを広げて私のおでこにのせてきた。タオルは程よくひんやりしていて、体からタオルを通して熱が出ていくのを感じた。
「気持ちいいよ。ありがとね」
「あい!」
あぁ、なんて可愛らしいんだろう。こんなに親のために頑張れる子なんて世界を探してもきっとソフィーしかいないに決まってる!
「ソフィア様、少し私と一緒にナギサ様用のお料理をしませんか?」
「…………!する!」
「では行きましょう」
ソラちゃんがソフィーを抱っこする。
「ナギサ様、ゆっくり休んでくださいね」
「ママーまたくるよー!」
ソラちゃんに抱っこされたソフィーが振り向いて小さな手で手を振ってくれる。これだけで元気になりそう。
にしても、ソラちゃんはソフィーの扱いが上手いなぁ。絶対ソフィーは私から離れないと思ったのにあんな簡単に部屋から出させるなんて。やっぱり小さい子の面倒を見てた子は違うなぁ。
なんて思いながら私は瞼を閉じて夢の世界へ入っていった。
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