第20話 ソフィー風邪をひく
「ママぁ……からだあついよぉ」
ベッドの上で辛そうに顔を顰めているソフィーの頭を撫でてあげる。おでこはすごく熱くなっていて、長く触っていたら火傷しそうなくらいには熱い。
「ソフィー辛いよね。すぐにお医者さんが来てくれるからね」
なぜこうなっているかというと………
【昨日】
「ユキおねえちゃん! はやくはやく!」
昨日はユキちゃんと畑のお世話をしていた。野菜を収穫したり、種を植えたり、水を撒いたり。ソフィーはこういうのが好きらしくよくお手伝いをするらしい。そのため昨日もお手伝いをしようとしたらしい。そして事件は起きた。
「じゃあ、この桶にお水を入れてきて下さいね」
「わかった!」
ユキちゃんはちっちゃい子でも持てるくらいの小さな桶をソフィーに渡してお水を汲んできてもらおうとしたらしい。ソフィーは言われた通り家の敷地内を流れている小川から水を汲んでこようとした。前日は雨が降っていて少し足場が不安定だった。それを知らなかったソフィーはいつも通り小川の側まで行って………足を滑らせて落ちてしまった。
「ソフィア様!!!?」
大きな物が水に落ちた音が聞こえたユキちゃんは大急ぎで音の方へ向かうと全身がずぶ濡れになったソフィーが立っていた。
「うぅ……ままぁああああああああ!!!!!!」
【sideナギサ】
「……あああああ!!!!」
…………!? 今の声………ソフィー!?
今行くよぉー!!!!←(転移)
ソフィーの泣き声が聞こえた方へ転移するとそこにはずぶ濡れになって大号泣しているソフィーとそれをなんとかあやそうと奮闘しているユキちゃんの姿があった。
「ソフィー!? どうしたの!」
「ひっぐっ…………えっとね………すべって………」
「そっか、そっか、ごめんねちゃんとママが見てれば………寒いよね。今すぐお風呂に入ろうね」
私はそう言ってソフィーを抱っこしてお風呂場に向かった。
その後ユキちゃんはセラからソフィーをしっかり見ていなかったとお説教をされていた。
そして今朝になりソフィーは熱を出していた。
◇ ◇ ◇
ソフィーは辛そうに息をしている。
あぁ、私がちゃんと見てあげてればソフィーは風邪なんかひかなくて済んだのに。親として最悪だ、もっとついていてあげないと。
「ナギサ様、お医者様がご到着になりました」
「わかった、入ってもらって」
そう言うと部屋のドアが開いて予防接種をした時にお世話になったお医者さんが部屋に入ってきた。
「お久しぶりです。ではさっそく診察をしていきますね」
そう言うと先生は相変わらずの超スピードでソフィーを診てくれた。
「風邪ですね。お薬を出しておきますので、まぁ、適当に飲ませて下さい。お薬は後で転送しておきますので」
「わかりました。ありがとうございました」
そう言うと先生はそっとソフィーの頭を撫でて部屋を出ていった。
【今回の診察時間:驚異の1分。】
「ソフィー大丈夫?」
「あついよぉ………おふとんとっちゃダメ?」
そう言うソフィーはかかっている布団を剥がそうとする。
私はその手を止める。
「ダ〜メ」
「なんでぇ?」
「今ソフィーの体の中で風邪と体を守る力がソフィーを守るために戦ってるの。熱くすればするほどいいの。だから……ちょっとだけ我慢できる?」
「わかったぁ」
「ママがずっとそばにいてあげるから。安心して眠っていいよ。寝ることも元気になるのに必要な事だからね」
そしてそれを聞いたソフィーは今度は逆に首までグイッとお布団を引き上げた。
「うん………ママ、おねがいしてもいい?」
「なぁに?」
「おてて、にぎってて?」
…………はっ!危ない危ない、また危うく天国に召されるところだった。ちっちゃい子の上目遣いは…………兵器だ。
「ママぁ? どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ。じゃあ手を握るだけじゃなくて一緒に寝よっか♡」
「いいの?」
「うん! ソフィーもその方がいいでしょう?」
ふふっソフィーは安心してママと手を繋ぎながら一緒に寝れる。私は可愛いソフィーの寝顔を見ながら常に見守る事ができる。これぞwin-winの関係だよね!
「うん!」
そして私はソフィーが寝てるベッドに入り込んで、ソフィーを優しく抱きしめる
。ソフィーは私に手を回してぎゅ〜っと抱きしめてくる。はぁ………幸せ♡
私がベッドに入って少ししてからソフィーから寝息が聞こえてきた。けどその寝息はいつものような「すぅ……すぅ……」といった軽いものではなく「はぁ……はぁ……」と辛そうなものだった。私はソフィーの頭を「早く元気になりますように」と願いながら優しく撫でる。そして私の意識は暗闇に堕ちていった。
◆ ◆ ◆
「ナギサ様、失礼致します。…………! 失礼いたしました。ごゆっくりお休み下さい」
◆ ◆ ◆
うぅ………ん?かなり寝ちゃったかな、外を見るとすでに真っ暗となっていて枕元にあるライトがオレンジ色に薄暗く、ほんのりと光っていた。
そのうっすらとした光からソフィーの寝顔が見る事ができた。
「随分と楽そうな顔になったね」
ソフィーの顔は朝と比べるとはるかに良くなっていた。まだおでこは熱いけど着実に良くはなっていた。これなら明日には良くなってそうだね。
「ナギサ様、入ってもよろしいでしょうか」
「ええ、大丈夫よ」
少し喉が渇いていたからベッドから降りて水を飲みに行こうとしたらちょうどよくセラが入ってきてくれた。
「ナギサ様、お飲み物を持ってきました。そろそろ水分が必要かと思います」
「ありがとう、ちょうど取りに行こうと思ってたのよ」
そう言うとセラは水の入ったコップを二つ置いてくれた。
「ソフィー、起きて。お水飲もう?」
「う〜ん………おみず〜?」
「そう、お水。水分もよく取らないとね」
ソフィーの背中を支えながらゆっくり起こしてそっと口にコップを近づける。コップを傾けるとソフィーはコクコクとゆっくり飲み始めて…………よほど喉が渇いてたのかコップの中の水を全て飲み干した。
そして水を飲み干したソフィーはまた横になって眠り始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます