第16話 雷の夜
〈ゴロロロロ〜〜〉
最近は雨も増えてきたし雷もよく鳴るなぁ、もうそんな季節かぁ。雷が木とかに落ちないといいんだけど。去年なんて気に雷が落ちて全滅したからね、ほんとに泣きそうになった。
「ソフィーご飯だよ〜」
「はーい!」
とりあえずご飯ができたからソフィーを呼ぶ。
「ユキちゃん、お姉ちゃんを読んできてくれる?」
「はい!」
そして少ししてソラちゃんを連れてきた。ソラちゃんは寝てたのか髪がボサボサで寝癖がついていた。まったく、女の子なんだからこういうのはしっかりしないと。
「ソラちゃん、女の子なんだから髪はとかしなさい」
「ふぁ〜い………」
「じゃあ、いただきます!」
「「「「いただきます!」」」」
「ナギサ様、今年は雷落ちないといいですね」
ご飯を食べてるとユキちゃんが話しかけてきた。
「ほんとね〜何かいい対策とかは無いかしら」
「これがあったら苦労はしないんですけどねぇ」
本当に何かないかしら…………避雷針でも作ろうかしら。けど作るの面倒だし、失敗して逆に火種にもなりそうだし。難しいわね。
「ままぁ、かみなりってなに〜?」
何かないか、と考えてるとソフィーが聞いてきた。
「雷っていうのは……う〜んなんて説明すれば良いのかしら。そうねぇ、お空の雲の間に電気が走って、それが雲の外に出て音と光を出す自然現象って言っても……わかんないわよね」
「わかんない!」
まだ4歳児には難しいよね。もう少し大きくなったらちゃんと説明してあげるからね♡
〈ドカーン!!〉
「ーー!!?」
「あ〜これは……落ちたかなぁ」
この音の大きさは落ちたなぁ。
「ソフィー? そんなに震えてどうしたの?」
隣を見ると体がブルブルと震えていて目に涙を溜め今にでも泣き出しそうになっているソフィーがいた。怖いのかな?
「ソフィー雷怖い?」
「う……うん」
ふふっやっぱり。まだまだ子供だしね、雷が怖いのもしょうがないよね。私も小学生の高学年になるまでは雷が鳴ってたらお姉ちゃんとかお母さんに抱きついてたし。お母さん達元気かなぁ………
「じゃあままのところにおいで、ほら♪」
「うん!」
子供の頃にやってもらったようにソフィーを膝の上に乗せる。
「これで怖くないでしょ? いつまでもままがそばにいるからね」
そう言うとソフィーは嬉しそうに顔を輝かせた。
あ〜癒される〜。お母さんもこんな気持ちだったのかなぁ。
「ナギサ様、エリンさんはいつ帰ってくるんですか?」
可愛い可愛いソフィーを眺めているとソラちゃんが聞いてきた。そういえばそろそろでエリン出張に行かせてから2週間が経つな。元々長期出張だったからどのくらい掛かるかわからないし、送り込んだ先があそこだから生きて帰ってくるかどうか………ふっ
「長期出張だから気にしないでいいよ」
「わかりました!」
ふむ、深く聞かない。素直でよろしい。
「さてと、ご飯も食べ終わったしお風呂入ろっか。ね、ソフィー」
「うん!」
そしてお風呂場に向かった。
ソフィーはパッと着替えて入っていった。最近ソフィーはお風呂が好きみたいでいつも一番乗りで入っていく。
「こらソフィー、お風呂で走ったら危ないからやめなさい」
「えへへ〜だいじょぶだいじょ……わっ!」
「危ない!!」
案の定走って転びそうになったので急いで支えに行く。だから走るのはやめなさいって言ったのに。
「だから言ったでしょ、危ないって」
「ごめんなさい………」
「次から気をつければいいのよ。ほら髪の毛洗っちゃうよ」
「はぁい」
◇ ◇ ◇
「そろそろおねむかな?」
お風呂から上がって今はソフィーの部屋で絵本の読み聞かせをしている。この前のお買い物に行った時に絵本を買ってから寝る前は読み聞かせという流れができた。
「まだぁ……」
「もう眠いんでしょ? 我慢しなくてもいいんだよ」
「やぁ……まだ……ままといたいのぉ」
「けど……もう目がとろ〜んってしちゃってるよ」
ソフィーは眠くなると手を握ったり、体に寄りかかってしてくるから案外わかりやすいし、首がカックンカックンするから可愛らしい。
「明日も読んであげるからもう眠ろう?」
「………うん」
そこまで言うとやっとソフィーは諦めてくれた。ソフィーをベッドまで運んで毛布とかを掛けてあげておやすみのキスをして部屋を出た。
そして私は自分の部屋に戻って本を読み始める。最近は育児の本とかをよく読んでて子供の心理状態とか、どういう事をしてあげるのがいいのかとか勉強をしてる。
それにしてもずっと雨が降ってるなぁ、これは明日もお出かけはできないかぁ。どうやってソフィーの有り余ってる体力を発散してあげようか………
〈ドカーン!!!〉
うわっ! また落ちた。今年は本当によく落ちるな…………あっ! ソフィー大丈夫かな? もう寝てるかもしれないけど雷の音で起きちゃったりしてないかな。なんて思ってると
〈バタン!〉
急に扉が開いたと思ったら
「ままぁー!! うわぁぁあああん!!!」
「ソフィー!? どうしたの!?」
号泣状態のソフィーが部屋に入ってきた。もしかしてさっきの雷の音で起きちゃって怖くなっちゃったのかな?
「ソフィーどうしたの?」
「えっとね、あのね……」
どうしたのかと聞くと私が部屋に出た後にトイレに行きたくなってトイレに行ってその帰り道、真っ暗の廊下の中壁に沿って歩いていたらさっきの大きな雷に驚いて怖くなっちゃって急いで灯りの漏れている私の部屋に入ってきたらしい。
「ソフィー今日は一緒に寝よっか」
「……いいの?」
「いいよ、怖い思いしちゃったんでしょ? じゃあままがソフィーを怖いのから守ってあげるからね」
「ありがとぉ」
あらあら、泣き出しちゃった。安心しちゃうと涙出ちゃうよね。
「じゃあ一緒に寝よっか、抱っこするからおいで」
「うん」
そしてソフィーと一緒にベッドに入った。ソフィーはベッドに入ると私のことをどこにも行かないようにぎゅっと掴んできた。可愛いなぁ♡
「ままがいるからもう大丈夫だよ」
「………ねぇまま」
「うん? どうしたの?」
「あしたもいっしょにねても……いい?」
「いいよ♡ ソフィーが怖くなくなるまでず〜っと一緒に寝てあげるよ」
「えへへ〜ありがとう」
そう言うとソフィーは私の胸に顔を埋めて眠りについた。今度は安心できたのかすぐに「すぅ……すぅ……」という可愛らしい寝息が聞こえてきた。
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