第13話 初めての収穫体験
「ままぁ! はいど〜ぞ!」
「ままにくれるの?」
「うん! このおはなのみつおいしかったからままにもたべてほしい!」
ベンチに座って二人が帰ってくるのを待っていると花を持ってきたソフィーがニコニコで戻ってきた。はぁ〜♡可愛い♡
「そっか〜ありがとう、ソフィー」
「うん!」
さっそくこの花の蜜を吸ってみようかな。せっかくソフィーが持ってきてくれたんだから新鮮?なうちに吸っておかないとね!
「おいしい?」
「すっごく美味しいよ。ありがとね」
「えへへ〜」
満足気に笑ってるソフィーも可愛いなぁ♡
「そういえば………どうしてソラがいるの?」
普通に溶け込んでるけど、なんでいるんだろう?
「セラさんから『今は手が離せないのでナギサ様達の所に向かって下さい』ってお願いされたので」
「あ〜セラは心配性だからねぇ」
「ふふっ愛されてる証拠ですよ」
「そうね♪」
「じゃあ私は他にやる事があるのでお暇させていただきますね」
「えぇ、頑張ってね」
そう言うとソフィーのほっぺたを撫でて離れていった。
「じゃあねー! ソラおねえちゃん!」
ソフィーがそう言うと振り返って小さく手を振っていた。
「ソフィー次はどこ行きたい?」
「う〜ん、もうすこしおそとあるいてたい!」
「そっか、じゃあ次は……お家の後ろにある畑に行ってみよっか」
「うん!」
ふふっうちの畑を見たらきっとソフィーはびっくりするだろうなぁ。
「ほら、着いたよ〜」
「ーー? なんにもない……」
えっ? いやいや、いっぱい木あるじゃん。なんで? さっきのお花の時みたいな反応は無いの?
「ソフィー? 木とかいっぱいあるでしょ?」
「くだものないの?」
「あ………」
そっかぁ、ソフィーの頭の中では木にいっぱいの果物がなってるのを想像してたのかぁ。う〜ん果物は先週にほとんど収穫しちゃったからなぁ、これはどうしようもないよねぇ。
「ごめんねソフィー、果物はこの前取っちゃってもう無いのよ〜」
「そっかぁ、ざんねん」
「ごめんね。あっ、けどあれは残ってるかも!」
そうだ、あの果物は取ってないはず! これをソフィーに取って貰えばきっとソフィーも満足するはず!
「あれってぇ?」
「ふふっ行ってからのお楽しみ!」
そう言ってソフィーの手を取って畑(果樹園)の奥に向かう。
ここの奥には甘〜いあるのもが育てられてる。しかもそれは地中に埋まってるから収穫するのも楽しい!
「わっ! なんかうまってる!」
そこにあったのは果物がなっている木よりかは少し小さい一筋の枝が何本も植えられていた。
「これなに?」
「これはズッケロアモラっていう植物で地面の中に埋まってる根っこがすっごく甘いの。ソフィーにはこれを取って欲しいんだけど、やってくれる?」
「うん! ソフィーがんばる!」
「うんうん! じゃあ最初はままがお手本を見せてあげるからそれを真似してやってみよっか」
そしてズッケロアモラの収穫が始まった。
これの収穫方法はすっごく簡単でただ引っこ抜くだけ、なんだけど………いかんせん根を強く張ってるからまぁ〜力が必要なんだよね。大きいやつだと成人してる男の人でも本気を出さないと引っこ抜けないくらいには大変。
しかもこれの厄介なところが甘ければ甘いほど大きくて抜くのが大変なこと。簡単に抜けるやつでも甘いのは甘いんだけど、安っぽい甘さなんだよね。
「じゃあさっそくやってみるね」
「ままがんばって!!」
「うん! せーので……ふんっ!!」
「おぉー!! おっきいね!!」
いや〜今回のはあんまり良いのじゃないなぁ、簡単に抜けちゃった。ほんとだったらもっと大きいのを取ってソフィーに良いのを食べさせてあげたかったんだけどね。
「じゃあソフィーもやってみよっか、好きなの選んできて良いよ」
「わかった!じゃあ………これにする!!」
そう言うとソフィーはさっそくズッケロアモラの幹を握って引っ張り始めた。今回ソフィーが選んだのはソフィーの身長よりも少し小さいやつだった。これくらいだったらソフィーでも抜けるかな。
「ソフィー頑張れ〜♡」
「ん〜!! ぬけない〜!」
あ〜♡ちっちゃい子が頑張ってるー!! 可愛い!!
「………できない………」
あら〜、出来なくて不貞腐れちゃった。
しょうがない、ままの力を見せてあげよう!
「ソフィー、ままともう一回一緒にやってみよう、ね?」
「………うん」
「じゃあ、せ〜ので引っ張るよ。せ〜のっ!!」
「「えいっ!」」
〈………〉
あれ………おかしいなぁ、まったくびくともしないんだけど。もう一回…………あれ? 私の筋肉(←元々無い)どこいった?
「ままぁ?」
「ーー! ごめんごめん、次こそは本気出すね!………ふんっ!」
〈………〉
…………え? 何これ? 岩だったりする?なんでこんなにも抜けないの? 感覚的にはビルの鉄筋を引っ張ってる感覚なんだけど、これ広く根を張りすぎでしょ。
どうしよう、こんなカッコ悪い姿ソフィーに見せられないよ。
「まま、ばしょかえてみる?」
「いやいや、大丈夫! ままを信じてもう一回やってみよ!」
ええい、もうこうなったら何がなんでも引っこ抜いてやるんだから! 明日筋肉痛になろうが、服が汚れようが、“漢”が出ようが絶対に引っこ抜いてやるんだから!!
「せ〜ので……おらぁーー!!」
〈ずるっ……〉
「うわっ!」「わっ!」
自分に秘められている力を解放することでやっと抜くことができた。けどすごく踏ん張ってたから抜けた反動で二人して尻餅をついちゃった。
「わぁ〜まま、すっごくおおきいよ!」
「うわっほんとだ。こんなに大きかったんだ……」
ソフィーの手に握られていたズッケロアモラはソフィーの身長をゆうに超えていて、その大きさは……大体150cmくらいはあると思う。こりゃあ確かにソフィーだけじゃ取れないし、私と一緒でも難しいわ。
「ソフィー、よく頑張ったわね♡」
「えへへ〜」
ふふっ可愛いなぁ〜ずっと撫でてあげてたい。
さてと、それはさておき…………これ、どうすればいいの?こんな大きいのを保管しておく場所はないし………切ったりしちゃうとそこから劣化しちゃうし。
「ナギサ様、私に任せて下さい」
「その声は………セラァ!」
振り向くとセラが立っていた。
「随分大きいですね。これは………シュガーシロップにでもしましょうか」
「シュガーシロップ? 何それ」
「あぁ、ナギサ様は知りませんか。シュガーシロップは私の故郷ではお菓子やパンなどにつけるジャムみたいな物ですね」
ほぇ〜現代で言うシュガートーストとかに使うやつなのかな?
まぁ甘い物は大好きだからなんでも良いけどね。
「では、先に戻って調理してきますね」
「うん、よろしくね」
そう言ってセラにズッケロアモラを渡すと転移でいなくなってしまった。相変わらず仕事が早い。
〈クイクイ〉
「ん? ソフィーどうしたの?」
服を引っ張られたためソフィーの方を見ると顔を少し赤くしていてお腹の下らへんの服を握っていた。
「まま……お、おしっこ……」
「ーー!! ちょっ、待って! もう漏れちゃいそう?」
「まだ………だいじょぶ……」
「歩いても大丈夫そう?」
「………」
「わかった、抱っこして急ごうね」
そう言って私はソフィーを抱っこしてトイレに急いだ。
こういう時、家が広いと不便だ。
〜〜トイレ中〜〜
「ソフィー大丈夫だった?」
少ししてソフィーがトイレから出てきた。
「うん! ままありがとう!」
「どういたしまして。けど、今度からは余裕があるうちに行こうね」
「はーい!ー」
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