第11話 夜

お風呂を出て今はリビングでみんなでゆっくりしている。ソフィーはソラちゃんに髪を洗ってもらってご機嫌になっている。ソラちゃんもソフィーのことが気に入ってるぽくてお姉ちゃんと妹の可愛い姿が見えてとても幸せである。本当の妹のユキちゃんは少し嫉妬してるみたいだけど………


そういえば、リビングに戻ってきた時に気付いたんだけどエリンをリビングに置いてきたままお風呂に入ってたんだよね。私たちより一足先にお風呂を出たユキちゃんが見つけたらしい。そして私が部屋の戻ってきた時に「なんで起こしてくれなかったんですか!!」と少し怒られた。しょうがないじゃん、ずっと静かでわかんなかったんだもん。


そしてそんなこんなでエリンは今一人でお風呂に入っている。


「ソフィア様、お髪を乾かしますよ」


「うん!」


ソラちゃんがそう呼ぶとトコトコとちっちゃな足取りでソラちゃんの方へ歩いて行く。うぅ〜可愛すぎるよ〜♡


「ナギサ様……血流が出てますよ」


「だって……ソフィーが可愛すぎるんだもん」


あんな可愛いの塊を見たら誰だってこうなっちゃうよ。


「ソフィア様が怖がってしまいますよ」


「はぁ……抱きしめたい♡」


「……私はお仕事をしてきますね」


そう言うとセラはどこかに行ってしまった。セラもソフィーを見て癒されればいいのに。


「ままぁ!」


「あら、どうしたの?」


そんなことを考えながら髪を乾かされているソフィーを見ているとソフィーと目が合った。すると目が合った途端にソラちゃんのお膝からぴょんと飛び降りて今度は私の方へタッタッタと走ってきた。


「えへへ〜ソラおねえちゃんにかみかわかしてもらったの!」


「あら、良かったわね。ほら、ソラお姉ちゃんにありがとうって言ってきなさい」


「うん!………ソラおねえちゃんありがとう!」


「はい! どういたしまして♡」


「えへへ〜。ままぁ、だっこして?」


ソラちゃんにお礼を言って戻ってくると私に抱きついてきた。


「良いわよ♡」


そう言ってソフィーを抱っこする。抱っこをするとソフィーから甘い匂いがしてきた。はぁ、この甘いの匂いだけで1週間は生きていけるわ。


「ままぁ、くすぐったいよぉ」


「ごめんごめん、もうやんないよ」


こっそり匂いを嗅いでたのがバレてソフィーからやめてと言われてしまった。それにしてもたった1日だけでここまで甘えてくれるなんてままは嬉しいわ。やっぱり子供は環境が変わるだけですっごく変わるんだね。


「むぅ……ナギサ様はずるいです」


「え〜何が〜?」


ソフィーを眺めながらうっとりしていると急にソラちゃんから嫉妬された。


「だって私だってソフィア様とぎゅーってしたいです!」


「やだ! ソフィーは渡さないもん!」


「少しくらい良いじゃないですか!」


「「うぅー!」」


「も〜! ままもおねえちゃんもけんかはダメ!」


二人で睨み合っているとずっとアワアワしていたソフィーが私の両目に手を出して視界を隠してきた。


「そ、ソフィー?」


「けんかはダメなの! なかよくするの!」


「まま達は喧嘩なんてしてないよねぇ〜ねぇソラ」


「は、はい! 大丈夫ですよソフィア様」


「そおなの? じゃあいいよっ!」


ほっ………よかったよかった。

こんなんでソフィーから嫌われたらもう私生きていけないかもしれないからね。それにしてもソフィーはなんて優しいんだろう! 喧嘩してると思ってそれを止めようとするなんて大人でも出来ないのに!!


「あー!! ナギサ様避けてーー!!」


ーー!? なになに? どう言う事!?


〈シュン!!………ドス!〉


ヘ‥‥?なんか今、私の頬のすぐ傍を何かがものすごい勢いで通り抜けていったんだけど………。

そして何かが通っていた方を振り返るとなぜか鉛筆が壁に突き刺さっていた。怖すぎでしょ〜。


「ナギサ様すみません!!」


ありえない事に驚いていると扉の向こうからユキちゃんが走ってきた。


「ユキ? もしかしてあの鉛筆………貴女がやったの?」


「すみません!! どうしても急ぎの用があって躓いた拍子に鉛筆が飛んで行ってしまいました!!」


「そ、そう………」


えぇ〜、躓いた拍子に鉛筆が飛んで来るとか………なんかよく見たら扉開いてるし、そこにちょうど鉛筆が飛んできたとかある意味ラッキーなんじゃない?


「まぁ今回は奇跡的に怪我はなかったけど、次からは注意しなさい」


「はい! では、これで………」


そう言うとササっと部屋を離れて行こうとするユキちゃん。

私はもちろん見逃すつもりはない!


「ユキ、待ちなさい」


「ひうっ………な、なんでしょうか〜?」


「貴女なんに為にここに来たの?」


そう、ユキちゃんはさっき『用があって来た』と言ったのに特に何もしないで帰ろうとしているのだ。これっておかしいよね?


「えっとぉ………」


「ユキ! ちゃんと言いなさい!」


「ーー! う、う、」


「う……?」


「う、上を見て下さい」


上に何があるんだ?

そう言われて私とソラちゃんが首を上に向けるとそこには………


「え、エリン!? 何してんのあんた!?」


何故かそこには天井に張り付いているエリンがいた。え、マジでなんで?ただ単にホラーなんだけど。


「えっとぉ、そのぉ………ナギサ様を………驚かせようと………」


はぁ………


「(すぅ……)バカものーーー!!!!」


〜〜お説教中〜〜


「ナギサ様、終わりましたか〜?」


私の雷がエリンに一通り落ちた所でソフィーを抱っこしたソラちゃんとユキちゃんが部屋に入ってきた。


「ええ、ちょうど終わったわ。ソラちゃんありがとね」


「はい!」


そしてソフィーを受け取った。


「あ、あの〜エリンさんってこの後どうなるんですか?」


ユキちゃんは私に絞られて床に倒れているエリンを見て聞いてきた。


「そりゃあを与えるわよ」


「ど、どんな罰……なんですか?」


“罰”と聞いて恐る恐る聞いてくるユキちゃんに私はにっこりと笑って答えた。


「地獄へ出張よ♡」


「「あ………」」


それを聞いた二人の顔が一気に青ざめた。まあこの二人は地獄への出張を知ってるからね、こうなるわよね。


「さっ! 夜も遅いから早く寝るわよ〜!」


もうソフィーも眠くて私に抱っこされながら眠っている。


「は、はい。………エリンさん、頑張って下さいね」


そう言ってエリンを空間魔法で自室に放り込んで私達はそれぞれの寝室に戻った。


◇ ◇ ◇


「ソフィー」


「すぅ……すぅ……」


よし、ちゃんと寝てるね。いや〜大変だった。ソフィーをベッドに寝かせて部屋を出ようとした瞬間に「ままいっちゃやだ!」って大泣きするんだもん、それから30分くらいずっとソフィーの頭を撫でながら「ずっと一緒にいるよ〜」って言い続けた。そしてやっと寝息が聞こえるくらいまで寝ついてくれた。


「おやすみ、ソフィー」


私はソフィーのほっぺたにキスをして自分の寝室へと向かった。


そしてこれは余談だけど次の日の朝にソフィーの私を呼ぶ大きな泣き声で私とセラ達全員が起こされたのはまた別のお話。

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