第7話 おでかけ・洋服屋編
「ソフィー大丈夫?」
「………」
あれからソフィーはずっと抱っこされたまま顔を私の胸に押し付けていて見せてくれない。泣き止んではくれたんだけどなぁ、こういう時はどうすれば良いんだろう。
「ナギサ様、ソフィア様お帰りなさいませ。………ソフィア様はどうしたのですか?」
「あぁ、ちょっと注射した時にぐずっちゃって………」
私はセラにさっきまでの事を説明するとセラは少し考えてポケットから飴玉を取り出した。それは………オズさんに貰った飴玉かな?そういえばセラに預けてたような……
「ソフィア様、これは『魔法の飴玉』といってこれは食べた人の好きな味に変わるという特別な飴なのです!ぜひ食べてみませんか?」
セラは子供をあやすような優しい声色でそう言うと飴玉の包み紙を取ってソフィーの顔に近づけた。すると驚いたことにさっきまで全然顔を上げてくれなかったソフィーが顔を上げてセラの持っている飴玉を取って口に入れて舐め始めた。
「ソフィア様、どうですか?」
「おいしい!」
「それは良かったです」
ソフィーの顔には朝までの明るい笑顔が戻っていた。それにしても飴玉にはたくさんの種類の味があるのによくピンポイントでソフィーの好きな味があったな。
「それじゃあ次は………ソフィーのお洋服を買いに行こっか」
「はい」
◇ ◇ ◇
「そういえばセラ、あの飴玉がソフィーの好きな味の飴玉じゃなかったらどうしてたの?」
馬車に乗って移動している途中、ソフィーが眠っているのを見計らってさっきの事を聞くことにした。
「あぁ、あれはポケットから出すフリをして私の部屋にある飴玉を入れている箱からソフィア様の好きな味の飴玉を取っただけですよ」
そう言うとセラはさっきみたいにポケットからサワーベリーの飴玉を取り出した。
「へっ?」
ど、どういう事? ていうかどうやってソフィーの好きな味を知ったの!?まだ私ですらわかってないのに!
「朝食の時に果物を食べましたよね、その時ソフィア様の顔が一番笑顔になったのがサワーベリーだったのでもしや、と思い」
「ほへぇ〜セラは凄いな。私はそこまで見れなかったよ」
「ふふっそれが私の役目ですから。なので……ナギサ様のあんな事やこんな事も知っていますよ」
そう言うセラの顔は微笑みが浮かんでいた。そしてこの顔には見覚えがある!
この顔は子供の隠しごとを知っている時の保護者の顔だ!まだ私が高校生の頃、自分のベッドの下に隠してたちょっとアレな本を見つけたお母さんの顔と同じ顔をしている。
「ちょっそれどういう事!?」
「ふふっナイショです。それと、そんなに大きな声を出してしまうとソフィア様が起きてしまいますよ」
「………!そ、それは貴女が変な事を言うからでしょ」
まったく、私がセラに隠してることなんて…………無い!(←ある)
「うう〜ん……ままぁ?」
「ごめん、起こしちゃった?」
セラと話していると私の膝に頭を乗せて寝ていたソフィーが目を覚ました。ソフィーは目を覚ますとすぐに起き上がり私に抱きついてきた。
「えへへ〜ままの良い匂いする〜」
そう言うとソフィーは今度は私に抱きついたまま眠り始めてしまった。さっきまでいっぱい泣いてたから疲れたのかな?
〜〜10分後〜〜
「おい、着いたぞ〜」
目当ての場所に着いたみたい。
ここは日本のショッピングセンターみたいにたくさんのお店が何キロにも続いてるの。今私達がいるのは日用品とかお洋服をメインに売っている通りね。
「ソフィー起きて、着いたよ」
「うん〜?わかったぁ」
私が起きるように言うとソフィーはゆっくり目を覚ました。
そしてゆっくりと私の膝から降りていった。
「ままぁ、つぎはいたいことしないよねぇ?」
「大丈夫よソフィー、次はきっとお買い物だからソフィーも楽しめるはずよ」
「わかった!」
そう言うとソフィーは私の手を握ってきた。
はうぅ♡ そ、ソフィーから、手を握ってくれた。柔らかい手が私の手に吸い付いてくる〜。絶対に離さないからね!!
「ソフィーここよ」
私はソフィーと手を握ったまま歩いて目的のお店まで着いた。ここにくる途中はずっと周りからの視線が気になったけど………ソフィーがいてくれたからまったく気にならなかったなぁ♡
「わぁ〜!すごいね!」
「でしょ〜!さっ入るよ!」
そう言って私はお店に入って行った。
お店の中には沢山の可愛いお洋服がある。ここは私の行きつけのお店でエリンから教えてもらったんだよね。私の着ている服もここで買った物なの!
「あら〜ナギサさんにセラさんお久しぶりね!元気そうでなによりよ!」
「セレンさんも元気そうで嬉しいわ」
この人はセレンさん。このお店の店主で私がこの世界に来た最初の頃に働かせて貰った人でまあ命の恩人だね。
「あら、その後ろに隠れてる子は? もしかして……結婚したの!?」
「いやいや、セラの実家の孤児院から一人養子で貰ったのよ。ソフィーって言うの、ソフィーセレンさんにご挨拶して」
「こ、こんにちわ……ソフィアっていいます、4さいです」
私がソフィーに挨拶をするように促すとソフィーは私の後ろに隠れながらもしっかりと挨拶ができた。偉いよ〜!!
「あら〜ソフィアちゃんって言うのね、可愛いわね」
ふっ!セレンさんもソフィーのこの可愛いさに気づいたか!!そうなのよ、ソフィーは可愛いのよ!!
「今日はソフィアちゃんのお洋服を買いに?」
「ええ、ソフィーに合う服が無くてね」
「ふふっゆっくりしてってね」
そう言うとセレンさんは店の奥に戻って行った。
「さっソフィーに合う服を探しましょうか」
「私も探してきますね」
「ソフィーはままと一緒に探そうね」
「うん!」
ふふっこうやって自分の子供とお買い物をする事も私の夢だったんだよねぇ〜。お母さんも「渚とちっちゃい頃に一緒にお買い物に行った時は楽しかったわ〜」って言ってたしね。
私は子供服が置いてある棚に向かった。
う〜ん何が良いかなぁ、ソフィーは可愛いからどんなお洋服も合いそうだから迷っちゃうなぁ。今着てるワンピースもすっごく可愛い。
「ままぁ、これは?」
私が探しているとソフィーが服の端っこを引っ張ってきた。
「うん〜?どれどれ……良いじゃない!」
ソフィーが持ってきたのは藍色の生地に所々に星みたいに黄色の刺繍の入ったワンピースだった。ソフィーはこういうのが好きなのかな?
「ちょっと試着してみよっか」
「うん!」
そして試着室に入った。
「はい、ばんざーいってして」
「ばんざーい!」
服を脱ぎやすいように腕を伸ばしてもらった。すると純白のソフィーの肌が見えた。ふふっ真っ白で良いなぁ。
「……ぷはっ!」
「きゃ〜〜♡ソフィー可愛いわ!」
「えへへ〜」
あぁ〜可愛い。私もこんな風に可愛かったらよかったんだけどなぁ。
それにしてもソフィーは本当になんでも合うな〜。
「ままぁ、そんなにみてたらはずかしいよぉ」
あまりにも可愛くてソフィーに見惚れているとソフィーが恥ずかしそうに顔を真っ赤っかにしてしまった。
「ナギサ様、お洋服持ってきましたよ」
「そう?ありがとう」
そしてセラからも洋服をもらってソフィーのファッションショーが始まった。
◇
「ふぅ……疲れたぁ」
あれからいっぱいソフィー用の服を見たけど結局全部買うんだから見なくてもよかったんだけど、やっぱり試着ってお洋服を買う時の醍醐味だから欠かせないよね!
「まま! つぎはなにみるの!」
「まま疲れちゃったからちょっとだけ待って〜」
子供の体力ってすげぇ〜私はもう動けそうにないんだけど………
「ナギサ様、私がソフィア様と見てきましょうか?」
「あぁ、じゃあ頼むよ」
いや〜こういう時セラがいると本当に助かる。
「わかりました。では、ソフィア様行きましょうか」
「………」
「ソフィア様?」
さっきまでニコニコの笑顔だったソフィアがなぜか不機嫌そうにほっぺたを膨らませていた。
「……とがいい……」
「なんて言ったのですか?」
「ままといっしょがいいの!!」
そ、ソフィー! そんなにままと一緒にいるのが良いのね!嬉しいわぁ!ソフィーの言葉を聞いたらなんか急に元気出来たわ!
「ふふっまま元気になったから一緒に行こっか」
「……! うん!」
そして今度はソフィーの使う小物類を見に行った。
〜〜一時間後〜〜
………ちょっと買いすぎたかなぁ。それから帽子を5個、イヤリングを何個か、服を何着も買った。それと私とかセラ、エリンの服もついでに買った。まあ荷物はセラの空間魔法で簡単に運べるから持ち運びとかは大丈夫なんだけどね。
「まま、いっぱい買ったね!」
「そうね、これでソフィーも明日からもっと可愛いのが着れるね」
「うん!」
さてと、そろそろお昼ご飯の時間か………何食べようか、迷うなぁ〜。ソフィーは何が食べたいんだろう。
とりあえず何か食べれるところに向かわないと!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます