第5話 朝ご飯

チュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえてきた、もう朝になったのか〜。いつも通り朝起きたらする事は………カーテンを開けて日光を浴びること!こうする事で脳を目覚めさせるの。


「ナギサ様、セラです。起きておりますか?」


おっ今日もいつも通りセラが来てくれた。セラは私に雇われてからは毎日同じ時間に起こしにきてくれる。そのおかげで最近ではセラが来る前に起きれるし、健康的な目覚めが出来てる。


「えぇ、今さっき起きたところよ」


「お部屋に入っても大丈夫でしょうか」


「ええ、大丈夫よ」


私がそう言うと昨日の寝巻き姿のセラではなくメイド服のセラが部屋に入ってきた。寝巻き姿のセラも良いけどメイド服姿のセラもやっぱり良いわね。


「失礼します。洋服をお持ちしました」


「ありがとう、セラ。けれど……たまにはエリンとかに任せてゆっくり寝ても良いんじゃない?」


毎日お越しに来てくれるのはすごく嬉しいけどこうなるとセラがしっかり寝れているのか心配になる。だっていつも私が寝た後に寝てるのにも関わらず、私よりも早くに起きてこうして起こしにきてくれるんだもの。いつか倒れそうで怖いわ。


「いえ、これが私のお仕事ですから。それに彼女らの誰よりも最初にナギサ様のことを見れるのですから毎日楽しみにしながら起こしに来てるのですよ」


「それなら良いんだけど、それで倒られるのは嫌よ」


「そうなれば他の者に任せてしっかり休むので安心して下さい」


「約束よ」


私はそう言って着替え始めた。

今日はお出かけの日だからねいつもより少しおしゃれな物にして貰ったわ。


「この後はどういたしますか?ソフィア様を起こしに行きますか?」


「そうねぇ、起こしに行きましょうか」


そして私たちはソフィーの部屋に向かった。

部屋に入るとまだカーテンは開けられておらず暗かった。あれ?エリンは何処に行ったのかしら。部屋の何処にもいないのだけど。


「セラ、エリンはどこに行ったの?」


「………トイレではないのでしょうか」


「あぁ」


そっか、トイレに行ってて入れ違いになったとかか。そうね、エリンが仕事を放り出して出るとかありえないもんね。セラ程ではないけどエリンも真面目だからね。


私はカーテンを開けて日光の入るようにした。

すると「ん〜まぶしいよぉ」と言うソフィーの声が聞こえてきた。


「ソフィー、おはよう。よく眠れた?」


「……!?おっおはようごいます!」


「ふふっおはようで良いわよ」


私に気づいたのかガバッと起き上がっておはようと言ってくれた。

ふふっ可愛いわ〜!もうぎゅ〜ってしたい!!


「ソフィーこの後朝ごはんなんだけど一緒に来る?それともここで食べる?」


「えっえっと……行きます!」


ソフィーが行きますって言った瞬間にソフィーのお腹から「ぐ〜」と可愛らしい音が聞こえてきた。


「ふふっ決まりね。そしたら……セラ、ソフィーのお着替え手伝ってあげて。私は先に行ってご飯を作っておくわ」


「わかりました」


私はそう言って部屋を出た。

今日の朝ごはんは昨日のあまりのシチューにマカロニを加えたグラタンにでもしようかしら。まだまだ朝は寒いから温まる料理の方が良いだろうしね。

そうして朝ごはんを作り始めると食堂の扉が開いた。


「あれっ?ナギサ様がどうしてここに?」


部屋に入ってきたのはソフィーの部屋にいなかったエリンだった。まったく、いつまでソフィーの部屋に戻らないつもりなのかしら。


「エリン、ソフィーのお世話はどうしたの」


「あぁ〜えっとぉ〜少しトイレに行っていて……気づいたら、その……寝てました……」


「………はぁ?」


まったく、女の子がトイレで寝るなんて。

ていうか眠くなったなら私とかセラに交代して欲しいって言えばよかったのに。もしそれでソフィーに何かあったらどうするつもりだったのよ。


「エリン、疲れてたら正直に言いなさい!もしエリンが出ている間にソフィーに何かあったらどうするの!」


「は、はいぃ!次からは気をつけます!」


「まったく、じゃあご飯作るから手伝って」


「は、はい!」


そして後はオーブンで焼けば完成というところまで終わらせた。あとはソフィー達を呼んできてもらってその間に焼けばちょうど良いくらいかしらね。


「ふぅ、あとは焼くだけね。エリン、セラとソフィーを呼んできて」


「はい!わかりました!」



そして少しして食堂の部屋が開いてセラとソフィーが入ってきた。


「ママぁー!」


食堂に入ってきたソフィーは小さな足取りで私の方へ走ってきた。

あ〜可愛い♡♡もうっ!どうしてこんなにちっちゃい女の子は可愛いの!!

走ってきたソフィーを屈んで受け止めてぎゅ〜っとハグをした。ソフィーの柔らかい肌が当たって気持ちいい。餅みたい!


「もうすぐでご飯できるから待っててね」


「はい!」


「ん〜……ソフィー敬語を使うのやめない?」


朝もそうだったけどやっぱりこんなちっちゃい子が敬語を使ってるのはあんまり良い気分になれない。もっとこう、なんだろう……ちっちゃい子には純粋な言葉?を使って欲しい。


「………?けいごってなんですか?」


「あ〜えっと……例えばさっきソフィーは『おはようございます』って言ったでしょ」


「はい!」


「そこもっ!『はい』じゃなくて『うん!』で良いの。話が逸れちゃったけどママとかセラとかには『おはよう』で良いんだよ」


う〜ん、あんまり良い説明ではないけどわかってくれたかなぁ


「わかりました……じゃなくて、わかった!!」


「そうっ!!理解できたの偉いよ〜!」


「えへへ〜」


ソフィーの頭を撫でるとソフィーは嬉しそうに笑ってくれた。あぁ癒される♡

それにしても、私のあのよくわかんない説明でもちゃんと理解できたなんて……ソフィーは天才だわ!


「ナギサ様、グラタン焼き上がりましたよ」


「あっありがとう、セラ!」


「いえいえ」


ソフィーに敬語はやめて欲しいと言っている間にセラはすぐにグラタンを焼き始めてくれていた。やっぱりセラは気が利くなぁ、トイレで寝始めるとかありえないから!


「じゃあ食べましょうか!」


「うん!」


焼きたてのグラタンとパンをテーブルに運んで朝ごはんの準備が出来た。

焼けたチーズの良い匂いが食欲をそそる。早く食べたい!


「ナギサ様飲み物はどうしますか?」


何を飲むか聞いてくるセラの方を見るとセラの手にはすでにコーヒー豆の入った袋が握られいた。もう作ろうとしてるなら聞く必要は無いんじゃないかなぁ。


「そうね〜コーヒーでお願い。ソフィーは何飲みたい?」


「えっと……オレンジジュースがのみたいd……飲みたい!」


ふふっさっき言ったことちゃんと気をつけてる。その調子で年相応の可愛い子になってね。


「ソフィーはオレンジジュースだって」


「わかりました。すぐに用意いたします」


そう言ったセラは一瞬にして消えていった。庭にオレンジを取りに行ったのかな?そしてセラを見ていたソフィーは驚いた顔をしていた。


「ーー!?ママ!おねえさんきえちゃったよ!」


「あ〜……セラはね空間魔法っていう魔法が使えてね、一瞬で遠いところに行くことが出来るの」


「すごい!ソフィーもできるようになれるかなぁ?」


「きっと出来るようになるわ。けど、その前によく食べて、よく眠って、よく遊んで大きくなろうね」


「うん!」


素直で大変よろしい!まぁ、本当の事を言うとソフィーに空間魔法の適性が無いと使えないんだけど………まだ言うべきじゃないよね。


そしてすぐにセラが戻ってきた。セラが持っていたバスケットにはオレンジ以外にもブドウや林檎、※サワーベリーがいっぱいに入っていた。


※口に入れるとシュワシュワする不思議な木の実。地球のさくらんぼに似ている。


「そろそろ良い頃合いになったと思ったのでついでに取ってきたので食後のデザートに食べましょう」


「そうね、それが良いわ」


そしてセラはコーヒーを注ぎながらオレンジを絞っていた。そしてオレンジ100%のジュースが出来た。


「それじゃあ食べましょうか」


そしてソフィーが来てからの初めての朝ごはんが始まった。

ソフィーはさっそく出来立てのオレンジジュースを飲んでいた。新鮮だから絶対美味しいはず!


「ソフィー美味しい?」


「うん!」


ソフィーはそう言うとスプーンを持ってグラタンを食べようとした。

……今日お買い物に行く時にソフィー用のスプーンも買わないとなぁ、今は仕方なく大人用のを使ってもらってるけどかなり使いづらそう。


「ソフィーちょっと待って!」


「ふぇっ?」


ソフィーがグラタンを一切冷まさないで口に入れようとしたため急いでとめた。


「ソフィーグラタンはすごく熱いから冷ましてから食べないとダメだよ。ちょっとスプーン貸してみて」


「うん」


ソフィーからスプーンを取って『フーフー』ってして冷ましてあげて


「はい、あ〜ん」


「あ〜むっ!」


「美味しい?」


「うん!!」


はうっ♡可愛いすぎる。

ソフィーがグラタンを口に入れて数回噛んだところでソフィーの目に星が出来たんじゃないかってくらいの満面の笑みが弾けた。


余程気に入ったのかソフィーはパクパクとグラタンを食べていき一番最初にグラタンを食べ終えた。気に入ってくれたかな?

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