第21話 スキルは使いよう
上手くいってくれよ!
そう願いながらスキルを発動させる。
期待通りにスキルが発動して、5体いるボスのうち1体と俺の位置が入れ替わった。
ボスは突然場所が入れ替わり驚いている。
分身も本体に連動しているせいなのだろう。
あたふたしている本体の動きが4体の分身にリンクしていて面白い。
さてとやっとこれで攻撃を当てることができる。散々攻撃をからぶらせやがって!
「咆哮発動!うぉぉぉぉぉお!」
本体のボスの動きを封じると、分身は消えていなくなった。
めいいっぱい力を込めて、斧を振り回す。
「おんどりゃぁぁぁあ!!」
ボスに向かって、斧を振り回しながら俺は自分の体の違和感を感じた。
ちょっとずつ、本当に少しずつ力が増していっている気がするのだ。
増しているというよりは、元々出すことのできた全力をやっと使えるようになったような感じ…
不思議な感覚にとらわれながら、ボスに攻撃を繰り返す。
再び『咆哮』の効果がきれるが、ボスは前のような余力はないように見えた。
「グレラォォォオオオオ!!!」
ボスはけたたましい声をあげながら腕を振り上げるが、動きは確実に遅くなっている。
「これで最後!!」
ボスの脳天目掛けて、斧を振り下ろす。
「グ、グラァ…」
見事ボスの脳みそをパッカーンすることに成功し、赤色の霧となって爆散した。
天井も青く光り始めた。
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レベルアップしました。
Lv12→13
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ふむ、メタルの時はレベルが10から12に上がったが、今回は12から13か。
レベルをあげるのに少し足りない気がしていたが、こいつもそこそこ経験値をもっていたな。
成長性Gである俺でも1つレベルがあがるとなると、成長性Bのタイガだったらいくつレベルがあがるのだろうか。
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レベルアップにより使用回数が全回復しました。
レベルアップにより『私益世界』の使用回数と回復時間が増加しました。
使用回数:12→13
回復時間:1時間12分→1時間18分
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おっ、ラッキー。
レベルアップのおかげで1日回復しなくなっていた『私益世界』の使用回数が戻った。
しかし悲しいことにボスのステータスは奪うことができていなかった。
仕方ないよね、対戦前は使用回数0だったんだもん。
世の中はいいことばかりではないということだな。
でもなぁ、せっかくのCランクモンスターでしかもボスモン。
ステータスを奪うことができていたのであればもっと強くなれていただろうに…
おっと、大事な物を忘れていた。
宝箱、今回の宝箱は何色かな〜。
少し期待を込めて、ボスのいた場所を見つめる。
霧が晴れそこに落ちていた宝箱は…木の宝箱だった。
うん、知ってた。
銀の宝箱ですら、滅多に出ない。
金の宝箱に関しては1年に1回お目にかかれるか分からないほどレアだ。
見つかった時は新聞やテレビ、ネットニュースが大騒ぎするレベル。
期待通りの色ではなかったが、貴重なアイテムやスキルの入っているのだから大切に持って帰ろう。
すばやく俺は木の宝箱をバックの中に突っ込むと、タイガの所へ戻る。
タイガの周りにいたウルルフ達の数は減っているもののまだ多い。
ボスとの戦闘時間は1分くらいだったと思うが、タイガはすでに涙目だった。
タイガは俺を見つけると早くこっちにきて手伝えと言わんばかりの顔をしてした。
ボスを倒したのでモンスターの出現率は下がっているはず。
今いるモンスターを倒せば次から次へと湧いてはこないだろう。
2人で協力しながら5分後にはモンスターの団体を解体させた。
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『私益世界』自動発動しました。
【使用回数0/13】【23:59】
※使用回数が足りないため、奪うステータスが減少し、スキルも獲得できませんでした。
※一度の戦闘で使用回数を超えるモンスターを討伐したため、『私益世界』はこれより24時間、時間による回復をしなくなります。
これによりステータスが上昇します。
対象:ウルルフ
HP +30 MP +15
ATK+26 DEF+17 AGI+31
INT+14 MD +10 DEX+12
LUK+1 SPI+5
対象:ウルルフ
HP +30 MP +15
ATK+26 DEF+17 AGI+31
INT+14 MD +10 DEX+12
LUK+1 SPI+5
対象:ウルルフ
HP +30 MP +15
ATK+26 DEF+17 AGI+31
INT+14 MD +10 DEX+12
LUK+1 SPI+5
対象:ウルルフ
HP +30 MP +15
ATK+26 DEF+17 AGI+31
INT+14 MD +10 DEX+12
LUK+1 SPI+5
対象:ウルルフ(減少)
HP +10 MP +5
ATK+9 DEF+6 AGI+10
INT+4 MD +3 DEX+4
LUK+0 SPI+1
獲得スキル:噛みつく×4
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なるほど、使用回数が足りなくてもあるだけ勝手に消費する感じか。
3消費するところ、回数が1しか残っていなかったから奪えたステータスも約3分の1になっている。
本当融通が効かないのね、このスキル…
強くなることにだけ固執しているのは、俺が卒業前にひたすらに強くなりたいと願ったからだろうか。
そういえばタイガはどんな特殊スキルをもっていたのだろうか。
2人で協力して戦っている時、特殊スキルを使っているような仕草はなかった。
気になる…気になると仕方ない性分なんだ。
つい聞いてしまった。
「タイガの特殊スキルってなんよ?」
「なんで教えないといけないんだよ。」
まぁ至極真っ当な返事である。
が、今後また邪魔をされると面倒ではあるので情報は欲しい。
「助けてやっただろ?」
正直こう言ってみたが話すことはないだろうな。
「拳で対象を攻撃した時、ATKが30上昇する。」
意外だな、案外素直に話して…って、え?
攻撃力プラス30するだけ?しょぼくない?
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