第18話 漢の闘い開幕
新しい武器と共に朝の4時、換金所が開いてすぐに俺とマイさんは受付を済ませてダンジョンの入り口へと向かった。
まだ換金所には他の冒険者の姿はなかった。
ダンジョンの入り口にはすでにタイガが俺たちを待っていた。
「おぉ、逃げずにやってきたな。万年Gさん。」
「うるせぇ、勝負に勝ってお前の奥歯ガタガタいわせてやるわ!」
タイガは俺を上から見下していた、物理的に。
昨日から思っていたがこいつやっぱり身長が高い。
俺はギリ170センチに対して、タイガのやろう180センチ。
顔もよく見ればイケメンの分類だ。
その上、成長性がBときた。
銀の冒険者であればそこそこの稼げれるだろう。
高収入、高身長、高成長性、世の中の女性が男に求める3つの高をこんなやつが持っているなんて…
悔しい、妬ましい、羨ましい!
こんなやつに負けたくない!!
「一夜寝て考えたんだけどよ、アイテムはLUK値によって左右される。そんなのは平等とはいえないよな。だからルール変更、時間無制限で先にボスを倒した方の勝ちっていうのはどうだ?証拠はボスを倒した時に出る宝箱だ。」
「あぁいいよ。なんでもかかってこい。だったら人数も平等にしないとな。マイさんはここで待っていてもらう。俺1人でダンジョンに潜るよ。」
「え、トモヤさん。私、そんな話聞いてませんよ!?私もダンジョンに潜ります!」
「いや、マイさん。これは漢の勝負だ。手出し無用でお願い。」
「そんな…」
マイさんは気に食わないのだろう。
頬を膨らませている。
可愛い。
「代わりに審判をしてください。そうじゃないとこいつが何かズルした時に訴えられないでしょ?」
「たしかに…」
「ふざけんなよ?俺がズルでもするってのか?あぁ?」
俺はタイガの発言スルーした。
過去の動画を使って人をバカにするようなやつのセリフなんぞ信じられるか!
どうせ突然のルール変更も何か理由があるんだろ?
そんなものにマイさんを巻き込めるか!
「マイさんは換金所で待っていてください!お願いします!」
「…分かりました。」
俺が頭を下げると、マイさんはしぶしぶ了承してくれた。
「トモヤさんに…あなたも!安全第一で行動してくださいよ。くれぐれも無茶だけはしないように。危なくなったら逃げる。死んだら許しません。」
敵の心配もするマイさん、可愛い。
「それじゃあいきます。よーい、スタート!」
号令とともに俺らは走りだす。
だが俺らはこの時知らなかった。
今日のダンジョンはひと味違うということに…
◇◇◇◇◇◇◇
タイガはデカい図体の割には機敏に動く。
流石、銀の冒険者というべきだろうか。
俺も負けじと距離を離されないように全速力で走った。
タイガは俺より先に2階へ降りる階段に辿り着き、姿が見えなくなってしまった。
急いで俺も階段に辿り着くと、足元にはなぜかタイガがしゃがんでそこにいた。
タイガは階段を降りていなかった。
実は俺から姿が見えないようにしゃがんで、俺を待っていたのだ。
そして俺がタイガに気がついたときには腹を殴られていた。
キラン!
「うげぇっ!」
「ラッキー!クリティカルが出たよ。ルールには相手への暴力は禁止されていなかったからな。じゃあなー、先に行ってるぜ。」
いてぇ…ちくしょう。
俺は痛みから動けないでいた。
不意打ちだったからか…
クリティカルは通常より2倍のダメージが出る。
いくら俺の防御力があがってもクリティカルを出されてはただではすまない。
殴られてしばらくして、ゆっくりと俺は動くことができるようになった。
もうすでにタイガのやろうは遠くにいっているだろうな。
俺はバックの中からおもむろに緑色のポーションを取り出して飲んだ。
「にげぇ…」
昨日の装備屋に寄った時、店に置いてあった体力回復用の低級ポーションなのだが一個五千円、それを3本だけ買った。
他にも赤色のMP回復用の低級ポーションも3本買った。
こちらも一個五千円。
低級以外にも中級ポーションも置いてあったが、さすがに手をつけれなかった。
だって中級ポーションは共に一個三万円!
俺の新しい武器より高かった…
しかし低級と言ってもポーションはポーション、みるみると怪我はひいていき、痛みは消えた。
良薬口に苦しとはこのことだなと、身をもって理解した。
体を回復させて、2階へと降りる。
すると今度はタイガではなく、ウルルフの群れが俺をお出迎えしてくれた。
1、2、3、4、5、6匹!?
まだ2階だよ?サービスしすぎだって…
「はぁ…お前ら雑魚モンには興味ないんだよ!!」
「グルルル、ワンワン!!」
相変わらず鳴き声だけは可愛いんだから。
飛び出してきたウルルフを一瞬で斧で斬りつける。
すると短剣の時より簡単に一振りでウルルフの首を刎ねることができた。
おぉ柔らかい…いやこの斧の切れ味がいい。
たしか所有者の攻撃力の半分がこの斧の攻撃力になるんだっけ?
成長性がG以外の者が持つ時、重量が増す効果さえ無ければこの斧、最低でも100万はくだらないな。
本当にいい買い物ができた。
こういうボロの装備屋の方が良いと言って連れて行ってくれたマイさんに感謝だな。
「グルル…」
さてと残りの5匹もパパッと片付けてタイガに追いつきますかね。
『私益世界』の回数は序盤で消費してしまうけど仕方ない。
「この新しい斧の鯖にしてくれるわ!!」
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