第13話 スキルを使うのも勇気が必要
モンスターを倒した時に得られる経験値は、人数に応じて分割されてしまうが、直接自分が仕留めなくてもパーティメンバーであれば全員貰える。
『私益世界』の判定は経験値と同じだと思っていた。
予想通りだったのは、Eランクモンスターのウルルフを倒すとスキルの使用回数を3消費していたこと。
間違いない、Gからモンスターのランクが上がるにつれ1ずつ消費する回数が増えている。
自分が直接仕留めない限り、使用回数は減らないことが分かったのは良かった。
ウルルフは最低でも4匹の群れになっている。
一つの群れで『私益世界』が使えなくなってしまう。
出来ればウルルフキング、欲を言えばメタルスライムの固い防御力を奪いたいと思っていたので今後はマイさんに仕留めてもらおう。
俺はサポートに専念。
狩りたい時だけしゃしゃり出て、ステータスを奪わせてもらう作戦でいくことにしよう。
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NAME:小林智也 Lv10
HP :228/228 MP:96/96
ATK:174 DEF:141 AGI:127
INT:77 MD:70 DEX:95
LUK:24 SPI:55 LER:G
特殊スキル:私益世界【使用回数7/10 0:58】
スキル :咆哮 チェンジ 噛みつく
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ちなみに素早さも値がとうとう100を超えた。
たった数日でここまで大きく成長できるとはな…
新しいスキルも手に入れたのでそれも確認する。
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スキル:噛みつく クールタイム:20秒
対象に噛みつき、小ダメージを与える。
攻撃力が上がれば威力もあがる。
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スキルにも大きく分けると2種類存在する。
MPを使う魔法タイプ、MPの消費はないがクールタイムが発生する戦技タイプがある。
このスキルは戦技タイプのようだ。
『噛みつく』名前のまんまだな…
これ本当に敵に噛みつかないといけないのかよ。
いや、まだ100歩譲ってウルルフはいいよ?
ゴブリンにこれを使うのは絶対嫌だ。
モンスターは倒すと霧になるが、斬れば一応血を流す。
ゴブリンに噛みついてみろよ…
お世辞にも綺麗とは言えない体に俺の歯をつけるのも嫌なのに、ダメージを与えた時に出る臭い血を口内で直で浴びることになるんだぞ。
この技は封印決定。
俺が心の中で葛藤しているとも知らず、マイさんはぴょんぴょん跳ねて早く進もうとせかしてきた。
2階層に降りるとモンスターとの戦闘が増えた。
このダンジョンはモンスターの量がそもそも多い。
ちょっと歩けばすぐモンスター。
少し先に進めばすぐモンスター。
俺はうへぇ…となっていたが、マイさんは全然へこたれていなかった。
毎回『スラッシュ』を1発撃って、ウルルフの群れを蹴散らしている。
サポートしようと思ったがその必要はなさそうだ。
スキル『スラッシュ』も『噛みつく』と同じ戦技タイプだ。
クールタイムさえ待てば、何回でも使えるのは戦技タイプのいいところなのだが、その分威力が落ちるはず。
本来『スラッシュ』は、せいぜいウルルフ1匹にダメージを与えれる程度の威力しか出ない。
が、明らかにマイさんの繰り出す『スラッシュ』は威力がおかしい。
マイさんの攻撃力が高ければ、まだ納得はできるのだがこの前見せてもらったときは40ぐらいしかなかったよな?
「トモヤさん、どうしました?そんな顔して。」
「いやマイさんのスラッシュ凄いなぁって。」
彼女はあ〜、っと納得したような顔をする。
可愛い。
「これが私の特殊スキルなんです。言葉で言うより見せた方が早いですね。」
マイさんは自分のステータス画面で特殊スキルを見せてくれた。
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特殊スキル:
スキルの威力を0.1〜10倍の間で調節することができるようになる。
倍率に応じて消費MPやクールタイムも増加する。
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「私、ずっと8倍の威力でスラッシュを使っていたんです。スラッシュはクールタイムが10秒と短いので
たしかに8倍の『スラッシュ』であればあそこまでの威力が出せるだろう。
クールタイムが8倍の80秒になっても、一撃で倒しきってしまえば問題はない。
「いいの?俺なんかに見せても。特殊スキルって冒険者にとっては商売道具と同じ。あんまり知られるとまずいのは分かっているよね?」
「はい!分かっています。でもトモヤさんならいいかなって。」
ニコっとマイさんは笑う。
ん〜!可愛いからいっか!
俺が他人に言わなければいいだけだし。
「さっ!先に進みましょ!」
「は〜い!」
前々から思っていたが俺って単純だよな。
その後もマイさんの『スラッシュ』でどんどんモンスターを倒し、さらに3階層までやってきた。
幸いなことにウルルフキングとは遭遇することなく、ここまでやってくることができた。
メタルスライムも探してはいたのだが、見つけれなかった。
ここは冒険者の数も多い、出現していたとしても誰かに先を越されているのだろうな。
マイさんはメタルが見つからないことに頬を膨らませていた。
可愛い。
「なんでいないのよ…」
「ここは人が多いですからねー、先に狩られているんですかね。」
「ガルルル!ワンワン!」
「また出たな。まぁマイさん不貞腐れないで。スラッシュお願い…、あ…」
奥の方を見ると2足歩行のデカいウルルフがいる。
あれがウルルフキングか。
初めてキングと遭遇した。
「ウルルフキングは俺が、マイさんはウルルフをお願いします!」
「はい!分かりました!スラッシュ!!」
キングの周りにいたウルルフはマイさんの8倍スラッシュで消えた。
子分がやられ、キングは俺の方へと向かってきた。
と思いきや、キングは俺を飛び越え無視し、マイさんの方へ向かっていた。
「おいコラ!俺を無視るんじゃねぇ!」
AGIが100超えた俺の足舐めんなよ!?
マイさんには指一本触れさせん!
急いで俺も走りだし、キングの素早い走りにも追いつくことができた…はずだった。
たしかに俺はキングの横に並んで走れていた。
追いつけたと思っていたのに、キングのスピードが急に上がったのだ。
気がつくとキングはマイさんの目の前におり、マイさんはそのまま渓谷へと蹴り飛ばされた。
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