第11話 MP消費ってこんな感じなんだね
「地図があるとこんなにも簡単に進めれるんですね!」
とマイさんはすごく喜んでいた。
現在、俺たちは2階層の中を進んでいる。
ユウジさんの説明通りボスモンスターを倒して、天井が青く光っている間はモンスターの出現率が減るらしい。
どのダンジョンでもレベルの数値かける1日が次のボスが現れるまでのインターバルらしい。
つまりここのダンジョンはあと3日はボスが出ない。
そうこうしていると、あっという間に3階層に続く階段までたどり着いた。
ダンジョンに潜る前にマイさんのステータスの数値だけ見してくれた。
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NAME:立川舞 Lv11
HP :51/51 MP:44/44
ATK:40 DEF:36 AGI:58
INT:53 MD:49 DEX:46
LUK:11 SPI:16 LER:D
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成長性Dはこんなもんだと思う。
「トモヤさんのステータスも見せてください!」
と言われた時は少し困った。
成長性ゴミだし…
地球上にダンジョンが出来てから世の女性は成長性が高い男に魅力を感じるようになっていた。
成長性はいわば期待値、今後の活躍に対する評価対象なのだ。
成長性E以下の男は人権なんてない!と言う女性がいるくらい。
一応その女性炎上していたけど、その意見に賛同する女性も多くいたのも事実…
成長性だけ見えないようにしてマイさんに見せた。
「やっぱりすごいステータスしてますね!うわー攻撃力なんて私の3倍あるじゃないですか!このレベルでこのステータスもしかして成長性Bですか?」
「ま、まぁね!」
カッコつけてしまった…
ダンジョンに潜るまでマイさんおとなしめで無口の女性かと思っていたが、意外と会話してくれるようになった。
昨日、地上に戻っている時はずっと無言だったので気まずかった。
3階層に着きマイさんが記憶を無くす原因になった場所を探す。
場所は湖のような場所だったかなと朧げながら呟いた。
こんな草木に覆われている場所にも水が溢れている場所があるんだな。
地図を開くと3階の北西、ダンジョンの壁ギリギリの端の方にそれはあった。
そこは俺がマイさんを見つけた場所からそう遠くない所だった。
そこに向かっている途中、久々にノーマルを見つけたのでマイさんに許可をとり、スキルの試運転をした。
まずは咆哮、大きく息を吸いこむ。
「咆哮発動!!うおぉぉぉぉぉぉ!!」
俺の声を聞いたノーマルはピタリと動かなくなったが、きっかり3秒後には動けるようになっていた。
次にチェンジ。
「チェーンジ!!」
スキルの発動とともに、俺とノーマルの位置が入れ替わる。
2つとも効果通りに発動した。
その後サクッと剣で倒し、ステータスを奪った。
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NAME:小林智也 Lv10
HP :198/198 MP:36/81
ATK:148 DEF:124 AGI:96
INT:63 MD:60 DEX:83
LUK:23 SPI:50 LER:G
特殊スキル:私益世界【使用回数8/10 0:58】
スキル :咆哮 チェンジ
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やっぱりスキルを使いながらの戦闘は楽しい。
ただ初めてMPの消費する感覚を味わったのだが、これ気持ち悪い…
頭がグワングワンする…
スキルを多用する魔法使い系の冒険者はすごいんだな。
体力は満タンなはずなのに、しばらく真っ直ぐ歩けなかった。
〜30分後〜
俺たちは目的地に着いた。
湖はとてもじゃないが綺麗とは言えない。
汚れしかない泥水で、湖というよりは大きな水たまりと言う方が正しい表現かもしれない。
湖は広いので、二手に分かれて周りを散策しているとマイさんの悲鳴が聞こえてきた。
「トモヤさん来てください!!」
急いで向かう。
湖から少し離れた木の陰にマイさんは立っており、彼女の前には3人分の頭蓋骨があった。
他の骨はバラバラになっていて元の人間の形をしていない。
骨の周りには衣服や剣、弓といった武器、またバックが捨てられていた。
たぶん行方不明になっている3人の亡骸だと思われる。
モンスターに食い荒らされたのだろうか…
服のポケットから冒険者ライセンスを2枚見つけることができた。
名前を確認すると石橋カエ、安藤ミサキと書いてあり、現在行方不明になっていた人達だと判明した。
残りの1人からはライセンスを見つけることができなかったがおそらくもう1人の行方不明者、山田サラさんだろう。
残念でしかない。
が、これが冒険者でもある。
とりあえず遺品を集めよう。
彼女達を地上に連れて帰ってあげたい。
地面に散らばっている遺品を集めているとどこからともなく声が聞こえた。
「ギャングゴブリンを倒したのはお前か?」
振り返るとそこにフードを被った人がいた。
声は男性のようにも女性のようにも聞こえる。
奴の足元にはマイさんが倒れていた。
「おい!誰だお前?マイさんに何をした!」
「安心しろ、気絶させただけだ。この子に私が見つかるとせっかくの記憶操作がパァになる。名前はカゲロウ。葉山ユウジにはそう伝えな。もう一度聞く。ギャング倒したのはお前か?」
異様な気配を感じる。
カゲロウと名乗った奴の体はまっすぐ立っているはずなのに、ユラユラと揺れているように見えた。
「ああ俺だ。だからどうした?」
「ハハハ!いや失礼。そうか君だったか。ここは鉄の冒険者しかこないので実験し放題だったんだ。この子もこの死体も私がギャングに襲わせたんだ。ねぇ興味本位で聞いてもいいかい?名前と成長性を教えてくれ。あ〜嘘ついたら下にいるこの子のためにならないと思ってね。」
いつの間にかカゲロウは剣を持って、マイさんの首を狙っていた。
「小林トモヤ、成長性は…Gだ。信じられないと思うが本当だ。」
「ほうGか。なるほど納得。」
なるほど?俺がギャングを倒したと信じたのか?
普通の人なら成長性ゴミだからと信じないのに。
何を納得したんだ。
「お前、成長性なんて聞いてどうする…」
「なんでもないよ。たぶんそうかな〜と思っただけ。さてとやりたいこともやったし、ここもバレたから私は去るよ。この子を殺してね!やはり記憶操作だけでは不十分だったようだし!」
そう言うとカゲロウは思いっきり剣を振り上げ、マイさんの首をはねようとした。
「おいおいおい!ふざけるな!チェーンジ!!」
間一髪で俺とカゲロウの位置を交換することができた。
カゲロウの一撃は地面を軽く削っていた。
これが彼女の首に当たっていたと思うと恐ろしい。
「ありゃ?君〜面白いスキル持ってるねぇ。まぁいいや。今回はトモヤ君の機転を評価して見逃すよ。次もまた私の邪魔をしたら容赦はしないよ〜。それじゃばいばーい!」
いきなり突風が吹いたと思ったらカゲロウの姿はなくなっていた。
あいつは一体なんだったんだ?
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