第5話 遭難寸前だったってマ?
このゴブリンパラダイス、想像以上に広く入り組んでいた。
レベル3だからと正直舐めてたよ。
3時間くらいずっと探し回ってやっと下への階段を見つけることができた。
HPが上がったから体は疲れないで動くようになったけど問題は心の方。
もうヘトヘト…
階段を探している間に単体でいたノーマルのゴブリンを2匹倒したのだが、奇妙なことに気がついた。
ノーマルを倒した時、『私益世界』の使用回数が1ではなくて、2消費されていたのだ。
リトル2匹とノーマル1匹の時はステータスの方に見惚れて気がつかなかった。
なぜリトルとノーマルでは消費する回数が違うのか全くわからなかった。
正直これに関しては、使っていって調べるしか方法がないな。
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NAME:小林智也 Lv10
HP :61/61 MP:28/28
ATK:40 DEF:37 AGI:28
INT:25 MD:25 DEX:31
LUK:16 SPI:19 LER:G
特殊スキル:私益世界【使用回数4/10 0:27】
スキル :なし
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ステータスはLER値がFの人に匹敵するくらいには成長したかな。
ATKに関してはこの短時間で4倍になった。
でも普通の人であれば、レベル10でもこれ以上のステータスにはなる。
LER値がGというレアキャラでなければ…
連盟の定める基準ではLER値がDだと普通の人とされている。
仮にDの人がレベルを1上げる時に必要な経験値を10とするならば、Dより上のCは8、Bは4、Aは2で上がる。
逆にDより下のEは12、Fは14必要になる。
そして順番的にGは16…とはならず、3倍の30必要になるらしい。
またステータスの伸びもだいぶ変わる。
Gの人がHPを1増やした時、Fは2、Eは4、Dは6、Cは8、Bは10、 Aは12増えるらしい。
なんとも理不尽な世界である。
スマホで時間を確認すると12時24分になっていた。
「一旦出て飯にするか…」
腹が減っては戦ができぬ。
今日の昼は久々にマッカのハンバーガー食いたい。
下への階段は見つけたし午後再チャレンジしよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
換金所に戻り、中に入りミホさんを見つけた。
ミホさんの方も自分に気がつき、笑顔で手を振ってくれた。
「一旦戻りました。アイテムの換金お願いします。」
「おかえりなさい。無事で何よりです。アイテムの換金ですね。少々こちらでお待ちください。」
いや〜、やっぱり可愛い。
なんかフローラルの匂いがするもん。
後ろに振り向くときにファサッてなる髪が綺麗だった。
〜3分後〜
ミホさんが戻ってきた。
俺が持って帰ってきたのはクリスタルのカケラが大小6個とリトルの剣が3本。
それに加えてノーマルから取れる棍棒が3本だ。
固く丈夫なので、安価な値段で新人冒険者の武器として売られる。
「お待たせしました。換金の結果、クリスタルの総重量が5.4gの5400円。剣が1本100円の3本で300円。棍棒は1本500円の3本で1500円。合計7100円です。」
ん?
「ミホさん…計算間違ってません?7200円では?100円足りない気が…」
「えっ…あ、本当だ!嫌だ私ったらごめんなさい!すぐお金取ってきます!」
ミホさんは顔を真っ赤にしながらダッシュで奥へ戻っていった。
ミスをしているミホさんもかわえ〜!
ミホさんは100円玉を握りしめて戻ってきた。
「あはは、すみませんでした。こちらが7200円でございます。」
「気にしないでください。昼飯食べたらまた戻ってきます。」
「分かりました。お待ちしております。」
俺は換金所から出て、ハンバーガー求めて自転車に乗った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
お目当てのハンバーガーを食べ、再び換金所に戻ってきた。
やっぱり男は黙ってビックリバーガーにコーラLサイズに限る。
部屋に入ると依頼状が1枚増えている。
うそーん、また行方不明者?
ええと…名前は、立川マイさん。
帰ってきていないのはまた女性か。
例の怪奇現象なのか…?
話を聞こうと思ったけど、受付にはミホさんの姿がなかった。
昼飯でも食べているのだろう、残念。
ミホさんのいない受付に長々と居ても面白くないので早々に許可を取った。
午後は2階層と3階層を攻略したい。
2階層へ降りる階段までは地図を貰ったので楽に来れた。
さっき受付で貰ったのだ。
地図は持ってないと受付のおばちゃんに言うと驚いたような、怒ったような顔で
「申し訳ございませんでした。こちらがこのダンジョンの地図でございます。」
と地図を渡してくれたのだ。
「いや、本当に午前はよくお戻りになられました。遭難されなくて良かった。どのダンジョンでもそうなのですが、初めて潜る冒険者の方には必ず1番最初に地図をお渡ししています。地図無しで潜るのはみすみす死にに行くようなもんですから…」
「はぁ…そうなんですね。」
門出でも地図はもらっていたが、ここより狭いし、1階層しかないし、見晴らしもいいので出口を見失うことはなかった。
だから地図の重要性を理解していなかった。
俺はまだ1階層で帰ってきたから助かったみたい。
2階におりて潜っていたら、帰り道が分からなくなって危なかったらしい。
「ちなみにトモヤさんの受付をした職員の名前わかります?」
「坂井ミホさんです。」
「あの子ったら…分かりました。それではお気をつけていってらっしゃいませ。」
あのおばちゃんの感じ、ミホさんは今頃こってり怒られているのだろう。
名前忘れましたって、言わなかったほうが良かったかな…
階段を降りきり2階層に入る。
2階層は1階層と違い、草木がおいしげっていた。
たしかにこれは迷う。
地図がないと方向感覚がくるいそうだ。
地図を頼りに3階へ続く階段に向かう。
するといきなりどこからともなくノーマルが襲いかかってきた。
「ぎゅえええええ!」
1階のノーマルとは全くスピードが違う。
モンスター自体のレベルも上がっているようだ。
たけど強くなったのは俺も一緒。
「お前1匹ごとき、怖くねぇ!」
剣を縦に大きく振ると、パックリとノーマルの体は真っ二つに割れて、霧となり爆散した。
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『私益世界』自動発動しました。
【使用回数3/10 0:28】
これによりステータスが上昇します。
対象:ゴブリン
HP +23 MP +11
ATK+17 DEF+15 AGI+12
INT+7 MD +7 DEX+10
LUK+1 SPI+5
獲得スキルはありませんでした。
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ステータスうまうま。
2階層のありがたみをしみじみと感じた一戦だった。
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