第4話 倒す、奪う、強くなる
ダンジョン内は門出とは違い、岩が多く物陰がたくさんあった。
岩陰からモンスターが出てくることに警戒しながらダンジョン内を進む。
少し進んだ先に岩の洞穴があった。
そこには俺が昨日まで毎日顔を合わせていた小鬼がいた。
向こうは幸い俺に気づいていない。
静かにそっと近づく。
どこに何匹いるか分からない。
仲間を呼ばれる前に不意打ちで仕留めることにした。
抜き足、差し足、忍足!!
「てぇぇぇい!!」
「ぎゅえぇ!?」
背後からの攻撃は脳天に直撃した。
攻撃が当たった時に攻撃箇所がキランと輝いた。
クリティカルヒットした合図だ。
ラッキー!
今日はついてる〜!
リトルゴブリンはそのまま倒れ、その後いつものように青い霧が爆散した。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
『私益世界』自動発動しました。
【使用回数9/10 0:59】
これによりステータスが上昇します。
対象:リトルゴブリン
HP +6 MP +1
ATK+4 DEF+4 AGI+2
INT+2 MD +2 DEX+3
LUK+1 SPI+1
獲得スキルはありませんでした。
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俺の特殊スキルは自動発動するのか。
こりゃー、いちいち発動させなくていいから便利だな…ん?使用回数?なんじゃそりゃ?
見ると1回分減っていた。
しかもこの隣のタイマーは…
このスキルってゲームとかにあるスタミナ制なんだ。
敵1体に1消費するのかな?
そんでもって1時間で回数が1復活するっぽいな。
それもそうか、こんな強い能力ずっと発動するのは流石にチートだもんな。
ステータス画面に切り替えて、変化を確認する。
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NAME:小林智也 Lv10
HP :16/16 MP:11/11
ATK:14 DEF:14 AGI:12
INT:12 MD:12 DEX:13
LUK:11 SPI:11 LER:G
特殊スキル:私益世界【使用回数9/10 0:59】
スキル :なし
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いやほんと強くて草。
今まで何十匹もリトルゴブリンを倒して必死に経験値を稼ぎ、やっとこさレベルアップしてもステータスは1しか上がらなかったのに。
これはエグい。
じゃんじゃん倒して奪って強くなれる。
俺の冒険者ライフに一発逆転の兆しが見えた気がした。
ご丁寧に現在残っている回数が分かるように、特殊スキルの欄に追加されていた。
調子に乗った俺はさらに奥へと進む。
これまた大量のリトルゴブリンがわんさかいた。
リトルだけでなくノーマルのゴブリンもそこそこの数いる。
流石名前にパラダイスがついているだけある。
どれも5、6匹の群れになって固まっていた。
もう少し数の少ない群れはいないか?
6匹もいたら不意打ちが成功しない…
じっと周りを観察するとゴブリンの団体から離れた所の岩陰に3匹ほどの群れがいた。
リトル2匹のノーマル1匹。
これならまだいける。
そう思いまた、音を立てないよう抜き足差し足忍足で近づく。
俺は成長性がGであることを悩んでいた。
人より確実にレベルアップするのが遅いからだ。
だからこの2年間はいかに早くリトルを仕留めることができるか、効率だけ考えてきた。
不意打ちはクリティカルになりやすいとリナさんに教えてもらってからずっと、最初の一撃はそうしている。
クリティカルは通常の2倍の威力になる。
なので攻撃力が低い俺でも楽に倒すことができるのだ。
「貰うぞ!お前のそのチカラぁぁ!!」
ノーマルの脳天に不意打ちを決める。
キラン!
クリティカルがまた出てくれた。
本当に今日はついている。
ノーマルはさっきのリトルと同じようにそのまま倒れ、青い霧になり爆散した。
「「ぎゅぎゅえぇ!!」」
続けて2匹のリトルが襲いかかってきた。
「お前達はもう見飽きたんだよぉ!!」
剣を横に大きく振り、2匹の首をいっぺんに刎ねてやった。
攻撃力が上がったので、なんなくできた。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□『私益世界』自動発動しました。
【使用回数5/10 0:47】
これによりステータスが上昇します。
対象:ゴブリン
HP +11 MP +5
ATK+6 DEF+5 AGI+4
INT+3 MD +3 DEX+4
LUK+1 SPI+2
対象:リトルゴブリン
HP +6 MP +1
ATK+4 DEF+4 AGI+2
INT+2 MD +2 DEX+3
LUK+1 SPI+1
対象:リトルゴブリン
HP +6 MP +1
ATK+4 DEF+4 AGI+2
INT+2 MD +2 DEX+3
LUK+1 SPI+1
獲得スキルはありませんでした。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
NAME:小林智也 Lv10
HP :39/39 MP:18/18
ATK:28 DEF:27 AGI:20
INT:19 MD:19 DEX:23
LUK:14 SPI:15 LER:G
特殊スキル:私益世界【使用回数5/10 0:47】
スキル :なし
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もう草超えて、森。
これマジで魔王が持ってるスキルだろ。
「むふっ、むふふふふ」
おっと、いけない、いけない…
自分の急激な成長ぶりに、思わずにやけてしまった。
うかれるな…上には上がいる。
実際、特殊スキルの恩恵はかなり大きい。
卒業直後に比べれば凄い飛躍だと思う。
ただしレベル10の冒険者であれば本来のステータスはこれくらいである。
急成長をしていると勘違いしてしまうのも、俺が成長性Gというレアキャラのせいだ。
「…でもやっぱり嬉しい。」
これで俺の夢は叶うかもしれない。
夢に向かって一歩でも前進するためにも、もっと強くならなくては!
「よし!今日は行くつもりはなかったけど一気に2階層まで行ってしまおう。」
剣を腰に直し、アイテムを回収し走る。
「おぉ?速い!速いぞ!」
以前よりも早く走ることができるようになった自分に驚いた。
そりゃそうか、AGIが短時間で2倍になったんだ。
体の変化に感覚がそんなすぐ追いつくわけがないよな。
自分の足の速さに驚きながら下へ続く階段を目指す。
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