第3話 新天地
じゃん、じゃん、じゃじゃんじゃん、じゃららん…
やかましい音で俺のスマホは8時になったことを知らせてくる。
「んー…よく寝てしまった…」
昨日は久々に牛肉という高級食品を堪能した。
リトルゴブリンを1日で6匹討伐したので疲れていたのだろう。
俺は食べて満足した後、そのまま寝てしまっていたようだ。
昨日の間に連盟のホームページで今日から向かうダンジョンを探そうと思ってたんだけどな。
冒険者連盟のホームページではいくつものダンジョンの詳細が載っている。
条件を絞ることで自分に合ったダンジョンを探すことが可能だ。
「えぇと
冒険者にはランクが存在しており、下から順に
上のランクになるほど連盟から貰える報奨金や1年で貰える回数が増えるシステムとなっている。
噂だが、
一方、鉄の俺は1年に1回の1万円…
冒険者のランクは本人のレベルに関係なく連盟が行う試験(もちろん実技)で合格すれば昇格する。
かといってレベルが低ければ、ステータスも低い。
上のランクほど当人のレベルはやっぱり高い。
昔、連盟がつけた冒険者ランキングを見たことがあるが上位100名全員がレベル80を超えていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇検索内容 鉄冒険者 半径20km圏内
ヒットした件数 1
ダンジョン名:ゴブリンパラダイス
・ダンジョンレベル3
・出現モンスター
リトルゴブリン ランクG
ゴブリン ランクF
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「げっ、これくらいしかないの?またゴブリンかいな…もう見飽きたんだけど。」
ゴブリンはステータスやランクが上がってはいるが大した差はない。
が、2年間ずっとリトルゴブリンを相手していたので変わり映えのしないのは流石に嫌だ。
ランクを上げるか、範囲を広げるか…
ランクを上げてもいいが、肝心のモンスターを狩れるか分からないし、範囲をこれ以上広げると行き帰りが面倒だ。
んー、どーしよう…
〜5分後〜
悩みに悩み抜いた結果、ここに行くことを決めた。
卒業して間もないので、今日すぐに無理することはないと思ったからだ。
「それじゃあここに向けて出発しますかね」
ゴブリンパラダイスは調べてみると、俺が借りている部屋のすぐ近所にあった。
なんと自転車で10分。
この2年間、門出にしか行っていなかったので全然知らなかった。
門出とは正反対の方向にあるので知らないのも無理はないのだが…
ダンジョンの前に換金所で入る許可を貰いに行く。
換金所に入ると部屋の掲示板には3枚の依頼状が貼られていた。
「こんな低レベルのダンジョンでも行方不明者って出るもんなんだな…」
許可を出してから72時間以内に冒険者が帰ってこなかった場合、連盟から依頼として人探しが行われるようになっている。
この依頼は2週間存在しており、それでも見つからなかった場合は殉職扱いとなる。
2週間以内に3人も消えるってなかなかだな…
低レベルだと舐めていた…
恐怖で体が少し震えた。
受付には俺とそんなに年齢の変わらないロングヘアーの女性がいた。
「すみません。ダンジョンに入りたいのですが…」
「はい、分かりました。あれ?お兄さん見ない顔ですね。ここ今日が初めてですか?」
か、かわいい…
リナさんは包容力のあるお姉さんタイプだったが、この子は清楚系だな。
「そうなんです。昨日卒業したばっかりで。」
「それはおめでとうごさいます。初めまして、私は
指示通りライセンスを提示する。
「はい、確認しました。こちらをお返しいたします。」
「あのひとつ聞きたいことがあるんですけど、ここって結構行方不明者って出るんですか?掲示板には3枚も依頼状が貼ってあるので。正直ここレベル低いから来たんですよね、ハハッ…」
そういうとミホさんは少し顔を曇らせた。
「いえ本来であればここはレベル通りのダンジョンで行方不明者はそう出ません…今が異常なんです。まぁ男の方なら大丈夫だと思いますが…」
「男なら大丈夫?どうして?」
「ええと、名前は…トモヤさんですね。トモヤさんは依頼状に書かれた名前を見られました?」
「いえまだ見てませんけど…」
「あそこに載っている行方不明者全員、女の冒険者なんです…しかもこの数ヶ月の間、女冒険者ばかりがいなくなるんです。」
まじか…
確認してみると、石橋カエ、安藤ミサキ、山田サラと女の人の名前が載っている。
どうやら女冒険者ばかりいなくなる怪奇現象がこのダンジョンで発生しているらしい。
「一応、連盟には連絡をしているのですが、こんな低レベルダンジョンでは相手してくれなくて。近頃では女ばかりいなくなるので、ゴブリンにその…、弄ばれているのではと噂になっています…」
「なるほど、それはけしからん」
咄嗟に口が反応してしまった。
「え?」
「いえなんでもありません。一大事ですね。僕も可能な限り探してみます。」
「よろしくお願いします。ですが無茶はしないようにしてください。命を大事に、です!」
ぐはぁ!
このミホさんの笑顔パンチ、破壊力半端ないって。
やましいこと考えてしまってごめんなさい!
「了解です!じゃあ行ってきます!」
俺は勢いよく換金所のドアを開け、ダンジョンへと向かった。
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