小学2年生のなおくん

[小学2年生のなおくん]

「なおくん、近所の人に会ったら、元気に挨拶するんだよ。」

「え~、恥ずかしいし、めんどくさーい。」

「何言ってるの。挨拶はとても大事なんだよ。」

「挨拶することで、みんなに元気をプレゼントするの。]

「元気をプレゼント?」

「そう。挨拶であげる元気は、

 いくらプレゼントしても無くなるどころか、

 自分に何倍にもなって帰ってくるわよ」

「そうなの~(笑)」

「そうだよ。だから、日ごろから元気に挨拶はするんだよ」

小学2年生の なおくんは、お母さんから、こんなことを聞いていました。

次の朝。なおくんは、めんどうだな~と思いつつも、

近所の人に会ったので、さっそくあいさつしました。

「おはようございます。。。」

「はい、おはよう!」近所のおばさんが元気に挨拶を返してくれました。

それに元気づけられた、なおくん。

次の日も近所の人に会ったら挨拶をしました。

「おはようございます。」

「おっ。おはよう!今から小学校かな。クルマに気をつけてな」

元気におじいちゃんが挨拶を返してくれました。

あいさつ、気持ちがいいものだな。なおくんは思ってきました。


[会社員のたかし]

いつも、電車に揺られながら、大きなビルの最寄りの駅に

だるい気持ちで向かっています。

そんな、たかしにも1つだけ楽しみがありました。

今は、そのために会社に向かっているようなものです。

その楽しみとは会社のビルの入り口で、

朝の決まった時間にすれ違う、女性のことでした。

すれ違うだけです。名前も年齢もわかりません。

いろんな会社が入っている大きなビルですから、

きっと、どれかの会社に出勤しているのでしょう。

その女性を春に初めて見た時から、とても惹かれた気持ちとなり、

日に日にその気持ちは大きくなります。

たかしは、これまで恋愛経験ゼロ、とても声を掛ける勇気なんてありません。

すれ違う女性も、慌ただしい朝のせいか、いつも不機嫌そうです。

そんな不機嫌そうな女性に声を掛けるなんて、たかしにはとても出来ません。

せめて、その女性の前で笑顔でいれば良いのに、いつもダルそうに疲れていた顔を

今更、笑顔にすることも、なんだか相手に見透かれてしまいそうで、

恥ずかしくて、たかしにはできませんでした。


[小学2年生のなおくん]

また次の朝、知った顔が歩いてきました。

近所のお兄ちゃんです。

なおくんが、まだ幼稚園生のころ、少しだけ遊んでくれたことがあります。

お兄ちゃんは、会社に出勤するところでした。

まだ眠いのかな。

どちらかというと不機嫌そうな顔で歩いていました。

さてどうする、なおくん。

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