終章ー灰になるまでー


指定された目標地点まで接近したアイビーは、突如現れた、空まで伸びる一本の白い火柱に目を奪われていた。


「あれは、何……」


観測器には、予め伝えられていたように、確かに一体の影の反応があった。


しかし、あの白い火柱が出現した瞬間、観測器に二体目の影の反応が検出されたのだ。


長身のライフルを構え、スコープを覗く。


影の発生による濃煙のせいで、一寸先も見渡せないような状況ではあるが、火柱のおかげで、スコープ越しからその姿を捉える事が出来た。


「灰動機……?」


炎の発生源は、白銀しろがねの灰動機だった。


旧式の灰動機が、白い炎に焼かれながら、影と対峙している。


改めて観測器に目を遣るが、検出される影の反応は相変わらず二体分、


それなのに、どれだけ目を凝らしても、スコープに映るのは、一体の影と白炎に包まれた灰動機だけ。


「こちらは、キニス中央学園士官生、アイビー・グリーン1等軍曹。白銀の灰動機、直ちに、所属と名前を述べなさい。応答がない場合は、敵とみなし対処します」


オープンチャンネルで灰動機の操縦者に呼び掛けるが反応は無い。


白銀の灰動機が、ゆっくりと手を伸ばし、影に触れる。


影は、白い炎に包まれながら、そのまま塵となって消滅していった。

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