二章

ハッチが閉まり、外の映像がモニターに映し出される。


そこには、少年を、村の皆を、爺ちゃんを消した、あの黒い影が映っていた。


「爺ちゃん……」


機械音が鳴り響くのと同時に、前下方にある別モニターに文字が出力されていく。


『電圧値、正常。動力管への灰の循環を確認、異常なし。タンク内残量、正常。機体とのリンク良好、燃焼率、…異常値を検出。……箱の検知不可、セーフティプロトコル、解除。サンドリヨン、強制起動を開始します』


機体が、ゆっくりと体を起こす。


「ああ、あぁ……」


何だか、胸の奥が、燃えるように熱い。


いや、胸の奥だけじゃなくて、


身体も、目も、何もかもが熱くて、


「ああああああああぁぁぁ!!!」


燃えているんだと分かった。


機体と共に、私の全てが、白い炎に包まれて、燃えている。


もう、何も分からない。


何も、考えられない。


ただ、暑い熱を持った、やるせなさと、哀しみと、怒りが、今の私を支配し、突き動かしている。



壊せ、何もかも


壊せ、全てを奪ったあの影を



爺ちゃんが見せたあの笑顔が、ふと脳裏を過ぎる。


それを最後に、私の意識は白い炎に焼かれながら、呑まれていった。

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