二章

「ねぇ、爺ちゃん。あれって……」


「これに乗るんだ」


私の言葉には耳もくれず、横たわった掘削機を爺ちゃんが指差す。


「え、これって、爺ちゃんがずっと弄ってた掘削機……?」


「正しくは灰動機だ。昔、整備士をやっていた時の経験で何とかここまで組み上げた。起動テストを行う時間までは取れなかったが……」


手を引きながら、爺ちゃんが私を乱暴に掘削機の中へ押し込み、内部にある管のようなものを、胸へと繋げる。


「ちょっと…待ってよ、爺ちゃん」


戸惑う私を他所に、爺ちゃんは早口で捲し立てる。


「時間が無い、この中に居れば、奴らに連れて行かれる心配は無いだろう。……お前には箱がないから、そんな状態で灰動機に乗るのは自殺行為に等しいかもしれないが……」


爺ちゃんが、私の頬に手を添えながら笑う。


その笑みは、とても悲しそうで、苦しそうで、寂しそうで、その笑顔の訳を聞きたかったけど、言葉は一つも出てきてはくれなかった。


「すまなかった。私は、立派な親では無かっただろう。お前が消えてしまったあの日、どれだけ苦しみ、嘆いた事か。私は、ただ、あの時の後悔を清算したかっただけなんだ。……許してくれ、ダリア。私は、いつまでも、お前のことをあい





ふぅぅゥ




炎が消えて、爺ちゃんが、灰となって飛んでいく。


「あ、あぁ……」

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