二章
「……爺ちゃんに聞いたんだ。姉ちゃん、明日此処を出てくんだろ?急で驚いたけど、姉ちゃんには、旅の話とかいっぱい聞かせて貰ったしさ。だから、何かお礼がしたくて、さっき村に来てた行商人から買ったんだ」
「買ったって……、あんた、これ幾らすると思ってんのよ」
「それはほら、昨日、姉ちゃんから貰った灰を売って買ったんだよ。……ほんとは、それでも全然足りなかったんだけど、必死に交渉したら、行商人のおっちゃんが特別にって。俺の交渉スキルも馬鹿に出来ないでしょ?」
少年が得意気に話す。
良く見てみれば、彼の体は灰と汗で所々汚れているし、目元には、汗なのかそうではないものか、敢えて追求はしないけど、良く分からない跡が残っていた。
きっと、昨日、私があげた灰だけでは足りず、急いで他の灰を掻き集めて来たんだろう。
それでも足りなくて、行商人に必死な形相でお願いして、その姿に、行商人が根負けしたって所だろうか。
「……っ、ほんと、馬鹿な奴ね」
何だか、目の奥が熱い。
「それ、ダリアっていう花なんだって。姉ちゃんと同じ名前なんだよ。……俺、おっきくなったら、姉ちゃんみたいに、色んな所を旅するから。姉ちゃんが話してくれた灰海の花だって、いつか、自分の目で見に行くよ」
いつものお調子者な姿とは打って変わって、真剣な面持ちで少年は話す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます