二章
「………すまない」
爺ちゃんが、作業している手を止める。
振り返る事は無かったから、表情までは分からなかったけど、その背中は何だか寂しそうだった。
爺ちゃんの背中って、あんなに小さかったっけ。
思えば、頭の炎も大分弱々しくなっている気がする。
「外は、危ないんだ。私は、ダリアが無事で居てくれるならそれで良い。お前だけが、私の支えなんだ。…だから、すまない。今は、それしか言えないけど、時が来たら、必ず説明する」
荒くなった呼吸を整えながら、爺ちゃんの小さい背中を見詰める。
「……分かった。私も、言い過ぎちゃってごめん。でも、ご飯はちゃんと食べてよね。爺ちゃんが居なくなったら、私、一人になっちゃうんだから」
ああ、と呟いて、爺ちゃんがまた作業を始めた。
そのまま倉庫を後にしようとした所で、ある事を思い出した私は声を上げる。
「あ、そういえば、また黒い汚れが拡がってたの。そのせいか、手の皮膚がボロボロ崩れちゃって、、村の子に保湿剤みたいなの貰ったんだけど、効果あるかな」
「……………なんだって」
今度は、爺ちゃんが私の方に振り返る。
その表情は、何かに怯えるように強ばっていた。
「だから、手が」
「見せてみなさい」
駆け寄ってきた爺ちゃんが、手袋を外して私の手を取る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます