二章

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「ただいま、爺ちゃん」


声をかけるが、反応が無い。


見渡してみても、家の中に人の姿はなかった。


机の上には、出掛ける前に私が朝食として用意しておいた、麦パンと干し肉が食いかけのまま放置されている。


もしかしたら、また、隣の倉庫に篭って何かを作っているのかもしれない。


この村に来てからというもの、爺ちゃんは、行商人から安く買い叩いた掘削機をひたすら弄り続けている。


何をしているのか聞いても、一向に教えてくれない。


ここに来てから二年間、ずっと、そんな調子だ。


ー灰を仕舞うついでに、爺ちゃんの様子を見に行くか、、


入口に停めてあった台車を押しながら、倉庫へ向かう。


「爺ちゃん、帰ったよ」


案の定、倉庫の中では、バチバチと火花を散らしながら、爺ちゃんが掘削機を弄っていた。


「……遅かったじゃないか、何処に行っていた」


作業を続けたまま、爺ちゃんが呟く。


「灰を集めに行ってたんだよ。昨日は良く降ったから、大分集められた」


「灰が多く振る日は、危ないから外に出るなといつも言ってるだろう。もう、冬も近いんだ。何かあってからでは遅い」


苛立ちが含まれた爺ちゃんの声に、私は少し、ムキになってしまう。


「何で、外に出たら危ないの?危ない危ないって言うだけで、理由は何も教えてくれないじゃん。生活する為にはお金が必要なんだよ。爺ちゃん、ここに来てから、ずっと機械弄ってるだけで、麦パンや干し肉を買うお金を稼いでるのは私の方。今日だって、ちょっとでも足しになればと思って灰を掘りに行ったのに、それってそんなに悪い事なの?」

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