二章

「後は……、灰海に生えてた花も綺麗だったなぁ」


灰海の奥には、動物達も近寄らない開けた場所があって、そこには灰の花弁をつけた花々が辺り一面に咲き誇っていた。


何故かそこにだけ、分厚い雲の隙間から光が差していて、灰色の花がキラキラと輝いて綺麗だったのを覚えている。


「その花さ、抜き取ると淡い火花を散らしながら、燃えて無くなっちゃうの。手に入れようとしても手に入らない、それが何だか儚くて、綺麗だったな」


そうこうしている内に、私達は村の入口まで着いていた。


「ほら、もう着いたよ。話はまた今度ね」


そう言いながら、台車の中から土嚢袋を二つ取り出し、少年に渡す。


「これ、ダリ姉のじゃん、要らないよ」


「良いから受けとんなって、手伝ってくれたお礼。金になるかどうかは、あんたの交渉スキルにかかってるよ」


遠慮がちな少年に袋を無理やり押し付ける。


「……ありがと、ダリ姉!また、面白い話聞かせてね!」


少年はそれを受け取ると、満面の笑みで家へと駆けて行った。

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