一章

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アイビーは、生徒達が授業や起動訓練を行う、キニス中央学園の本館から離れ、その隣に建てられた仮設司令本部へと向かっていた。


ここは、軍本部への支援や学園の生徒達の実戦訓練を想定し建てられた、中央軍の仮設本部であり、ここの格納庫には、起動訓練で使う練習機だけではなく、実戦配備型の灰動機も何体か格納されている。


しかし、実戦が許可されているのは、階級が伍長以上の者に限られ、現状、この学園で実戦配備型の灰動機を動かした事のあるものは、アイビー、オリビア、ダンの三名のみで、その他の学生達は、練習機での作戦支援程度の経験しか積んでいない。


とは言っても、生徒達だけでの実戦となると、アイビー達も片手で数えるぐらいの経験しかない。


ましてや、オリビアとダンの二人と違って、アイビーは単独での任務となる。


観測された影はそれぞれの地点で一つずつ、それに、どれも規模の小さいものらしいから、学生達だけでも問題はないとノアは考えたのだろうが、それにしたってリスクが高い。


「…まぁ、一人の方が却って楽か」


オリビアとダンが優秀な事に変わりはないのだが、ノアの言う通り、アイビーとの間には明確な差があった。


仮に、彼女がどちらかと組まされていた場合、状況判断や操作の速度などから、却って足を引っ張る事になっていただろう。

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