第5話 昼寝していたら狸がやってきた

昼寝していたら狸がやってきた


「おい、昼寝中、悪いが、今夜、暇か?」


「まぁ、暇と言えば暇」


「今夜7時から、娘が音楽会に出る」


「へー、そうなんだ。狸だけの音楽会か?」


「そうだ。だから、聴きに来い、いや、来てくれ」


「いいよ。楽しみだ、娘さん楽器は何やるの?」


「ピアノ」


「ほー」


「おまえ、今、太鼓と言うと思っただろう」


「んなことない。」


「そっか。じゃ、よろしくな」



狸は言うだけ言うと帰った。



狸の背中は嬉しそうでもあったが、意外なことに淋しそうでもあった。

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